ジャム「行ってしまったか・・・
私がいけないのだな・・神の作りしたもう生命を、
この手で生み出そうなどと・・・」
バタ子「ジャムおじさん・・・」
そう言うとジャムおじさんは部屋に入ってしまった。
嫌な予感がする───
バタ子「ジャムおじさん!ねぇ!!」
ドアを開けようとしたカギが掛かっている、
響いた銃声
バタ子はその場に崩れ落ちた・・・
バイキンマン「ハッヒフッヘホ~!俺様今日も悪い事しまくりだもんね~!」
カバオ「・・・・・・」
ウサミ「・・・・・・」
バイキンマン「なんだよ?もっと『ヤメテー』とか『助けてー』とか言えよ・・」
カバオ「もうヤメろ。お前見てると虫酸が走るんだよ・・・」
バイキンマン「え・・・?」
バイキンマン「え?何よ?どしたのカバオ?」
カバオは困惑するバイキンマンにボディブローをお見舞いした
バイキンマン「カハァ・・!!!」
前のめりに倒れた
バイキンマン「ゴホッ・・ガハ・・どう・・・して・・?」
カバオ「アンパンマンは去った・・お前も身の振り方考えとくんだな・・・」
バイキンマン「ウソ・・・だろ・・?」
バイキンマン「去ったって・・おい!待ってくれよ・・!!」
ウサミ「行きましょカバオさん・・」
カバオ「あぁ・・・・」
バイキンマン「おい・・・おぃ・・・何で・・」
ヨロヨロと立ち上がる
バイキンマン「アンパンマン・・どうしちまったんだよ・・・」
見慣れたUFOが頭上を猛スピードで通り過ぎた
と思うとUターンして着陸
コックピットのガラスがゆっくりと開く
アンパンマン「よぉ・・」
バイキンマン「・・・・・」
バイキンマンはUFOから降りると
黙ったままアンパンマンへ歩みよった
アンパンマン「恐い顔すんなよ・・・」
グチュ!
右の拳でアンパンマンの顔を殴った
アンパンマンの口元からアンコがこぼれた
バイキンマンは歯を食いしばり声を絞り出す
バイキンマン「・・・・・何でだよ?」
アンパンマン「・・・・・・」
アンパンマンは黙ったまま口元のアンコを手で拭った。
バイキンマン「・・・ジャムが死んだ。」
一瞬アンパンマンの顔に驚きの表情が見てとれた
・・が、すぐにフッと薄笑いを浮かべて言った
アンパンマン「そうか・・アイツ・・くたばったか・・・ハハハ!ハハハハハハ!」
渇いた笑い声が森へ響いた
バイキンマン「何がおかしい!!!」
アンパンマンの首根っこを掴んで木へ押し付ける
アンパンマン「・・命を創造するも・・・奪うも・・・それは神にのみ許された行為・・・
奴は俺という実験体を手に入れた・・・そして幾度となく・・
奴は神になろうとした・・・だが、結局は神の怒りに触れ命を奪われた・・・
傑作だ・・!これが笑わずにいられるか・・!!」
バイキンマン「・・・・・変わったな・・お前・・」
アンパンマン「・・・変わらないものなんて・・・あるのかい・・?」
森の木陰でお互い目を伏せたまま、沈黙するばかりだった
バイキンマンはアンパンマンの首にかけていた手を力無くほどいた
バイキンマンは背を向けポケットからセブンスターを取り出し火をつけた
アンパンマン「一本くれよ・・」
バイキンマン「・・あれ?吸ったっけお前?」
アンパンマン「大きな声じゃ言えねぇけどな」
そう言ってバツが悪そうに笑った
バイキンマン「ハハ、なるほどな。大変だなヒーローも」
セブンスターを一本差し出し、くわえたタバコに火をつけてあげた。
アンパンマン「サンキュ」
フゥ~と大きく吐き出した煙が揺れながら森へと散るばかりだった
バイキンマンが吸い殻をもて余していると
アンパンマン「ん・・」
そう言ってアンパンマンが携帯灰皿を差し出した
バイキンマン「へっ、正義の味方は路上喫煙も取り締まるのかね・・」
アンパンマン「バカ、テメェ用だよ・・」
そう言うとアンパンマンは携帯灰皿にタバコを押し付けた。
アンパンマン「もう・・行くぜ俺?」
バイキンマン「・・・・・・」
歩き出すアンパンマンの背中でマントが寂しく舞った
バイキンマン「待てよ!!!!!」
引き留め方なんてわからない、ただ何かが胸に込み上げた
だから叫んだ
バイキンマン「待てってば!!!!!」
アンパンマンは足を止めて、振り向きもせず言った
アンパンマン「・・なんだよ?」
バイキンマン「なぁ・・俺ぁ・・生まれた時から・・・悪で・・・それで・・
叱られた事無かった・・・別に悪い事しても・・・何つうか・・
何も感じなかった!!・・でもお前が現れてから・・・その・・・感じるんだ・・
上手く言えねぇけど・・!!何か俺の悪に・・・意味が生まれた気がすんだよ・・!!」
バイキンマンの目には涙が溢れていた
アンパンマン「ハハ、つっても人の畑を荒らしたり・・
ガキの食いモンくすねたり・・しょうもねぇ悪だけどな・・」
背中を向けたまま笑って言ったがその声は震えていた
バイキンマン「そうさ!!!だけど俺は・・!!
そのチッポケな悪がねぇと・・俺は俺でいられねぇよ・・!!」
大粒の涙がこぼれては落ちた
バイキンマン「お前がいなきゃ・・・誰がこの悪を認めてくれんだよ・・!!
誰が俺を・・・俺を・・やっつけてくれんだよ!?なぁ!?」
アンパンマン「・・・バカ野郎・・・」
アンパンマンも泣いていた
顔が濡れて力が出なかった
アンパンマン「泣かすなよ・・・水に弱ぇんだ・・」
バイキンマン「・・これからその顔・・・どうすんだよ・・?」
アンパンマン「・・あ?」
バイキンマン「最後の顔なんだろ・・?」
アンパンマン「あぁ、その事か・・いいじゃねぇかコレで・・
やっとスッキリしたよ・・元々命なんてのはひとつ・・たった一つ・・・
だからかけがえのない・・・大きな命なんだ・・そうだろ?」
バイキンマン「あぁ・・そうだな」
アンパンマン「やっと生きてる気がしてる・・・」
木々の隙間から射し込む光がアンパンマンの顔を美しく照らしていた
アンパンマン「だからもう行かせてくれ・・」
バイキンマン「・・・何言ってんだよ・・そうだ・・・た、闘おうぜ!!」
アンパンマン「そうはいくかよ、こっちは顔ひとつ濡れたら死んじまうんだ・・
それに闘う理由が無いんじゃないか・・?俺たちにはもう・・・」
バイキンマン「くっ・・・うるせーうるせーうるせー!!
俺様がケンカ売ってんだ!
理由なんか知ったこっちゃねー!!!」
そう言って飛び掛かったバイキンマンをアンパンマンはヒラリと交わし
すれ違いざまガラ空きの後頭部に左ハイキックを打ち込んだ
バイキンマン「ぐは・・!!!」
そのまま地面に倒れた
アンパンマン「やめとけ、元々素手のお前と俺じゃ勝負にならねぇよ」
冷たく言い放った。
バイキンマンは足を震わせながら立ち上がった
バイキンマン「き・・効かねぇなぁ・・・お前のキックはこんなもんかよ?
アンキックはこれの百倍痛ぇんだよぉ!!!」
バイキンマンは殴りかかった
が、その右手をアンパンマンは左手で払い、右手でボディをお見舞いした
バイキンマン「カハァ・・・」
前のめりにうずくまる
アンパンマン「・・じゃあな」
歩き出すアンパンマン
バイキンマン「・・・てよ・・待てよ・・」
またしてもバイキンマンは立ち上がるのだった
カバオ「おなかすいたよぉー」
バイキンマン「・・弱ぇ弱ぇ・・・屁みてぇなパンチだな・・・
アンパンチに比べたら、まるで蚊に刺されてるみてぇさ・・・」
アンパンマン「チッ・・・いちいち頭に来るやろうだな!!」
アンパンマンの前蹴りがみぞおちに入る
バイキンマン「くふぅ・・!!」
バイキンマンの表情が苦痛に歪む
バイキンマン「へへ、だがよ・・正義の味方にピンチは付き物だよな・・・」
アンパンマン「・・あ?」
その瞬間、前蹴りで残したアンパンマンの脚にしがみつきタックルしたかと思うと
次の瞬間には膝十字固めにもっていった
バイキンマン「形勢逆転だなヒーロー。一旦CMでも入れるか?くくく・・・」
アンパンマン「ぐはッッッ!!!」
右脚の関節を極められアンパンマンは天を仰いだ
バイキンマン「なぁ・・・分かってくれよ・・・
俺は・・・こんな闘いをしたいワケじゃねぇんだ・・・」
アンパンマン「へ・・またポンコツUFO追っかけまわされて
袋叩きで山の向こうにでも吹っ飛ばされたら満足か・・?」
バイキンマン「・・・こんな暴力よりは意味があるだろうよ・・・
なぁ・・子供たちは俺たちの姿を見て何を思うかな?」
アンパンマン「・・・あ?」
バイキンマン「きっと・・・学ぶんだ・・子供たちは俺たちを見て、
何が正しい事で・・・何が大切かって事を・・・」
アンパンマンはしばらく黙ったまま天を見上げていた
アンパンマン「・・アホくさ。そんな事はフルハウスでジェシーおいたんから学べばいい。
子供たち?俺の知ったことかよ!クソったれ!!」
バイキンマン「・・この分からず屋!!!」
アンパンマン「テメェこそケチな正義感かざしてねぇで
悪になれよピエロ野郎!!!折れよ!この足折ってみろよ!!」
バイキンマンの膝十字を極めた腕が震えていた
アンパンマン「・・苦しまなくていい・・・」ボソ・・・
バイキンマン「・・!!!」
アンパンマン「子供たちはきっとお前を見て・・
何が正しいか、何が大切か・・わかるだろうよ・・
ヒーローは正義の為に、悪を傷付ける・・・
・・それは仕方の無い暴力の行使・・間違いではないのだから・・・」
バイキンマンは涙を流し、しばらく黙っていたがフゥとひとつ息をつき
「いくぞ・・」と言った
森に鈍い音が響いた
アンパンマンの右膝は関節とは逆に折れ曲がった
アンパンマン「・・ぐぎぎ・・嗚呼ァアア・・!!!!」
アンパンマンの圧し殺した嗚咽が森に響き、バイキンマンは震えていた
アンパンマン「ハァハァ・・・ぐっ・・・ハァハァ・・」
アンパンマンは身体を起こすとポケットから布に包んだ注射器を取り出した
バイキンマン「そ・・・それは?」
アンパンマン「モルヒネだよ・・・」
そう言うと注射器を右の太ももへ降り下ろした
ドスッ
刺さった注射器、親指で中の液体を押し出す
アンパンマン「ぐ・・・ッ!!!・・・ハァハァ・・・」
バイキンマン「だ・・大丈夫か・・・?」
アンパンマン「大丈夫じゃねーよ・・ハァハァ・・
マジで折りやがって・・・ぜってぇ許さねぇぞ・・・」
バイキンマン「・・・ハハ、ハハハ!そうだぜぇ・・絶対許しちゃダメなんだからな!」
そう言うとバイキンマンはアンパンマンの肩を抱き寄せた
アンパンマン「痛ッ・・・なんだよ?」
バイキンマン「帰ろう工場へ・・・」
アンパンマン「チッ・・・今さら帰ってどうすんだよ?」
バイキンマン「やりなおそう」
アンパンマン「はぁ?」
バイキンマン「いいから乗れよ」
アンパンマンの身体を抱き抱えUFOに乗せた
バイキンマン「お前が生まれたあの工場からきっとまた何かが始まるさ!」
アンパンマン「へっ・・来週から『それいけ!バイキンマン』でもやれよ」
バイキンマン「ハハ、冗談言う余裕があるなら大丈夫だな。行くぞ」
二人でUFOはふわりと舞い上がり森を後にしたのだった
しばらく飛ぶと見慣れた工場が見えてきた
が玄関先にUFOを着陸させた時に異変に気付いた
バイキンマン「ドアの前・・誰か倒れてる・・・」
アンパンマン「あ?・・アレはカレーパンマンじゃねぇか!?」
ただならぬ空気を感じた
バイキンマン「・・お前は足がこんなだ、俺が行く。ちょっと待ってろ・・」
UFOを降りてカレーパンマンにそっと近付いた
息をしていない
胸元に無数の固まった弾痕
バイキンマン「武器はショットガンか・・一体誰が・・」
その答えはすぐに解けた
カレーパンマンのカレーダイイングメッセージ
血の混じったカレーでドアに記された文字は
『 バ タ コ 』
松崎しげるが「しげるブラウン」に改名したぞ
今zipに出てる
鍵はかかっておらず、木製のドアはキィ・・と小さい音を立てて開いた
バイキンマン「(へ・・・入った瞬間ズドン・・!でミンチは勘弁してくれよ・・?)」
バイキンマンは深く深呼吸して工場へと足を踏み入れた
後ろ手でドアを戻す、開けっ放しで良かったが
手負いのアンパンマンの事が気になり閉めた
小麦やバター、蜂蜜にミルク、いい香りがバイキンマンの鼻をぬける
それもそのハズ、工場内は滅茶苦茶に荒らされており、
その全ては床に撒き散らされていたものだった
辺りを見回すと『ジャムの部屋』と書かれたドアが目についた
そっとドアに近付く、錠の部分にショットガンで撃ち抜かれた後があった
ドアを押してみた
音も無く開いた扉の隙間から徐々に見えてくるジャムおじさんの姿
机にうつ伏せになるようにして倒れ
頭から大量の出血の後、右手には拳銃が力無く握られていた
バイキンマン「(ジャム・・お前もまた人の姿をしたか弱い羊なんだな・・・)」
バイキンマンはジャムおじさんの硬直した右手から拳銃を抜きとった
バイキンマン「(私たちは神という名の羊飼いに見守れるか弱い羊───)」
バイキンマンは胸元で小さく十字を切った
部屋を出る
バイキンマン「(それならば私に試練を・・・そしてそれを乗り越える勇気を───)」
バイキンマンの見つめる先は『バタコの部屋』と書かれたドア
拳銃を持つ手が震えていた
ドアの横の壁に背をつけて胸元に銃を構える
背中越しに呼びかけた
バイキンマン「・・バタコ・・・?」
深い沈黙。返事は無い
壁沿いに右手だけををドアノブに伸ばし・・ひねった
カチャリ・・・
バイキンマンはゴクリと唾を飲んだ・・・
キィ・・小さくきしみ、ドアの隙間が徐々に広がる
5cm・・10cm・・・
バイキンマンは左手の薬指のリングにそっと口づけた・・
15cm・・20cm・・・ドアはゆっくりと
バイキンマン「(ドキンさん・・僕は・・必ず生きて帰ります・・!!!)」
25cm・・30cm・・・開いて───
バイキンマン「バタコーーーーーー!!!!!!」
バイキンベビー「オギャアアア!オギャアアア!」
ドキン「あらあら?どうしたでちゅかー?」
エプロンの裾で手を拭きながらドキン夫人がベビーベッドにかけよる
バイキンベビー「オギャアアア!オギャアアア!」
ドキン「ほ~らよしよし・・恐い夢でも見たんでちゅかね~?」
抱きかかえやさしく揺らした
バイキンベビー「グス・・・グス・・『ダディ』・・」
ドキン「・・!?・・しゃべった・・・!!!アハハ!しゃべったぁ!
パパの名前を呼んだわ!スゴイ!あの人きっと驚くわ!!」
ドキン夫人の笑顔がはじけた
「バタコーーーーーー!!!!!」
叫びながらドアを蹴り開け素早く銃を構えた
・・・が、そこにバタコの姿は無かった
代わりにバイキンマンが見たものはバタコサイズの──
純白のウェディングドレス───・・・
バイキンマンの手から拳銃が滑り落ちた
幸せそうに微笑むジャムおじさんとバタコの写真───
そして書きかけの招待状───
バイキンマン「あぁ・・!!あぁ・・!!・・なんてことだ・・・」
呟きをかき消す銃声が外で響いた
バイキンマン「し・・・しまったぁあああああ!!!!!!」
天丼マン「てんてんどんどん♪てん♪どんどんっとぉ
なになに~『16時まで用事が出来ました。すいません。また16時頃に再開します。』
なんでぇコリャ?まぁいいかぁ
てんてんどんどん♪てん♪どんどんっとぉ」
「愛と勇気を持てる者だけが友達になれるんだ」
魚住「シシュー!!!!」
天丼マン「てんてんどんどん♪てん♪どんどんっとぉ
なになに~『のらりくらり更新で本当にすいません。
16時から夜までに一気にラストまでいきたいと思ってますので
もうしばらくお付き合いくだしい。保守大変感謝』
なんでぇコリャ?まぁいいかぁ
てんてんどんどん♪てん♪どんどんっとぉ」
嫌な予感どころではない・・・最悪の予感がした・・・
落とした拳銃を拾い、玄関へと走った
ドアを蹴破り外に出る───
そこにバタコは居た
砕け散ったUFOのガラス、コックピット上で仁王立ちし
身動きの取れないアンパンマンの頭にショットガンが向けられていた
バタコ「あら?ちょうどイイとこに来たわね・・」
バイキンマンは何も言わず銃を構えた
バタコ「今からこの『最後の』アンコ頭が吹き飛ぶのよ・・・」
バイキンマン「させるかよ・・・」
引き金にかけた指の震えが止まらなかった──
バタコ「クス、おやめなさい坊や・・人を撃った事なんか無いんでしょ?」
図星だった
バイキンマン「この距離なら『童貞』の俺でもハズさねぇよ・・・」
強がった
バタコ「やってごらんなさい?その震える指が引き金を引けたら──の話だけど」
見透かされていた
バイキンマン「・・やめてくれ・・と頼んだら?」
バタコ「残念だけど却下だわ・・・」
バイキンマン「交渉決裂か・・・」
バタコ「そうみたいねぇ・・」
バイキンマンの指の震えは不思議とおさまっていた
バイキンマン「どうしてこんな事をする?」
バタコ「どうしてですって?ふざけないでよ!!!
私の幸せを何もかも奪いやがって!!!」
銃口がアンパンマンの顔に強く押し付けられた
バタコ「コイツがくだらない事を言わなきゃ!!
ジャムおじさんは死なずに済んだのよッ!!!」
バイキンマン「バタコ・・やっぱりお前・・」
バタコ「そうよ!!!私とジャムは愛し合ってたわ!!!
子供達の前では孫の振りをしてたけど!!!
この工場だって二人で貯めたお金で作った夢のお城なのよぉおお!!!!
コイツさえ・・コイツさえいなければ!!!
私達は幸せに暮らしていけたのよぉお!!!」
バイキンマン「だからってそいつを殺して何になる!?」
バタコ「わかったような事言わないで!!!」
銃口がバイキンマンの方へ向けられた
バタコ「そりゃアンタみたいな幸せな家庭を持つ身には分からないでしょうね?
今からキレイ奥さんのとこ行って、頭吹っ飛ばしたら少しは理解出来るかしら!?」
バイキンマン「お前も・・分かっちゃいねぇよ・・・」
バタコ「なんだと・・?」
バイキンマン「アンパンマンの気持ちを考えた事・・あるのかい?」
バタコ「アンパンマンの・・気持ち・・?」
バイキンマン「煙突に流れ星が落ちて、偶然生まれた命さ・・・
何故か悪と闘う事、悪を戒める事を義務付けられ・・
自分の意思とは関係無く、次々と新しい顔・・・
コイツには・・生きる事も、死ぬ事も出来なかったんじゃないのか・・・?」
バタコ「・・・ッッッ!!!」
バイキンマン「コイツはやっと・・生きてるんだ・・今・・」
バタコは歯を食いしばりアンパンマンを睨み付けた
すると突然バイキンマンが小さい声で歌い出した
バイキンマン「何の為に生まれて~♪何をして生きるのか~♪
こたえられないなんて~♪そんなのは嫌だ♪
今を、生きる、ことで♪熱い、心、燃える♪
だから君は行くんだ微笑んで♪
そうだ、うれしいんだ生きる喜び♪たとえ胸の傷がいたんでも~♪」
バタコ「それは・・!25分枠のテレビアニメでは流れる事のない・・
アンパンマンマーチの1番・・・!!!(普段テレビで流れてるのは2番)」
バイキンマン「この歌が・・・答えなんだよバタコ・・・」
バイキンマン「時に傷つき・・・絶望の淵で動けなくなったとしても・・
何の為に生まれて、何をして生きるのか・・
答えられないなんて・・そんなのは絶対イヤさ!!
人は!生命は!!!生きてる事自体が喜びなんだ!
かけがえのない事なんだ!!
例え胸の傷がいたんでも!!皆、生きてくんだ!!!そうだろッッ!?」
バタコ「アァァ嗚呼!!!ジャム・・・私は・・・アァァアア!!!」
バタコは銃口をアンパンマンに向けた
バイキンマン「どうして分かってくれないんだッ!!?」
バタコ「コイツを殺せばきっと・・!!きっと私の答えが出る・・ジャムも・・!!」
バイキンマン「やめろぉおおおお!!!!!」
お互いの銃の引き金が引かれようとしていた・・
バイキンマン「やめ・・て・・くれ・・・」
大粒の涙が後から後から頬を伝っては落ちた
バタコ「・・・・・・」
バタコはバイキンマンの言葉に返事を返す事は無く、
銃口をアンパンマンの顔へと押し付けた
バイキンマン「もう・・・これ以上・・汚さないでくれ・・・」ポロポロ・・・
絞り出した声は今にも消えそうなほどだった
バタコ「・・?なによ・・今さら・・もう遅いわ!!私はもう汚れきっているわ・・!!」
バイキンマン「違う・・!!!・・・そうじゃねぇ・・・・
二人の想いが詰まった・・あの純白のウェディングドレスを・・・
これ以上、誰かの血で汚さないでくれって言ってんだぁああ!!!!!」
バタコ「!!!!!!!」ドクンッ!
もう拳銃すら持てないほど顔をしわくちゃにしてバイキンマンは泣いた
バタコの瞳からも涙が零れ、バタコは空を見上げた
夕陽の赤と、空の青が抱き合っているような、美しい空だった
バタコ「ねぇバイキンマン・・私にあのドレス似合うと思う?」
バイキンマン「・・・あぁ・・きっとお前は世界一あのドレスが似合う花嫁さ」
バタコ「ふふふ」
少女のような笑顔だった
そしてショットガンをそっと返し、銃口を自分のアゴへと向けた
バイキンマン「─────────ッ」
バタコ「楽しい結婚式にしようね」
バタコは笑った
渇いた銃声が夕暮れに響いた───
ウェディングドレスをバタコの身体にそっと重ねた
バイキンマン「急な式で俺たちしかいないけど・・始めようか」
アンパンマン「あぁ・・・」
夕陽は落ち、空には宝石が散りばめられた
バイキンマン「仕上げだ・・・」
バイキンマンは右手の手のひらから七色のカビを舞い上がらせた
そしてそのカビはふわりとバタコの顔に落ち、
若い花嫁に素敵な化粧をほどこした
アンパンマン「キレイだな・・・バタコ・・」
バイキンマン「あぁ・・・世界一の花嫁だ・・・」
静かな静かなとてもいい夜だった
月の光がスポットライトのように新郎、新婦を照らす
バイキンマン「汝、新婦バタコは新郎ジャムを夫とし、
病める時も、健やかなる時も、共に助け合い、共に歩み、
死が二人をわかつまで──
──共に生きる事を誓いますか・・?」
バタコ「・・・・・・・・」
何も答えない花嫁の顔に
二人の男の大粒の涙が幾度となく落ち、
月の光でキラキラと輝いていた
長い長い結婚式だった
アンパンマン「久しぶりに飲まねぇか?」
バイキンマン「あぁ、そうしようか」
新婚の二人を残し工場へと向かう
アンパンマン「あ、カレーパンマン!」
バイキンマン「コイツ埋めてなかったなぁ・・」
アンパンマン「・・苦楽を共にした仲さ・・コイツも一緒に飲もうぜ」
バイキンマン「?」
アンパンマンはカレーパンマンの『K』というチャームのついた
ネックレスを外し、自分の首へとつけた
アンパンマン「カレーは『C』だって言ってやったんだけどな」
バイキンマン「引くに引けなかったんだろうな、ずっと付けてたよな」
アンパンマン「あぁ・・バカだからな・・コイツ・・・うぅ・・うぅ・・」
また二人は泣いた
その頃
ドキン夫人「あっ、食パンマン様いけませんわ!! 今の私には夫も子供も」
食パン「いいじゃねーかぐへへへへへ」
散らかった部屋のソファに座り
グラスにワインを注ぐ
お互いグラスを掲げ
バイキンマン「素敵な花嫁と素晴らしい夜に」
アンパンマン「そしていなくった友と───
───今、目の前にいる友に」
バイキンマン・アンパンマン 「 乾 杯 」
静かにグラスを合わせた
幸せな気分だった
その時バイキンマンの携帯の着うたが鳴った
『勇気の鈴がりんりんりーん♪不思議な冒険るんるんるーん♪』
アンパンマン「奥さんか?」
バイキンマン「あぁ・・ハイもしもし・・おぉ・・今夜は・・うん・・
え!?ベビーがしゃべった!?・・うん・・それで!?うん・・!」
幸せなそうなバイキンマンの顔を見つめるアンパンマンも幸せそうだった
そしてバイキンマンのグラスにそっと無色の液体を注ぎ込んだ
その後バイキンマンは幸せな家庭を築き
アンパンマンはドラゴンボールを探す旅にでた。
───全ては自分が巻き込んでしまったひとのため
───────20年後───────────
そこにはアンパンマンの姿があった。
アンパンマン「いでよ!神龍!!」
とかいうエンドを期待してる
電話を切るとバイキンマンは喜びを隠せないといった表情で
バイキンマン「おい!ベビーが俺を呼んだってよ!なぁスゲーよおい!」
アンパンマンもそれを心から喜んだ
アンパンマン「よし、じゃあもう一度乾杯だ!」
お互いのグラスにワインを注ぎなおした
バイキンマン「ん・・ん・・かぁ~!!今夜は酒が美味ぇぜ!!!」
アンパンマンはバイキンマンがワインを飲み干す姿を見て
自らもワイングラスを手に取った、そして言った
アンパンマン「これがお前と飲む最後の一杯さ・・・」
バイキンマン「・・・え?」
沈黙は別れを予感させた
バイキンマン「何言ってんだ───」
アンパンマン「乾杯───」
そう言うとアンパンマンはグラスのワインを自らの顔にかけた
バイキンマン「何やってんだお前!!!!!!!」
アンパンマン「ふにぁ~顔が濡れて~力が出ない~」
バイキンマン「当たり前じゃないかバカ野郎!!!」
バイキンマンは自分のジャケットの袖で必死にアンパンマンの顔を拭いた
バイキンマン「何やってんだよバカ野郎!バカ野郎!」
泣きながら顔を必死に拭った
アンパンマン「・・すまない・・・だが・・これでいい・・・」
バイキンマン「何でだよ!!!何でだよ!!!!」
もう出ないと思った涙は次から次へと零れ落ちた
アンパンマン「生命は一度きり・・・人も・・鳥も・・樹木や・・草花さえも・・
だから・・たとえ・・・胸の傷がいたんでも・・・・生きる・・
だが私は・・生きて・・生きて・・いつかは死にたい・・当たり前のように
生命として・・・朽ちたい・・・そう思うようになっていた・・・
だが・・・何の為に生まれて・・何をして生きるのか・・・
答えられない・・・そんなのはイヤだから・・・
その答えを出す為に・・・再生し続けた・・・
そして・・やっと気付いたよ・・・簡単な答えに・・・
その答えは・・お前だよ・・・バイキンマン・・・」
その頃
メロンパンナ「食パンマンに突かれて気持ちよくなっちゃいまふぅうう!!」
食パン「ぐへへへへ」
アンパンマン「悪と闘い・・悪を正し・・・
正義を示し・・・子供たちを導く・・・
それが私の使命なのだ・・・と・・それが私の生きる答えだ・・と・・
そう・・気付いたからさ・・・」
バイキンマン「じゃあ、なおさら・・!!!
なおさらお前は生きていかなきゃいけないだろう!!?
俺は悪だ!俺をやっつけなきゃ!!なぁ!?」
アンパンマン「ヘッ・・何言ってやがる・・・」
そう言うとバイキンマンの薬指にはめてあるリングにそっと手を重ねた
アンパンマン「俺のそばには───
───『友』しかいねぇよ」
アンパンマンは笑った
バイキンマン「アン・・パン・・マン・・・」
バイキンマンは力いっぱいアンパンマンを抱きしめた
バイキンマン「う・・・」
突然目の前の景色が歪む
アンパンマン「どうやら・・やっと効いてきたか・・・」
バイキンマン「何を・・飲ませ・・た?」
アンパンマン「安心しろよ・・ただの眠剤さ・・
どーせ・・お前は・・ギャーギャーわめくだろうだろうからよ・・
最後の夜は・・・二人で・・静かに・・・過ごしたいじゃねーか・・・
ありがとよ・・バイキンマン・・その涙・・忘れねぇよ・・・」
薄れゆく意識の中でバイキンマンは言った
バイキンマン「アンパンマン・・・俺の・・俺の・・生きる答えは─────」
二人は寄り添うように深い深い眠りへと落ちていった・・・
その頃
ロールパンナ「あひぃ、もっと突いてぇ、こわれるまで中でだしてええええ」
食パン「本当のお前は本当に変態だな」
それからどのくらい月日が流れたろうか・・・10年・・いや20年・・?
バイキンマン「おい、アンパンマン!さっさと起きねぇか!」
懐かしい声がする・・ずっと昔に別れたハズの友の声
目を開けるとエプロンにコック帽のバイキンマンの姿
ドキン夫人が焼き立てのパンを運んでいる
アンパンマン「これは・・一体・・?」
バイキンマン「あー!詳しい説明は後!後!とにかくヤベェんだ!!
ウチのガキが隣町のバイ菌、大勢引き連れてこの町に攻めてきやがった!!
くぅ~やっぱ悪の血は争えねぇな!!」
アンパンマン「・・なんだか嬉しそうだぞお前・・・」
バイキンマン「そ・・そうか?・・と、とにかくやっつけてくれよアンパンマン!!
町の人達が大ピンチでさ!その為にわざわざ新しい顔焼いたんだぜ俺様!!!」
鏡を見ると不細工に焼き上がったアンパンが乗っかっていた
アンパンマン「・・・くはは!ヒデェ面だなオイ!だが・・・上出来だ!
勇気100倍アンパンマン!ちょっくら行ってくるぜ!」
それいけ!アンパンマン(終)
良かったら今までの作品を教えてくだしあ
本当に昨日からお付き合いどーもありがとうでした。
夜中の保守、支援、本当に感謝します。
>>1を書いてからあとはひたすらその場の思い付きで
ラストまで持っていけた事自体が奇跡です。
>>281さんへ
ググると携帯からでも見れる範囲(親切な方達が何かしらの形で残してくださった)では。
つい最近
・新ジャンル『チン子』(同タイトル幾つか有り)
一年以上前
・新ジャンル『不良学校とお嬢様』
二年以上前
・バタコのパンストを引き裂いて
といった所です。
ホントにマイナー過ぎるので知らないと思います
不良学校懐かしいな
新ジャンル『チン子』をまとめてくださった方には、
この場を借りて改めてお礼を言わせてもらいます。
ありがとうございました。
方言が全然ウケなかったので、途中でヤメた事もこの場を借りて謝ります。
>>305 あの頃は・・なんというか・・若さ故のヘイヒュンヒュンです///
顔真っ赤になります////
最後まで皆さん本当にありがとうございました。
またいつかくだらない事書いていたらお付き合いください
ではでは
乙です!
乙!目から汁が止まりません!
チン子読んできたwwwwハゲワロタww
乙!スゲー面白かった!
だれかまとめサイト作ってくんねぇかな
なんか大人になったのび太がドラえもん再起動させる話思い出した
話はもうずっと前で終わっているのに、
たくさんの乙レスを頂き言葉がありません。
ただただ感謝です。
ちゃんと書ききれたのは全て
夜中~昼間と保守してくれた方々のおかげだと思っています。
改めてありがとうございました。
おやすみなさい。
乙!
おやすみ><
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