男「…」テクテク
猫「…」トテトテ
男「お前はここには入れないんだ」
猫「にゃー…」
男「というかオレについて来ても餌はないぞ」
猫「にゃ」チョコン
男「…ま、買い物してる間にどっか行くだろ」
イラッシャイマセー
アリガトウゴザイマシター
猫「にゃ」
男「…」
猫「?」
男「…わかったよ、猫缶一つだけおごるよ」
男「ほれ」パカッ
猫「にゃー!」モグモグ
男「…よっぽど腹減ってたんだな」
猫「…」モグモグ
男「…」シュボッ
猫「…にゃー」
男「あ、煙たいのか?スマン」
猫「…」モグモグ
男「変わった猫だなぁお前」
猫「にゃ」
男「ん、うまかったか?じゃあオレはそろそろ帰るからな」
猫「にゃー…」
男「よしよし、また会ったときには猫缶おごるよ」ナデナデ
猫「…」
男「じゃあな」
次の日
男「…そろそろ買い物に行かないと食うものがないな」
男「…?」テクテク
猫「にゃあ!」フリフリ
男「…待ってたのか?」
猫「にゃあにゃー!」スリスリ
男「また会ったときにはおごるって言っちまったしなぁ」
猫「にゃ」
男「よし、今日はスーパーまで一緒に行くか」
猫「にゃっ」
男「じゃあまた待っててくれ」
猫「にゃあー」
男「…これでいなくなってたらオレすごくマヌケだよな…」
アリガトウゴザイマシター
男「おぉ、ちゃんと待っててくれたか」
猫「にゃ!」フリフリ
男「ほら」パッカン
猫「…」ハムハム
男「毛並みいいなーお前。でも首輪してないし野良だよなぁ」ナデコナデコ
猫「…」ハムハム
男「野良暮らしは大変か?大変だよなぁ…」モフモフ
猫「にゃむ」
男「おぉスマン、食事の邪魔だな」
猫「にゃ」
男「はい、お粗末様」
猫「にゃー…」コロン
男「はは、食ったら眠くなったか?」
猫「にゃー」
男「今日もいい天気だからなぁ」
猫「…」
男「気持ち良さそうな顔しやがって」ムニムニ
猫「にゃ」
男「さて、帰るか」
猫「にゃ」
男「他の猫に寝首をかかれないようにな」テクテク
猫「にゃあ」トテトテ
男「ん、見送りか?」テクテク
猫「にゃー」トテトテ
男「ありがとな」
男「…結局家までついてきたな」
猫「にゃっ」
男「…じゃあ、な」
猫「にゃーん」チョコン
男「…」
男「…はやく帰らないと夜は危ないぞ」
猫「…」フリフリ
男「…」
男「…またな」パタン
男「…うーむ、ダメだ」
男「…歩くか」
ガチャッ
猫「にゃーん」
男「おわっ!?」
男「お前…まさかずっと家の前にいたのか?」
猫「にゃあ」スリスリ
男「…一緒に散歩でも行くか?」
猫「にゃ」
男「…」テクテク
猫「…」トテトテ
男「…変な奴だなお前」テクテク
猫「にゃ?」トテトテ
男「ん」
ポツ… ポツ…
男「…雨か」
猫「にゃー…」
男「あそこで雨宿りするか」
猫「にゃー」
ザァアアアア…
男「降り出したなぁ」
猫「にゃ」フルフルフルッ
男「…歩くのやめると寒いな」
男「最近急に冷えてきたよなぁ」
猫「にゃーん…」スリスリ
男「お前…」
男「…ありがとな」ナデコナデコ
ザァアアアア…
猫「にゃ」ペシ
男「…はっ」
男「…うたた寝してたのか…」
猫「にゃーん」
男「おぉ、雨上がったな」
猫「…」ノビー
男「虹が出てるぞ」
猫「にゃあ」
男「…よし、帰るか!」
猫「にゃっ」
麻生「シャァァァァァ!」
石破「モミャァァァァァ!」
男「ついたな」
猫「にゃー…」
男「…じゃ、またな」
猫「…」チョコン
男「…そこで座られたらすごく家に入りづらいんだぞ」
猫「にゃあ」フリフリ
男「…」
男「じゃあな」パタン
猫「にゃー」
男「うーーーーーむ…」ガリガリガリ
男「…よし、一段落だな」カタン
男「…あいつはまだ家の前にいんのかな?」
ガチャッ
男「…」キョロキョロ
男「…そんなにいつまでもいるわけないよな」
猫「にゃ!」ヒョコッ
男「おぉ!」
猫「にゃーん」スリスリ
男「よしよし…なんかお前痩せてきたな…?」
猫「にゃ?」
男「ホントにずっと家のまわりにいるのか?」
猫「にゃー」
男「…」
男「よし、猫缶買いに行くか」
猫「にゃあ」
猫「にゃ」
男「うまかったか?じゃ帰るか」
男「ついたぞ」
猫「にゃー」チョコン
男「…」
男「…家にあがるか?」
猫「にゃ?」
男「ほら、入っていいぞ」
猫「にゃー…」トテトテ…
パタン
男「いらっしゃい」
猫「にゃ」
猫「にゃー…」
男「狭い家だがゆっくり…うわ!」
猫「にゃ?」
男「足跡足跡!よし、最初に足洗おう」ガシッ
猫「にゃー!!」
男「…猫って水嫌いだよな…?」
猫「…」
男「お湯だすぞー…」キュッキュッ
ザー
猫「…」
男「…あれ?お前平気なのか?」
猫「…」チョン
猫「にゃー…」
男「やっぱり嫌いなんだな」
男「ふー…綺麗になったぞ」
猫「…」
男「不機嫌だな…」
猫「…」トテトテ
男「物壊したらダメだぞー」
男「…」カタカタカタ…
ガシャーン
男「やっぱりやったか」
男「これは鍋だ。別にお前に襲い掛かったりしない」
猫「にゃ…」
男「…」カタカタカタ…
猫「にゃー」
男「ん、暇になったか」
猫「…」タシ!
男「それはパソコンのディスプレイだ。ここを打つと文字が出たりするんだぞ」カタカタ
猫「にゃー」スリスリ
男「パソコンにはあんまり興味ないのか」ナデナデ
猫「…」トテトテ
男「…気分屋だなぁ」
男「…ん、もうこんな時間か…」
猫「にゃふ」
男「そろそろ寝るか」
猫「…にゃ」
男「…よし、ここがお前の寝床だ」
猫「…」
男「…不満か?まぁ毛布丸めただけだしなぁ」
猫「にゃっ」ピョン
男「ベッドで一緒に寝るのか?」
猫「にゃあ」コロン
男「じゃあそうしよう」
チュン…チュンチュン…
猫「…」ペチペチ
男「んん…」
猫「にゃー」ペチッ
男「…わかったよ…」ムク
男「…ほら…起きたぞ…」ボー
猫「…」カプ
男「いてっ」
男「あ、お前の飯を買いに行かなくちゃな」
猫「にゃー」
男「…………よし、着替えたし行くか」
猫「…」ジー
男「…なんだ、フードにはいりたいのか?」
猫「にゃ」
男「入っていいぞ、ほら」
猫「にゃー」ピョンピョンッ
男「よし、行こう」
男「これだとお前の足が汚れないからいいな」
猫「にゃふっ」
男「高い目線だと違う世界が見えるだろ」
猫「…」
男「…塀にのぼったりしてるから珍しくないか」
猫「にゃー」
男「…そういやそうだった…」
ペット入店キンシ
男・猫「…」
男「…結局足汚れちゃうな」
猫「にゃ…」
男「…スマンな、すぐ買ってくるから」
猫「にゃあ」
犬「ウォンウォン」
男「外で食べるか?」
猫「にゃー」
男「よし」
男「よっ」パカン
猫「…」ハグハグ
男「…おっと、食事中は禁煙だったな」
猫「にゃう」ハグハグ
男「…オレもコーンスープ飲むか」
男「ただいま…朝の散歩は久々だったなぁ」
猫「…」
男「どうした?あがらな…そうか、足洗わないとな」ガシッ
猫「にゃー」ブラーン
男「…今日は天気はいいみたいだな」バサッ
猫「…」トテトテ
男「お?」
猫「…」チョコン
男「…新聞読めないぞ」
猫「…」
男「じゃあトイレ行くか」テクテク
猫「…」トテトテ
男「なんだお前」
男「…」カタカタカタ…
猫「にゃー」
男「どうした?」
猫「にゃー」チョイチョイ
男「外になんかあるのか?」
猫「…」
男「おー…月が綺麗だな…あ、今日は仲秋の名月か」
猫「にゃー…」
男「…」シュボッ
猫「…」コロン
男「…」フー…
猫「にゃあ」ペシペシ
男「…んー…はいはい起きますよ…」
猫「にゃっ」
男「お前のおかげで目覚ましいらずだよ」ボー
男「今日はフードついてないんだよ」
猫「…」
男「たまには歩かないと太るぞ」
猫「にゃっ」
男「お前の毛気持ち良いなぁ…」ナデコナデコ
猫「にゃー」ダラーン
男「…」ダラーン
男「…そろそろコタツ出すか…」
猫「にゃー!」
男「嬉しそうだな」
猫「…」
男「…」
猫「…」
男「…出たくねぇー…」
猫「にゃー…」
男「トイレ行きたくなってきた…」
猫「!」
男「…今回もダメだったか…」
猫「?」
男「賞が取れなかったんだ」
猫「にゃー…」
男「…さて、また話を考えないとな」
猫「…」
男「…あーーくそっ」
男「…文才があればなぁ」
男「…いや、あればの話をしてる場合じゃない」
男「…」カタカタカタ…
猫「…」
猫「……」カタカタ…
男「…ここは変えるか」カタカタカタ…
男「…なんか今日は冴えてるな…文もすんなりまとまるし」
男「…」カタカタカタ…
猫「にゃ」スリスリ
男「おおスマン、飯だな」
猫「にゃっ」
男「…」カタカタカタ…
猫「…」ゴローン
猫「にゃー」
男「だいぶ暖かくなってきたな」
猫「にゃ…」ダラーン
男「…」プニ
猫「…」
男「…」プニプニ
猫「…にゃふ」
男「いや、気持ちいいからついな…コタツなおすか」
猫「にゃー」
男「…よし!」カタンッ
男「…今回は我ながらよく仕上がったな」
猫「にゃ」
男「おし、散歩にいくか。ほら、今日はフード付きだぞ」
猫「にゃー」ピョンピョンッ
男「春だなぁ…」
猫「にゃー…」
男「…お前がオレの言葉がわかればいいんだけどなぁ」
猫「?」
男「もう半年以上一緒にいるしなぁ…初めて会ったときは不思議な奴だなと思ったよ…今もだけどな」
猫「にゃ」
チュン…チュンチュン…
男「…」バサッ
猫「…」トテトテ
猫「…」チョコン
男「…お前はよっぽどオレに新聞を読ませたくないみたいだな」
猫「にゃあ」
男「少しでいいからどいてくれ…」
猫「…」ヒョイ
男「お、どうも」
猫「にゃ」
男「…」ズズーッ
男「…いいニュースはほとんどないなぁ」ガタッ
バシャ
男「うわっ!」
猫「にゃー」
男「おぉ、タオル持って来てくれたのか、気が利く…」
猫「?」
男「…なぁ」
猫「…」
男「…ちょっとテレビつけてくれないか?」
猫「にゃ」カチ
男「!!」
男「…お前…オレが言ったことわかってるのか?」
猫「にゃーあ」
男「右でパンチ」
猫「にゃ」チョイ
男「寝転がる」
猫「にゃふ」コロン
男「ジャンプ」
猫「にゃっ」ピョン
男「…」
男「…こ、こないだまでわかってなかったよな?」
猫「…」コク
男「じゃあなんで…………まさかオレが言ったから?」
猫「…」コク
男「…じゃあオレが文才が欲しいっていったから…」
猫「…」コク
男「…願いを叶えてくれるのか?」
猫「にゃー」
男「…」
猫「…?」
男「…なんでもいいのか?」
猫「にゃ」
男「そうか…」
猫「…」
男「じゃあ…一つお願いしたい。この願いを叶えてもらったらもうほかにはいい」
猫「にゃあ」
男「お前に幸せな一生を送ってほしい。頼めるか?」
猫「にゃ」コク
男「…なんかお前のことをお前に頼むってのも変な話だな」
猫「にゃー」
男「…なぁ、他の家に行ったほうが幸せになるからよそに引っ越すとかは…」
猫「にゃ!」フルフルッ
男「うちにいるのが幸せって解釈していいのか?」
猫「にゃあ」スリスリ
男「…よしよし」ナデナデ
男「ちょっと部屋の整理でもするかー」
猫「にゃー」
男「おぉ、なつかしいものが…」
男「ここらへんはいらねーな」
男「ちょっと雑巾とってくれ」
猫「にゃ」ヒョイ
男「…カメラ?フィルム余ってるな…」
猫「にゃー」
男「一緒に撮るか」
猫「にゃっ」
パシャ
男「いつ現像にいくんだかなぁ」
猫「にゃー…」
男「呆れてるな?」
男「うわぁ…」
猫「…?」
男「中学の卒業文集だ…死にたくなるような事書いてるだろうな」
猫「にゃーにゃー」
男「ダメだ。いくらお前でもこれは見せられん」
猫「…」プイ
男「…なんかボロい服が出てきたな」
猫「にゃ!」コロン スリスリ
男「気に入ったのか?」
猫「…」コクコク
男「じゃあやるよ」
猫「にゃー!」
男「最近暑くなってきたな…」ダラーン
猫「にゃー…」ダラーン
男「…お前抜け毛すごいぞ」ダラーン
猫「…にゃ」ダラーン
男「…買い物いかねーと」ダラーン
猫「…」ダラーン
男「…行きたくねーなぁ」ダラーン
猫「にゃー…」ダラーン
男「…そういや今日は花火大会だな」
猫「にゃ」
男「花火ってわかるか?野良の頃に見たことある?」
猫「…」コクコク
男「じゃあ見に行くか」
猫「にゃ」
男「…人多いなぁ…フードに入ってて正解だったな」
猫「にゃ」
男「…明日発表だ」
猫「…」
男「…」
猫「…」スリスリ
男「…スマンな」
男「…」
男「…見るぞ…見るぞ…」
猫「にゃ…」
男「…」チラ…
男・猫「!!!」
男「やったぁぁぁあ!!」
猫「にゃあぁぁあ!」
プルルルル…
男「おぉ!」ガチャッ
男「はい…はい、はい!ありがとうございます!………」
猫「にゃあ」
男「授与式が来月で短期だけど連載もほぼ決定らしい!忙しくなりそうだ!」
猫「にゃ!」
男「お前のおかげだな……ありがとな」
猫「にゃあ」スリスリ
男「よし、猫缶買いに行くか!」ナデコナデコ
猫「にゃっ!」
男「あー久々に酔ったな…」
猫「にゃ」
男「んん…そろそろ寝るか?」
猫「にゃっ」
男「よし」
男「じゃあおやすみ」
猫「…」スリスリ
男「よしよし…」ナデナデ…
男「…んー…」
男「? もう昼か…何で起こさなかったんだ?」
猫「…」
男「…なんだ、珍しく寝坊だな」
猫「…」
男「…おーい」ツン
男「!?」
男「何で…冷たいんだ…?」
男「おいっ!?起きろよ!」
猫「…」
男「なぁ…?」
猫「…」
医者「では…」
男「…庭に埋めます…」
男「…」
猫「…」
男「…オレお前が幸せになるようにって頼まなかったか…?」
男「お前頷いただろ…できるって…」
猫「…」
男「何でだよ…」
男「なんか言ってくれよ…」
猫「…」
男「…これがお前の幸せだったのか…?」
猫「…」
男「オレが賞取って…オレは幸せだけど…」
男「…」
男「……」
男「…オレの幸せがお前の幸せってことか…?」
猫「…」
男「ふざけんなよ…もっと一緒にいたかったぞ…」
男「新聞読むの邪魔しなくていいのかよ?1番安い猫缶しか食った事なかっただろ?卒業文集の中身気になったんだろ?一緒に散歩いけないんだぞ?」
男「なんでだよ…」
猫「…」
男「…」ザクザク
猫「…」
男「…」ソッ…
男「…」トササッ
男「…オレが物書きになってお前が嬉しいなら…必死に小説書くよ」
男「…お前言葉わかるんだから読んで感想聞かせろよな」
男「あ…オレはお前の言葉わかんねーんだった…」
男「はは……ダメじゃん」
男「……っく…」
男「ひっ……う…」
本当に彼が幸せだったのか、今となっては真偽はわからない。
けれどきっと、私が小説を書くのをやめたら彼は小さな手で私を嗜め、机に向かわせるだろう。だから私は小説を書く。
もしもあの世があるならば、彼に問いたい。「君は幸せだったかい?」と。
気ままな彼の事だ、簡単には答えてくれないだろう。とりあえず私は猫缶を買えるだけ買って禁煙しようと思っている。
「幸せだった猫」 終わり
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