姉「妹が欲しいって言ってたわよね」第5部:笑顔で・・・
- 2008/09/18
- 19:35
姉「妹が欲しいって言ってたわよね」第5部:笑顔で・・・
夢を見た。
弟君とデートする夢だった。
幸せな夢のはずなのに、とても悲しくて、わたしは泣きながら目を覚ました。
友「あー……」
パジャマの袖でぐしぐしと涙を拭う。
友「あー、あー……」
拭っても拭っても、涙は次から次へと溢れ出てきた。
友「何でこんな夢見るかなぁっ……」
よりにもよって失恋した次の日にこんな夢を見るなんて、辛すぎるよ。
弟君とデートする夢だった。
幸せな夢のはずなのに、とても悲しくて、わたしは泣きながら目を覚ました。
友「あー……」
パジャマの袖でぐしぐしと涙を拭う。
友「あー、あー……」
拭っても拭っても、涙は次から次へと溢れ出てきた。
友「何でこんな夢見るかなぁっ……」
よりにもよって失恋した次の日にこんな夢を見るなんて、辛すぎるよ。
弟君と出会ったのは一年前で、ベタだけど放課後の校内で落としたコンタクトを探しているときだった。
わたしが見るからに困りオーラを出していたのか、弟君が声をかけてきてくれたのだ。
弟「あの、どうしたんですか?」
友「え? あ、ちょっとコンタクトを落としちゃってねー、困った困った」
弟「そうなんですか。手伝いますよ」
友「えっ? い、いいって、いいってっ!」
見ず知らずのわたしなんかのために、弟君は遅くまでコンタクト探しを手伝ってくれた。
夜の8時まで探したのだけれど、結局コンタクトは見つからなかった。
友「ごめんね、こんな時間まで……もういいよー」
弟「もうちょっと探してみます」
友「ダメ! これ以上探させたら、申し訳なさでわたしが死んじゃうよ! むしろ死んでやるー!」
窓から飛び降りようとする素振りを見せる。
弟「うわぁっ、何してるんですか! 落ち着いて、落ち着いて!」
後ろから羽交い締めにされて、ドキッとした。
だって、男の子とこんなに密着したことって今までになかったから。
思い返すと、あのときからわたしの恋は始まってたんだと思う。
わたしが見るからに困りオーラを出していたのか、弟君が声をかけてきてくれたのだ。
弟「あの、どうしたんですか?」
友「え? あ、ちょっとコンタクトを落としちゃってねー、困った困った」
弟「そうなんですか。手伝いますよ」
友「えっ? い、いいって、いいってっ!」
見ず知らずのわたしなんかのために、弟君は遅くまでコンタクト探しを手伝ってくれた。
夜の8時まで探したのだけれど、結局コンタクトは見つからなかった。
友「ごめんね、こんな時間まで……もういいよー」
弟「もうちょっと探してみます」
友「ダメ! これ以上探させたら、申し訳なさでわたしが死んじゃうよ! むしろ死んでやるー!」
窓から飛び降りようとする素振りを見せる。
弟「うわぁっ、何してるんですか! 落ち着いて、落ち着いて!」
後ろから羽交い締めにされて、ドキッとした。
だって、男の子とこんなに密着したことって今までになかったから。
思い返すと、あのときからわたしの恋は始まってたんだと思う。
それから二人で例の喫茶店で夕食を食べ、色々なお話をした。
名前を聞くと、聞き覚えのある名字で、彼はなんとクラスメイトの弟さんだった。
クラスメイトだけれど、あまり話したことのない人だった。
こんなにいい人のお姉さんなら、きっといい人に違いない。明日話してみようと思った。
そして、せっかくだからと電話番号とメールアドレスを交換し、
その日の夜に早速お礼と謝罪のメールを送った。
すぐに返事がくる。メールの送受信であんなに胸がときめいたのは、初めてだった。
名前を聞くと、聞き覚えのある名字で、彼はなんとクラスメイトの弟さんだった。
クラスメイトだけれど、あまり話したことのない人だった。
こんなにいい人のお姉さんなら、きっといい人に違いない。明日話してみようと思った。
そして、せっかくだからと電話番号とメールアドレスを交換し、
その日の夜に早速お礼と謝罪のメールを送った。
すぐに返事がくる。メールの送受信であんなに胸がときめいたのは、初めてだった。
翌日、教室で勇気を出してお姉さんに声をかけてみる。
友「あの、こんにちはーっ」
姉「え? あ、こんにちは、友さん」
改めてその顔を見ると、とても凛々しく、美人さんだった。
それに加えて学業優秀、運動神経も抜群。マンガか何かの完璧超人みたいだ。
対してわたしは勉強ダメ、運動ダメ、容姿ダメの欠点の塊。
こと容姿に関しては、今日は眼鏡だから尚更ダメ。
あー、何か凹んできた。
姉「眼鏡なんて珍しいわねー、いつもはコンタクトだったんだ?」
友「あ、うん。でも、昨日コンタクト落としちゃってさ」
姉「あらら……って、あら? 弟が昨日コンタクト探し手伝ったとか言ってたけど」
友「そう、それわたしです。てへへへ……」
言ってて、何だか情けない気持ちになってきた。
笑いにも力が入らない。
姉「そうだったんだ。うん、うちの弟がお世話になりました」
何故かぺこりと頭を下げられる。
友「えっ、い、いやっ、お世話されたのはわたしの方だからっ」
頭を下げ返す。
ペコペコと頭を下げ合う間抜けな二人だった。
友「あの、こんにちはーっ」
姉「え? あ、こんにちは、友さん」
改めてその顔を見ると、とても凛々しく、美人さんだった。
それに加えて学業優秀、運動神経も抜群。マンガか何かの完璧超人みたいだ。
対してわたしは勉強ダメ、運動ダメ、容姿ダメの欠点の塊。
こと容姿に関しては、今日は眼鏡だから尚更ダメ。
あー、何か凹んできた。
姉「眼鏡なんて珍しいわねー、いつもはコンタクトだったんだ?」
友「あ、うん。でも、昨日コンタクト落としちゃってさ」
姉「あらら……って、あら? 弟が昨日コンタクト探し手伝ったとか言ってたけど」
友「そう、それわたしです。てへへへ……」
言ってて、何だか情けない気持ちになってきた。
笑いにも力が入らない。
姉「そうだったんだ。うん、うちの弟がお世話になりました」
何故かぺこりと頭を下げられる。
友「えっ、い、いやっ、お世話されたのはわたしの方だからっ」
頭を下げ返す。
ペコペコと頭を下げ合う間抜けな二人だった。
せっかくだから三人でお昼ご飯を食べようということになり、中庭で合流する。
弟「こんにちはー」
友「こ、こんにちはっ、昨日はありがとうね!」
弟「いえいえ。それにしても、すごい偶然だよね。
たまたま声をかけた人が、姉ちゃんのクラスメイトだったなんて」
姉「うちは三学年で15クラスだから、うん、なかなかあることじゃないかもね」
三人で色々な話をしているうちに、お姉ちゃんが重度のブラコンだということにすぐ気がつく。
クラスにいる時と全然雰囲気が違い、弟君にべったりだった。
姉「弟ー、困ってる人を助けるなんて、本当偉いわー」
お姉ちゃんが弟君の頭を撫で回す。
弟「い、いや当然のことをしたまでだから。そ、それより頭撫でないでよ、恥ずかしいなぁ」
口ではそう言っているけれど、弟君もまんざらではないようだった。
仲のいい姉弟だなぁと、素直にそう思った。
弟「こんにちはー」
友「こ、こんにちはっ、昨日はありがとうね!」
弟「いえいえ。それにしても、すごい偶然だよね。
たまたま声をかけた人が、姉ちゃんのクラスメイトだったなんて」
姉「うちは三学年で15クラスだから、うん、なかなかあることじゃないかもね」
三人で色々な話をしているうちに、お姉ちゃんが重度のブラコンだということにすぐ気がつく。
クラスにいる時と全然雰囲気が違い、弟君にべったりだった。
姉「弟ー、困ってる人を助けるなんて、本当偉いわー」
お姉ちゃんが弟君の頭を撫で回す。
弟「い、いや当然のことをしたまでだから。そ、それより頭撫でないでよ、恥ずかしいなぁ」
口ではそう言っているけれど、弟君もまんざらではないようだった。
仲のいい姉弟だなぁと、素直にそう思った。
そうして三人でお弁当を食べる日が何日間か続き、ある日わたしは気付いてしまった。
お姉ちゃんが弟君を見る目は、わたしが弟君を見る目だと同じだということに。
気がついてしまったら、もう一緒にお弁当を食べることなんてできなかった。
だって、わたしはお姉ちゃんのことも大好きになってしまっていたから。
大好きな友達の恋を邪魔することなんて、わたしにはできなかった。
それが例え、肉親間の禁断の恋だとしても。
お姉ちゃんが弟君を見る目は、わたしが弟君を見る目だと同じだということに。
気がついてしまったら、もう一緒にお弁当を食べることなんてできなかった。
だって、わたしはお姉ちゃんのことも大好きになってしまっていたから。
大好きな友達の恋を邪魔することなんて、わたしにはできなかった。
それが例え、肉親間の禁断の恋だとしても。
というのは綺麗事だ。
本当のもっと醜いわたしは、こう考えてた。
どうせ成就するわけがない。
そのうち諦めるに違いない。
そうなったら、わたしも弟君にアプローチしよう。
友達のわたしなら、お姉ちゃんもしょうがないと思って許してくれるよね。
本当に、なんて醜い本心。
でも、禁断の片思いは両思いになってしまった。
禁断の恋は成就してしまった。
わたしはみんなの前では平静を装っていたけれど、家に帰ってきてから大泣きした。
そして今も泣いている。
調子に乗って誰が好きかなんて、聞かなければ良かったんだ。
本当のもっと醜いわたしは、こう考えてた。
どうせ成就するわけがない。
そのうち諦めるに違いない。
そうなったら、わたしも弟君にアプローチしよう。
友達のわたしなら、お姉ちゃんもしょうがないと思って許してくれるよね。
本当に、なんて醜い本心。
でも、禁断の片思いは両思いになってしまった。
禁断の恋は成就してしまった。
わたしはみんなの前では平静を装っていたけれど、家に帰ってきてから大泣きした。
そして今も泣いている。
調子に乗って誰が好きかなんて、聞かなければ良かったんだ。
ぼーっとする頭で身支度を調え、家を出る。
食欲がないので朝食は食べなかった。
コンタクトレンズもつけていない。コンタクトを見ると、弟君とのことを思い出して泣きそうになるからだ。
自分の眼鏡顔は嫌いなので、眼鏡をつける気にもならなかった。
なので、今日は裸眼だ。視界がぼやける。視力は両目とも0.1を切っているので、そりゃもうぼやぼやだ。
空は雨模様。
こういう気分のときは、雨の方が気が楽だ。
快晴だと逆に気分が落ち込んでしまう。
さて、制服を着て家を出たはいいが、学校に行く気にはなれなかった。
お姉ちゃんはきっと幸せそうな顔をしているのだろう。
その顔を見る勇気は、わたしにはない。
そんなお姉ちゃんを見て、もしも黒い感情を抱いてしまったら、
わたしたちはもう友達ではいられなくなっちゃう。そんなのは嫌だ。
わたしは、お姉ちゃんのことも大好きだから。
大好きな人を憎むなんて、辛すぎるじゃない。
というわけで、今日は自主休講することにした。
友「サボリじゃないんだよ。自主休講なんだよ」
いつもならここで、似たようなもんだとか、同じでしょとかいうツッコミが入るんだけど。
一人って寂しいね。
食欲がないので朝食は食べなかった。
コンタクトレンズもつけていない。コンタクトを見ると、弟君とのことを思い出して泣きそうになるからだ。
自分の眼鏡顔は嫌いなので、眼鏡をつける気にもならなかった。
なので、今日は裸眼だ。視界がぼやける。視力は両目とも0.1を切っているので、そりゃもうぼやぼやだ。
空は雨模様。
こういう気分のときは、雨の方が気が楽だ。
快晴だと逆に気分が落ち込んでしまう。
さて、制服を着て家を出たはいいが、学校に行く気にはなれなかった。
お姉ちゃんはきっと幸せそうな顔をしているのだろう。
その顔を見る勇気は、わたしにはない。
そんなお姉ちゃんを見て、もしも黒い感情を抱いてしまったら、
わたしたちはもう友達ではいられなくなっちゃう。そんなのは嫌だ。
わたしは、お姉ちゃんのことも大好きだから。
大好きな人を憎むなんて、辛すぎるじゃない。
というわけで、今日は自主休講することにした。
友「サボリじゃないんだよ。自主休講なんだよ」
いつもならここで、似たようなもんだとか、同じでしょとかいうツッコミが入るんだけど。
一人って寂しいね。
いつもの通学路とは違う道を行く。
傘から聞こえる雨音が心地いい。
こういう雨の日って、何だか可哀想な自分に酔っちゃうよね。
携帯電話が振動し、メールの着信を伝える。
見ると、お姉ちゃんからだった。
『どうしたの? 風邪でも引いた?』
友「あー、もうホームルーム終わったくらいの時間かー」
わたしは健康だけが取り柄で、今まで無遅刻無欠席だった。
そんな奴が急に休んだら心配されるのも無理ないか。
うん、バカなのに風邪引いちゃったー、てへっ☆、と打ち、送信した。
そっか、お姉ちゃん心配してくれたんだ。嬉しいなぁ。
傘から聞こえる雨音が心地いい。
こういう雨の日って、何だか可哀想な自分に酔っちゃうよね。
携帯電話が振動し、メールの着信を伝える。
見ると、お姉ちゃんからだった。
『どうしたの? 風邪でも引いた?』
友「あー、もうホームルーム終わったくらいの時間かー」
わたしは健康だけが取り柄で、今まで無遅刻無欠席だった。
そんな奴が急に休んだら心配されるのも無理ないか。
うん、バカなのに風邪引いちゃったー、てへっ☆、と打ち、送信した。
そっか、お姉ちゃん心配してくれたんだ。嬉しいなぁ。
メールが返ってくる。
『そうなんだ、お大事にね。放課後に弟と一緒にお見舞いに行ってもいい?』
大したことないから来ないで、と返した。
来ないでっていうのは少しツンツンしすぎたかもと、送ってから思ったが、
お姉ちゃんは特に気にしていないようだった。
『そっか、わかった』
携帯電話を閉じる。
弟と一緒に。
何気ないその一文に、胸がひどく痛んだ。
『そうなんだ、お大事にね。放課後に弟と一緒にお見舞いに行ってもいい?』
大したことないから来ないで、と返した。
来ないでっていうのは少しツンツンしすぎたかもと、送ってから思ったが、
お姉ちゃんは特に気にしていないようだった。
『そっか、わかった』
携帯電話を閉じる。
弟と一緒に。
何気ないその一文に、胸がひどく痛んだ。
雨が降り続く町を散策する。
ここは結構な田舎町で、遊ぶところなんてほとんどない。
寂れたゲームセンター、ボーリング場、カラオケがあるくらいだ。
どこも一人で行くには少しばかり辛い場所だった。
しかし、他に行く場所もない。
他の二つよりはマシだろうと考え、なんとなくゲームセンターに立ち寄ってみた。
学校のあるこの時間は、いつにも増して寂れている。客はわたしを含めてたったの三人。
そこで一人で格闘ゲームをしている寂しい奴を見つけてしまった。
友「サボリとは感心しませんなぁ、男くん」
男「あ?」
男くんは不機嫌だったようで、こちらを振り返ったときには物凄い形相をしていた。
ぶち殺すぞ人間とでも言いそうな顔だったが、わたしの顔を確認すると、いつもの顔に戻った。
男「こんな時間にこんなところで何してんだ、おまえ」
友「その言葉、そっくりそのまま返しますよーだ」
男「知っての通り、俺は失恋して傷心中なんでな。放っておいてくれや」
そう言って、また対戦台に体を向けた。
友「奇遇だねー、わたしも失恋して傷心中なんだよ」
男「はぁ?」
素っ頓狂な声をあげて、またこちらを見てきた。
どうやらわたしが弟君のことを好きだったのは、男くんにもバレていなかったらしい。
ここは結構な田舎町で、遊ぶところなんてほとんどない。
寂れたゲームセンター、ボーリング場、カラオケがあるくらいだ。
どこも一人で行くには少しばかり辛い場所だった。
しかし、他に行く場所もない。
他の二つよりはマシだろうと考え、なんとなくゲームセンターに立ち寄ってみた。
学校のあるこの時間は、いつにも増して寂れている。客はわたしを含めてたったの三人。
そこで一人で格闘ゲームをしている寂しい奴を見つけてしまった。
友「サボリとは感心しませんなぁ、男くん」
男「あ?」
男くんは不機嫌だったようで、こちらを振り返ったときには物凄い形相をしていた。
ぶち殺すぞ人間とでも言いそうな顔だったが、わたしの顔を確認すると、いつもの顔に戻った。
男「こんな時間にこんなところで何してんだ、おまえ」
友「その言葉、そっくりそのまま返しますよーだ」
男「知っての通り、俺は失恋して傷心中なんでな。放っておいてくれや」
そう言って、また対戦台に体を向けた。
友「奇遇だねー、わたしも失恋して傷心中なんだよ」
男「はぁ?」
素っ頓狂な声をあげて、またこちらを見てきた。
どうやらわたしが弟君のことを好きだったのは、男くんにもバレていなかったらしい。
休憩コーナーのベンチに座り、二人で缶ジュースを飲む。
男くんに事情を説明する。
男「なるほどな。正直全然気がつかなかったぜ」
友「そりゃもう必死に隠してたからね。バレてたまるもんですかコンチキ」
男「お互い辛いな」
友「そうだねー、もう恋なんてできないかも」
こんな辛い気持ち、もう二度と味わいたくない。
男「保健室でリモコン下駄を飛ばさなきゃ、おまえにも俺にもチャンスがあっただろうに」
友「うぅーっ、だって、お姉ちゃんが危ないと思ったんだもん」
男「てめ、人を強姦魔みたいに言うんじゃねぇよ!」
友「似たようなもんじゃん、空気に物を言わせてキスなんかしようとしてー!」
男「全然違ぇよ!」
懐かしい言い争い。
ああ、楽しいなぁ。やっぱり一人より二人の方が断然楽しい。
そして二人より三人……とは今はまだ言えないけれど。
またいつかみんなで笑い合える日がくるように、わたしも頑張って気持ちを整理しないとね。
男くんに事情を説明する。
男「なるほどな。正直全然気がつかなかったぜ」
友「そりゃもう必死に隠してたからね。バレてたまるもんですかコンチキ」
男「お互い辛いな」
友「そうだねー、もう恋なんてできないかも」
こんな辛い気持ち、もう二度と味わいたくない。
男「保健室でリモコン下駄を飛ばさなきゃ、おまえにも俺にもチャンスがあっただろうに」
友「うぅーっ、だって、お姉ちゃんが危ないと思ったんだもん」
男「てめ、人を強姦魔みたいに言うんじゃねぇよ!」
友「似たようなもんじゃん、空気に物を言わせてキスなんかしようとしてー!」
男「全然違ぇよ!」
懐かしい言い争い。
ああ、楽しいなぁ。やっぱり一人より二人の方が断然楽しい。
そして二人より三人……とは今はまだ言えないけれど。
またいつかみんなで笑い合える日がくるように、わたしも頑張って気持ちを整理しないとね。
友「でも、その、怒ってないの?」
内心少しビクビクとしながらも訊いてみる。
男「何がだ?」
友「だって、わたしがリモコン下駄を飛ばさなければ、キスできてたんだよ?」
男「ああ、そのことか。別に怒ってなんかいねぇよ」
友「どして?」
男「あれはあれで面白かったからな」
そう言って、ニヤリと笑う。
すごい、男くんってただのバカかと思ってたのに、実はメチャクチャ器でかい人だったんだ。
内心少しビクビクとしながらも訊いてみる。
男「何がだ?」
友「だって、わたしがリモコン下駄を飛ばさなければ、キスできてたんだよ?」
男「ああ、そのことか。別に怒ってなんかいねぇよ」
友「どして?」
男「あれはあれで面白かったからな」
そう言って、ニヤリと笑う。
すごい、男くんってただのバカかと思ってたのに、実はメチャクチャ器でかい人だったんだ。
男「ドラマとかだと、こうしてフラれた者同士がくっついたりするよな」
友「うん? 何? 男くん、あたしとくっつきたいの?」
男「俺は嫌だね、ああいうのは」
友「ありゃ、珍しく気が合うね。ああいうドラマってさー、余った者同士可哀想だし、
仕方ないからくっつけてやるかーみたいな制作側の意図が見えて嫌なんだよねー」
男「視聴者の声もあるんじゃねぇのか。可哀想だからくっつけてやれ、みたいな」
友「あー、そういうのもあるのかもねー」
というわけで、男くんに対して今のところ恋愛感情はゼロである。
それは向こうも同じだろう。
わたしたちの関係を一番上手く表している言葉があるとするならば、それは「戦友」だろうか。
男「……ありがとよ、おまえと話してたら少し気分が晴れたぜ」
友「Me too.」
男「ミート? 肉が食いたいのか?」
やっぱりただのバカなのかもしれない。
友「うん? 何? 男くん、あたしとくっつきたいの?」
男「俺は嫌だね、ああいうのは」
友「ありゃ、珍しく気が合うね。ああいうドラマってさー、余った者同士可哀想だし、
仕方ないからくっつけてやるかーみたいな制作側の意図が見えて嫌なんだよねー」
男「視聴者の声もあるんじゃねぇのか。可哀想だからくっつけてやれ、みたいな」
友「あー、そういうのもあるのかもねー」
というわけで、男くんに対して今のところ恋愛感情はゼロである。
それは向こうも同じだろう。
わたしたちの関係を一番上手く表している言葉があるとするならば、それは「戦友」だろうか。
男「……ありがとよ、おまえと話してたら少し気分が晴れたぜ」
友「Me too.」
男「ミート? 肉が食いたいのか?」
やっぱりただのバカなのかもしれない。
そんなわけで、お昼に例の喫茶店で肉を食べることになった。
店員「ご注文お決まりでしょうか?」
男「デミグラスハンバーグで」
友「ええっと、じゃ、サイコロステーキください」
店員「かしこまりました、少々お待ちください」
店員さんが厨房に戻っていく。
男「おまえと二人で来るのは初めてだな」
友「はぁ、ご飯を食べられる場所がここくらいしかないとはいえ、切なくなるなぁ」
男「なるほど、弟君と来たことがあるんだな」
友「うん、出会いの日にね。男くんはお姉ちゃんと来たことあるの?」
男「いや、ねぇ」
友「……うん」
それはそれで切なかった。
店員「ご注文お決まりでしょうか?」
男「デミグラスハンバーグで」
友「ええっと、じゃ、サイコロステーキください」
店員「かしこまりました、少々お待ちください」
店員さんが厨房に戻っていく。
男「おまえと二人で来るのは初めてだな」
友「はぁ、ご飯を食べられる場所がここくらいしかないとはいえ、切なくなるなぁ」
男「なるほど、弟君と来たことがあるんだな」
友「うん、出会いの日にね。男くんはお姉ちゃんと来たことあるの?」
男「いや、ねぇ」
友「……うん」
それはそれで切なかった。
昼食を終え、店を出る。
外は相変わらずの土砂降りだった。
男「こりゃ今日はもう止まねぇな」
友「良純が午後から晴れるって言ってたよ」
男「そりゃ止まねぇな」
外は相変わらずの土砂降りだった。
男「こりゃ今日はもう止まねぇな」
友「良純が午後から晴れるって言ってたよ」
男「そりゃ止まねぇな」
友「これからどうする?」
男「雨のせいか体がだりぃし、帰って寝る」
友「……そっか」
となると、また一人になるのか。
少し寂しいかも。
男「と思ったが、寂しそうな友のためにもうちょい遊んでいくか」
友「だっ、誰が寂しそうなのさっ」
男「おまえだ、おまえ。捨てられた子猫みたいな目してたぞ」
友「してないもんっ」
男「別にどっちでもいいがね。さて、選択肢は二つだ」
友「カラオケかボーリング?」
男「その通り」
友「うーん、それならカラオケかなー」
ボーリングはあまり上手にできないし。
男「あいよ。じゃ、歌いまくってスカッとしようぜ」
友「あいあいさー」
男「雨のせいか体がだりぃし、帰って寝る」
友「……そっか」
となると、また一人になるのか。
少し寂しいかも。
男「と思ったが、寂しそうな友のためにもうちょい遊んでいくか」
友「だっ、誰が寂しそうなのさっ」
男「おまえだ、おまえ。捨てられた子猫みたいな目してたぞ」
友「してないもんっ」
男「別にどっちでもいいがね。さて、選択肢は二つだ」
友「カラオケかボーリング?」
男「その通り」
友「うーん、それならカラオケかなー」
ボーリングはあまり上手にできないし。
男「あいよ。じゃ、歌いまくってスカッとしようぜ」
友「あいあいさー」
ゲームセンター同様、カラオケも閑古鳥が鳴いていた。
店員「お時間はお決まりでしょうか?」
男「四時間で」
友「よっ!?」
気でも狂ったのだろうか。
二人で四時間? どれだけ歌うつもりなの? バカなの? 死ぬの?
男「なんだよ、その顔は」
友「いや、ちょっと時間多くない?」
男「俺は一人で来るときも四時間歌うぞ」
今なんか、物凄く寂しい台詞を聞いたのは気のせいだろか。
店員「お時間はお決まりでしょうか?」
男「四時間で」
友「よっ!?」
気でも狂ったのだろうか。
二人で四時間? どれだけ歌うつもりなの? バカなの? 死ぬの?
男「なんだよ、その顔は」
友「いや、ちょっと時間多くない?」
男「俺は一人で来るときも四時間歌うぞ」
今なんか、物凄く寂しい台詞を聞いたのは気のせいだろか。
部屋に入るや否や、男くんが曲を入れる。
画面には、エプロンだけは取らないで、と写されている。
なんていうか、最初からクライマックスだった。
わたしは終始( ゚д゚)←こんな顔をしていた。
画面には、エプロンだけは取らないで、と写されている。
なんていうか、最初からクライマックスだった。
わたしは終始( ゚д゚)←こんな顔をしていた。
男「ふぅ……」
歌い終わった男くんは、やり遂げた男の顔をしていた。
男「どうした、おまえも歌えよ」
友「えっ、あ、ああ、うん」
男「じゃねぇと、俺のリサイタルになっちまうぜ」
言いながら次の曲を入れてくる。
画面にはもってけ!セーラーふくの文字が写されていた。
歌い終わった男くんは、やり遂げた男の顔をしていた。
男「どうした、おまえも歌えよ」
友「えっ、あ、ああ、うん」
男「じゃねぇと、俺のリサイタルになっちまうぜ」
言いながら次の曲を入れてくる。
画面にはもってけ!セーラーふくの文字が写されていた。
\ /_ / ヽ / } レ,' / ̄ ̄ ̄ ̄\
|`l`ヽ /ヽ/ <´`ヽ u ∨ u i レ' /
└l> ̄ !i´-) |\ `、 ヽ), />/ / 地 ほ こ
!´ヽ、 ヽ ( _ U !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬―┬./ 獄 ん れ
_|_/;:;:;7ヽ-ヽ、 '') ""'''`` ‐'"='-'" / ! ! / だ. と か
| |;:;:;:{ U u ̄|| u u ,..、_ -> /`i ! ! \ :. う ら
| |;:;:;:;i\ iヽ、 i {++-`7, /| i ! ! <_ の が
__i ヽ;:;:;ヽ `、 i ヽ、  ̄ ̄/ =、_i_ ! ! /
ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i /,ゝ_/| i  ̄ヽヽ ! ! ,, -'\
ヽ、\;:;:;:;:`ー、`ー'´ ̄/;:;ノ ノ ヽ| / ,、-''´ \/ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ Y´/;:;:;\
わたしの脳内に住んでいるベジータさんが何か言っていた。
|`l`ヽ /ヽ/ <´`ヽ u ∨ u i レ' /
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!´ヽ、 ヽ ( _ U !、 ヽ。ヽ/,レ,。7´/-┬―┬―┬./ 獄 ん れ
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ヽ ヽ;:;:;:\ `ヽ、i /,ゝ_/| i  ̄ヽヽ ! ! ,, -'\
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 ̄ ̄ ̄ Y´/;:;:;\
わたしの脳内に住んでいるベジータさんが何か言っていた。
男「ふぅ……何だ、まだ入れてねぇのか」
友「いや、その、なんというか、呆気にとられて」
男「俺は歌いたい曲を歌っているだけさ」
次はどんな曲が入るのかと思いきや、意外にも有名グループの曲だった。
たしか、ウルトラソウル!とか叫ぶ曲だ。
友「いや、その、なんというか、呆気にとられて」
男「俺は歌いたい曲を歌っているだけさ」
次はどんな曲が入るのかと思いきや、意外にも有名グループの曲だった。
たしか、ウルトラソウル!とか叫ぶ曲だ。
そんなこんなで、男くんの歌を聴いているだけになってしまった。
最初は呆気に取られたが、聴いてて気持ちのいい歌声だった。
それに、選曲があまりに無差別すぎて、次の曲が全く予測できないのも面白い。
アニメソングを歌ったかと思いきやロックを歌い、ロックを歌ったかと思いきや演歌を歌っていた。
男「桑田佳祐でキューティーハニー」
時にはそんな芸を披露してくれたりもしていた。
ちなみに、全然似てなかった。
最初は呆気に取られたが、聴いてて気持ちのいい歌声だった。
それに、選曲があまりに無差別すぎて、次の曲が全く予測できないのも面白い。
アニメソングを歌ったかと思いきやロックを歌い、ロックを歌ったかと思いきや演歌を歌っていた。
男「桑田佳祐でキューティーハニー」
時にはそんな芸を披露してくれたりもしていた。
ちなみに、全然似てなかった。
男くんが四時間歌い倒し、店から出る頃には外は既に薄暗くなっていた。
良純の力だろうか、もう雨は止んでいた。
男「俺は全力で楽しんだが、おまえ楽しかったか? 一曲も歌わなかったじゃねぇか」
友「ううん、カオスで楽しかったよ」
男「それならいいけどよ」
それからは無言で歩く。
無言といっても特に気まずいこともなく、心地がいいゆったりとした時間だった。
そして、二人の家の別れ道に差し掛かる。
友「今日はありがとうね、楽しかったよ」
男「ああ、俺もだ」
友「おかげでだいぶ気が晴れたよ。男くんに会わなかったら、今日一日ずっと沈んだままだったかも」
男「ああ」
友「ううん、もしかしたら明日まで引きずってたかもしれないよ」
男「そりゃよろしくねぇな」
友「うん、だから、ありがとう」
男「どう致しまして。明日はサボんなよ」
友「男くんもね」
男「ああ。じゃ、また明日学校でな」
友「うん、ばいばい」
手を振り、男くんと別れる。
まだ完全復活とは言えないけれど。
楽しかった今日のおかげで、明日は何とか学校に行けそうだ。
うん、明日は学校に行って、笑顔でお姉ちゃんと弟君に挨拶しよう。
まだ心から笑いかけることはできないかもしれないけど、いつの日かきっとできるよね。
良純の力だろうか、もう雨は止んでいた。
男「俺は全力で楽しんだが、おまえ楽しかったか? 一曲も歌わなかったじゃねぇか」
友「ううん、カオスで楽しかったよ」
男「それならいいけどよ」
それからは無言で歩く。
無言といっても特に気まずいこともなく、心地がいいゆったりとした時間だった。
そして、二人の家の別れ道に差し掛かる。
友「今日はありがとうね、楽しかったよ」
男「ああ、俺もだ」
友「おかげでだいぶ気が晴れたよ。男くんに会わなかったら、今日一日ずっと沈んだままだったかも」
男「ああ」
友「ううん、もしかしたら明日まで引きずってたかもしれないよ」
男「そりゃよろしくねぇな」
友「うん、だから、ありがとう」
男「どう致しまして。明日はサボんなよ」
友「男くんもね」
男「ああ。じゃ、また明日学校でな」
友「うん、ばいばい」
手を振り、男くんと別れる。
まだ完全復活とは言えないけれど。
楽しかった今日のおかげで、明日は何とか学校に行けそうだ。
うん、明日は学校に行って、笑顔でお姉ちゃんと弟君に挨拶しよう。
まだ心から笑いかけることはできないかもしれないけど、いつの日かきっとできるよね。
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