父「タカシ、誕生日プレゼントは何がいいんだ?」…第2部
- 2009/10/25
- 17:56
父「タカシ、誕生日プレゼントは何がいいんだ?」…第2部
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 22:20:29.93 ID:zr0Egkxd0
その晩、伯父達はやり遂げた顔をして家に帰ってきた。
どうやら社内での方針はうまい事まとまったらしい、良いことだ。
テレビをつけると、ニュース以外の番組はすべて録画番組や再放送だった。
ふと、CMの量が明らかに少ない事に気づく。
なんとなく、従兄の言っていた「社会参加に覚悟が必要」ということを思い出した。
それから、しばらくは多少ごたつきながらも結構平穏な時が流れた…と思う。
確かに従兄やギャルが「バイトの仕事増えた」とか、
そばかすが「絵具買い忘れがあったのに画材店しまった…」とか言っていたけど、
意外なまでに物品の循環はきちんとあったし、自分や周囲の人の身が危険にさらされることはなかった。
だけど、隕石が落ちるという発表がされてから約1ヶ月後…
とある系統のニュースが頻繁に流れてくるようになった
どうやら社内での方針はうまい事まとまったらしい、良いことだ。
テレビをつけると、ニュース以外の番組はすべて録画番組や再放送だった。
ふと、CMの量が明らかに少ない事に気づく。
なんとなく、従兄の言っていた「社会参加に覚悟が必要」ということを思い出した。
それから、しばらくは多少ごたつきながらも結構平穏な時が流れた…と思う。
確かに従兄やギャルが「バイトの仕事増えた」とか、
そばかすが「絵具買い忘れがあったのに画材店しまった…」とか言っていたけど、
意外なまでに物品の循環はきちんとあったし、自分や周囲の人の身が危険にさらされることはなかった。
だけど、隕石が落ちるという発表がされてから約1ヶ月後…
とある系統のニュースが頻繁に流れてくるようになった
最初から読む
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-433.html
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 22:24:03.47 ID:zr0Egkxd0
アナウンサー「**町にて無理心中と思われる男女の死体が―――」
従兄「……最近多いよな…」
タカシ「うん…」
従兄「自殺はまだいいとしてさ、無理心中も増えてきたのはどうかと思う」
タカシ「……うん」
最近、自殺関連のニュースが多い。
遊ぶだけ遊んで思い残すことがなくなったら死ぬ。とてもわかりやすいようで、俺にはよくわからない。
死ぬのはそれだけで怖い。
タカシ「朝からこういうニュース流すのもどうかと思うけど」
従兄「隠してしまうのもどうかと思うな。どっちもどっちだ」
タカシ「そっか…」
もぐもぐと白飯を咀嚼しながら、今自分が食べてるものの生産者達にはそうなってほしくないと思った。
なんだかんだで、俺は食い物の心配ばかりしているな。
従兄「……最近多いよな…」
タカシ「うん…」
従兄「自殺はまだいいとしてさ、無理心中も増えてきたのはどうかと思う」
タカシ「……うん」
最近、自殺関連のニュースが多い。
遊ぶだけ遊んで思い残すことがなくなったら死ぬ。とてもわかりやすいようで、俺にはよくわからない。
死ぬのはそれだけで怖い。
タカシ「朝からこういうニュース流すのもどうかと思うけど」
従兄「隠してしまうのもどうかと思うな。どっちもどっちだ」
タカシ「そっか…」
もぐもぐと白飯を咀嚼しながら、今自分が食べてるものの生産者達にはそうなってほしくないと思った。
なんだかんだで、俺は食い物の心配ばかりしているな。
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 22:31:02.07 ID:zr0Egkxd0
登校中、学校に行く道の人の少なさにも慣れた。
と同時に、今社会生活をしたい人がまだこれだけいると思うと心強く感じるようになってきた。
今までは空気に徹していたからか、家の中以外常に一人なんじゃないかと思っていたけれど、
その感覚もだいぶ薄れて、なんだか強くなったような気がしてきた。
まだひょろいのは自覚しているけれど。心的に。
タカシ「おはようございます」
男子「おはようタカシ。早速だけど消しゴムかしてくんね?」
あいさつだってするようになった。けど男子は俺に打ち解けすぎだと思う。こっちはまだちょっとカベあるのに。
筆箱自体を忘れてきたと豪語する男子に俺は芯のでなくなったシャーペンを消しゴムとして貸した。
男子「えー…いやいや…えー…」
タカシ「予備のケシゴム無いからそれで」
男子「うーん…わかった」
…こいつのこんなにしょんぼりした顔は初めて見た。いままでは顔見ても「誰?」だったのにな。
俺も進歩したもんだ。
と同時に、今社会生活をしたい人がまだこれだけいると思うと心強く感じるようになってきた。
今までは空気に徹していたからか、家の中以外常に一人なんじゃないかと思っていたけれど、
その感覚もだいぶ薄れて、なんだか強くなったような気がしてきた。
まだひょろいのは自覚しているけれど。心的に。
タカシ「おはようございます」
男子「おはようタカシ。早速だけど消しゴムかしてくんね?」
あいさつだってするようになった。けど男子は俺に打ち解けすぎだと思う。こっちはまだちょっとカベあるのに。
筆箱自体を忘れてきたと豪語する男子に俺は芯のでなくなったシャーペンを消しゴムとして貸した。
男子「えー…いやいや…えー…」
タカシ「予備のケシゴム無いからそれで」
男子「うーん…わかった」
…こいつのこんなにしょんぼりした顔は初めて見た。いままでは顔見ても「誰?」だったのにな。
俺も進歩したもんだ。
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 22:38:55.58 ID:zr0Egkxd0
再編成したクラスには、3年全部が集まっている。
それでも30人に満たない小さなクラスだ。
学年でいうと、3年が最も少なく、2年と1年がほぼ同数で2クラスづつあるそうだ。
先生達は常にどこかの授業を受け持っていてとても忙しそうにしている。
進路「では、出欠をとります」
3年クラスの新担任は進路担当になった。授業も、最近はやってなかったが国語を担当してくれている。
出欠確認が終わった後の朝礼で、進路担当が他の高校は大概休校になっていると教えてくれた。
それを幸と思うか不幸と思うかは人によるだろうけれど、
少なくとも今このクラスにいるやつは不幸と思うだろうな。
朝礼後、一時間目の先生が来るまでクラスのなかでざわざわといろんな話が交換される。
最初は元々のクラスが同じ連中で集まっていたが、数日前からそれがちょっとづつ崩れ出している。
ヤンキー「あー、タカシだっけ?お前家庭菜園してるって聞いたけど…」
タカシ「始めたばっかりでよくわかんないけど…」
ヤンキー「それでもいいや。必要なのって何がある?」
それでも30人に満たない小さなクラスだ。
学年でいうと、3年が最も少なく、2年と1年がほぼ同数で2クラスづつあるそうだ。
先生達は常にどこかの授業を受け持っていてとても忙しそうにしている。
進路「では、出欠をとります」
3年クラスの新担任は進路担当になった。授業も、最近はやってなかったが国語を担当してくれている。
出欠確認が終わった後の朝礼で、進路担当が他の高校は大概休校になっていると教えてくれた。
それを幸と思うか不幸と思うかは人によるだろうけれど、
少なくとも今このクラスにいるやつは不幸と思うだろうな。
朝礼後、一時間目の先生が来るまでクラスのなかでざわざわといろんな話が交換される。
最初は元々のクラスが同じ連中で集まっていたが、数日前からそれがちょっとづつ崩れ出している。
ヤンキー「あー、タカシだっけ?お前家庭菜園してるって聞いたけど…」
タカシ「始めたばっかりでよくわかんないけど…」
ヤンキー「それでもいいや。必要なのって何がある?」
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 22:44:56.17 ID:zr0Egkxd0
タカシ「家ではプランターと、肥料と…あ、土は栄養があるのを売ってるからそれ使ったほうが…」
ヤンキー「サンキュー。オヤジの会社が経営やめるらしくてさー、なんかできないかって言われたんだよ」
タカシ「……どの家庭も大概大変なんだな…」
まぁ、だいたいこんな感じに境界線はほぐれてきている。
そんな時、女子が窓の外を見て「あ」と声をあげた。
女子「だれか学校の中に入ってきてる!」
みんながざわつく。窓によって見てみると、ひきつった顔の中年女性が校庭をまっすぐ突っ切ってきている。
そばかす「あ、あれウチの母さんだ」
タカシ「忘れ物?」
そばかす「っぽくないねー」
ヤンキー「サンキュー。オヤジの会社が経営やめるらしくてさー、なんかできないかって言われたんだよ」
タカシ「……どの家庭も大概大変なんだな…」
まぁ、だいたいこんな感じに境界線はほぐれてきている。
そんな時、女子が窓の外を見て「あ」と声をあげた。
女子「だれか学校の中に入ってきてる!」
みんながざわつく。窓によって見てみると、ひきつった顔の中年女性が校庭をまっすぐ突っ切ってきている。
そばかす「あ、あれウチの母さんだ」
タカシ「忘れ物?」
そばかす「っぽくないねー」
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 22:52:54.20 ID:zr0Egkxd0
そばかすはのんきに言っているが、はたから見るととてもそんな様子には見えない。
しばらくすると、一時間目の担当とともにそばかすの母ちゃんが教室に来た。
そばかす母「じいちゃんたちが死んだ!今すぐ帰るわよ!!」
そばかす「…何が原因で?」
そばかす母「++が無理心中にまきこんで…」
そばかす「……叔父さん世を儚んでたもんねー」
俺らからすると、何をのんきにしているんだとしか言いようのない状況だった。
そばかすはギャルに帰ってきたらノートを見せてくれるように頼むと、母ちゃんに連れられて行った。
休み時間、ギャルが暗い顔をしているのを見つけた。
タカシ「どうした?」
ギャル「あ……いや…そばかすが心配で……」
タカシ「精神的には明らかにバッファロー素手で殺せそうなぐらい強いと思うけど…」
ギャル「確かになんか不思議入ってて強そうだけどー…」
しばらくすると、一時間目の担当とともにそばかすの母ちゃんが教室に来た。
そばかす母「じいちゃんたちが死んだ!今すぐ帰るわよ!!」
そばかす「…何が原因で?」
そばかす母「++が無理心中にまきこんで…」
そばかす「……叔父さん世を儚んでたもんねー」
俺らからすると、何をのんきにしているんだとしか言いようのない状況だった。
そばかすはギャルに帰ってきたらノートを見せてくれるように頼むと、母ちゃんに連れられて行った。
休み時間、ギャルが暗い顔をしているのを見つけた。
タカシ「どうした?」
ギャル「あ……いや…そばかすが心配で……」
タカシ「精神的には明らかにバッファロー素手で殺せそうなぐらい強いと思うけど…」
ギャル「確かになんか不思議入ってて強そうだけどー…」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 23:00:45.21 ID:zr0Egkxd0
バッファローを素手でとか用意している突っ込みどころに突っ込まないあたり本気で心配しているらしい。
俺には仮に何かあっても気づいてたら無事だったとか言い放つ様子しか浮かばないんだが。
ギャル「……そばかすのおじいちゃんちって、結構田舎なんだよね」
タカシ「そうなんだ?」
ギャル「そうなの。タカシはさ、ニュースちゃんと見てる?」
タカシ「うん」
ギャル「じゃあ、山奥とかに人殺して逃げ込む人がいるらしいって話は知ってる?」
タカシ「それは見てなかった……」
ギャル「集団自殺とかのニュースのほうが多いもんね…」
タカシ「じゃあ、そういう連中にそばかすが襲われないか不安ってことか」
ギャル「そーだよ」
タカシ「……大丈夫だと思うけどなぁ…根拠はないけど」
俺には仮に何かあっても気づいてたら無事だったとか言い放つ様子しか浮かばないんだが。
ギャル「……そばかすのおじいちゃんちって、結構田舎なんだよね」
タカシ「そうなんだ?」
ギャル「そうなの。タカシはさ、ニュースちゃんと見てる?」
タカシ「うん」
ギャル「じゃあ、山奥とかに人殺して逃げ込む人がいるらしいって話は知ってる?」
タカシ「それは見てなかった……」
ギャル「集団自殺とかのニュースのほうが多いもんね…」
タカシ「じゃあ、そういう連中にそばかすが襲われないか不安ってことか」
ギャル「そーだよ」
タカシ「……大丈夫だと思うけどなぁ…根拠はないけど」
99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 23:12:29.10 ID:zr0Egkxd0
「根拠がないなら言わないでよ」などとギャルに怒られてしまったが、
襲われる"かも"で顔色悪くするほど心配するほうもちょっと過保護すぎる気がしないでもない。
しかしなぁ…そこそこに平穏な気がしていたが、
自分と離れている場所とはいえニュースのような事が起きたときいたらやはり少し不安になる。
さっき、ギャルに対して過保護だと思ったけれど、
あくまで隕石がおちる"かも"に対して過敏に反応しすぎてる人が多すぎるということを改めて感じた。
アレルギー反応の原理みたいなものを思い起こさせる。
あれも物質に対する過剰反応だっけか、なんか本を流し読みした時に見た覚えがある程度だけど。
そういえば…肝心の隕石の衝突率は、ずっと80%前半をキープしている。
常に再計算をしてくれている天文学者たちがいるらしく、結果が出るたびにニュースで流してくれている。
襲われる"かも"で顔色悪くするほど心配するほうもちょっと過保護すぎる気がしないでもない。
しかしなぁ…そこそこに平穏な気がしていたが、
自分と離れている場所とはいえニュースのような事が起きたときいたらやはり少し不安になる。
さっき、ギャルに対して過保護だと思ったけれど、
あくまで隕石がおちる"かも"に対して過敏に反応しすぎてる人が多すぎるということを改めて感じた。
アレルギー反応の原理みたいなものを思い起こさせる。
あれも物質に対する過剰反応だっけか、なんか本を流し読みした時に見た覚えがある程度だけど。
そういえば…肝心の隕石の衝突率は、ずっと80%前半をキープしている。
常に再計算をしてくれている天文学者たちがいるらしく、結果が出るたびにニュースで流してくれている。
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 23:18:40.63 ID:zr0Egkxd0
80%を高いと思うか低いと思うかは人によるだろうけど、
それでもう駄目だと思う人がこんなに多いのは俺にとっては不思議だった。
今日の授業も一通り終わる。
男子がシャーペンを返してくれたが消しゴムはほんのわずかにかけらをのこして使い切られていた。
よくこの小さい消しゴムを使いきったな…
俺がシャーペンの後ろの使おうとすると必ず行方不明になって終了する。男子め根性があるじゃないか。
男子「今日はありがとうな、この恩は忘れない」
タカシ「口調が恩っていうより怨っぽいんだけど…」
男子「なんだよくわかってるじゃないか」
タカシ「使いにくいなら言えばいいのに」
男子「借りたものにケチつけるのってなんかダメだろ?」
タカシ「それもそうだな」
それでもう駄目だと思う人がこんなに多いのは俺にとっては不思議だった。
今日の授業も一通り終わる。
男子がシャーペンを返してくれたが消しゴムはほんのわずかにかけらをのこして使い切られていた。
よくこの小さい消しゴムを使いきったな…
俺がシャーペンの後ろの使おうとすると必ず行方不明になって終了する。男子め根性があるじゃないか。
男子「今日はありがとうな、この恩は忘れない」
タカシ「口調が恩っていうより怨っぽいんだけど…」
男子「なんだよくわかってるじゃないか」
タカシ「使いにくいなら言えばいいのに」
男子「借りたものにケチつけるのってなんかダメだろ?」
タカシ「それもそうだな」
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 23:25:54.26 ID:zr0Egkxd0
そんな話をしてから、男子は部室へと向かっていった。
同じクラスのやつは部活動に向かうほとんどらしく、カバンをもつと早々に部室へと散っていく。
このクラスで部活動をやってないのはどうやらオレとデブぐらいのものらしい。
そういえば、ずっとデブ呼ばわりしているが、最近デブは大デブから中デブへと進化しつつある。
……一応、ちょっと聞いてみようかな?
タカシ「そういえばデブちょっとやせた?」
デブ「わかる? ちょっと痩せてきたんだ」
タカシ「食べる量へった?」
デブ「うん…。」
何か表情が暗い。これ以上聞くとなんだか面倒そうな話を耳にする予感がして、
「健康的でいいんじゃないか?」と話を濁して早めに帰ることにした。
同じクラスのやつは部活動に向かうほとんどらしく、カバンをもつと早々に部室へと散っていく。
このクラスで部活動をやってないのはどうやらオレとデブぐらいのものらしい。
そういえば、ずっとデブ呼ばわりしているが、最近デブは大デブから中デブへと進化しつつある。
……一応、ちょっと聞いてみようかな?
タカシ「そういえばデブちょっとやせた?」
デブ「わかる? ちょっと痩せてきたんだ」
タカシ「食べる量へった?」
デブ「うん…。」
何か表情が暗い。これ以上聞くとなんだか面倒そうな話を耳にする予感がして、
「健康的でいいんじゃないか?」と話を濁して早めに帰ることにした。
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 23:35:12.79 ID:zr0Egkxd0
帰りの道で、あやしいコート姿の男を見かけた。
そろそろ冬だしコートを着てる分にはいいんだが、挙動が落ち着かないというのが正しいだろう。
なんにせよ関わりたくないので無視して家に帰る。
従兄はバイトで、伯父も小母もまだ仕事中らしい。
玄関にカギをかけて室内のプランターに水をやった後、ソファーにころがってテレビをつける。
ここ最近は新しい番組をやってくれないのでニュースばかりみている。
天文学者達が、隕石の最接近…つまりぶつかる日はいつになるかという事を計算したという内容がやっている。
タカシ「…… え?」
驚いた。予測日は俺の20歳の誕生日と同じ日らしい。
そろそろ冬だしコートを着てる分にはいいんだが、挙動が落ち着かないというのが正しいだろう。
なんにせよ関わりたくないので無視して家に帰る。
従兄はバイトで、伯父も小母もまだ仕事中らしい。
玄関にカギをかけて室内のプランターに水をやった後、ソファーにころがってテレビをつける。
ここ最近は新しい番組をやってくれないのでニュースばかりみている。
天文学者達が、隕石の最接近…つまりぶつかる日はいつになるかという事を計算したという内容がやっている。
タカシ「…… え?」
驚いた。予測日は俺の20歳の誕生日と同じ日らしい。
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 23:44:27.82 ID:zr0Egkxd0
隕石が落ちるというニュースを初めて耳にした日に思ったことが再び頭をよぎる。
もしかしたらあの隕石は、
星が欲しいとか言ってしまった俺のために父ちゃんと母ちゃんがもってきてしまったんじゃ…?
そんなバカな話があるわけがない。父ちゃんも母ちゃんも特殊な仕事だったけど確かに生身の人間だ。
というか、仮にそうだったとしても誕生日に死んじゃったらどうにもならないだろう。
バカな仮説ではあるけど、あれが父ちゃんと母ちゃんの仕業だったにしてももうちょっと穏便にやるはずだ。
女性アナウンサー「尚、予測日に隕石が最接近する場合は、太平洋に落下する見通しです」
男性アナウンサー「次に、各国の兵器を使用して隕石の軌道を逸らすための調停が―――」
バカな考えだと思っていても、一度そうかもと思ってしまうとなかなかぬぐえなかった。
というか万が一にもそうだったとしたら俺は全世界生中継で公開処刑されてもおかしくはないレベルだと思う。
気のせいだ。うん、気のせいだ。
もしかしたらあの隕石は、
星が欲しいとか言ってしまった俺のために父ちゃんと母ちゃんがもってきてしまったんじゃ…?
そんなバカな話があるわけがない。父ちゃんも母ちゃんも特殊な仕事だったけど確かに生身の人間だ。
というか、仮にそうだったとしても誕生日に死んじゃったらどうにもならないだろう。
バカな仮説ではあるけど、あれが父ちゃんと母ちゃんの仕業だったにしてももうちょっと穏便にやるはずだ。
女性アナウンサー「尚、予測日に隕石が最接近する場合は、太平洋に落下する見通しです」
男性アナウンサー「次に、各国の兵器を使用して隕石の軌道を逸らすための調停が―――」
バカな考えだと思っていても、一度そうかもと思ってしまうとなかなかぬぐえなかった。
というか万が一にもそうだったとしたら俺は全世界生中継で公開処刑されてもおかしくはないレベルだと思う。
気のせいだ。うん、気のせいだ。
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/24(土) 23:56:11.83 ID:zr0Egkxd0
しばらくニュースが流れていたが、しばらくはさっきからの妄想が頭をぐるぐる回っていた。
はっと気がつくと、隕石関連のニュースから別の内容に移り変わっていた。
男性アナウンサー「##県$$町にて、クマの赤ちゃんが発見されました」
人間に殺された母熊のそばにいた小熊を通りかかった女性が発見し保護したというニュースだった。
ちなみに、通りかかった女性自身も迷子になっていたらしく、
小熊を抱えた状態でうろうろしてたところを保護されたらしい。
…それは小熊を保護と言えるのかどうか…
ニュースがめんをみてて、その時のVTRがながれたとき俺は目を疑った。
小熊を抱きかかえているのはまぎれもなくそばかすだったからだ。
そばかす「心中に巻き込まれそうになって逃げて迷子になってたらこの子をみつけました」
さりげにすごく大変なことになってるじゃないか…。
ギャルがしていた心配は内容こそ違えどなんかそこそこにあたっていたんだな。
というか無事でよかったって言葉がだしづらいんだがなんだろうな。余裕ありすぎなんだよこいつは。
はっと気がつくと、隕石関連のニュースから別の内容に移り変わっていた。
男性アナウンサー「##県$$町にて、クマの赤ちゃんが発見されました」
人間に殺された母熊のそばにいた小熊を通りかかった女性が発見し保護したというニュースだった。
ちなみに、通りかかった女性自身も迷子になっていたらしく、
小熊を抱えた状態でうろうろしてたところを保護されたらしい。
…それは小熊を保護と言えるのかどうか…
ニュースがめんをみてて、その時のVTRがながれたとき俺は目を疑った。
小熊を抱きかかえているのはまぎれもなくそばかすだったからだ。
そばかす「心中に巻き込まれそうになって逃げて迷子になってたらこの子をみつけました」
さりげにすごく大変なことになってるじゃないか…。
ギャルがしていた心配は内容こそ違えどなんかそこそこにあたっていたんだな。
というか無事でよかったって言葉がだしづらいんだがなんだろうな。余裕ありすぎなんだよこいつは。
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 00:02:31.13 ID:zr0Egkxd0
ニュースに、というかそばかすに対して一通り突っ込みをしてたら不安感は薄くなっていた。
こいつのずぶとさにはこういう効能もあるのか。今度から拝んでおこう。
従兄「ただいまー」
タカシ「おかえりー」
従兄がかえってきた…が、玄関からは従兄以外の足音も聞こえる。
リビングにやってきたのは従兄と、帰りがけに見かけた怪しいコートの男だった。
タカシ「その怪しいのは?」
従兄「お前に用事があるらしいから連れてきた」
コート「どうも今晩は……」
世間が世紀末覇王伝的な感じになりつつあるのに人をあっさり連れてくる従兄はかなり肝が据わっていると思う。
俺は座るどころか腰を落ち着けずにそわそわしているからどう考えてもこのコートとは仲良くなれそうにない。
というかとっとと自己紹介してほしい。不安だ。
こいつのずぶとさにはこういう効能もあるのか。今度から拝んでおこう。
従兄「ただいまー」
タカシ「おかえりー」
従兄がかえってきた…が、玄関からは従兄以外の足音も聞こえる。
リビングにやってきたのは従兄と、帰りがけに見かけた怪しいコートの男だった。
タカシ「その怪しいのは?」
従兄「お前に用事があるらしいから連れてきた」
コート「どうも今晩は……」
世間が世紀末覇王伝的な感じになりつつあるのに人をあっさり連れてくる従兄はかなり肝が据わっていると思う。
俺は座るどころか腰を落ち着けずにそわそわしているからどう考えてもこのコートとは仲良くなれそうにない。
というかとっとと自己紹介してほしい。不安だ。
120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 00:08:53.39 ID:rrNCW8CC0
従兄が俺とコートの男に緑茶を淹れる。
俺は確かに緑茶派だけど、今はゆっくり飲んでいる場合じゃないとおもうんだよな…。
タカシ「俺に用ってことらしいけど…誰です?」
コート「初めまして、私はあなたのご両親の部下です。…今回の隕石の騒ぎについてお話があってきました」
きっと漫画的な表現をするなら、俺と従兄の頭の上にびっくりマークが出現していると思う。
とりあえずそのぐらい驚いた。父ちゃんと母ちゃんの部下?
というか、隕石騒ぎってやっぱり俺が関係あったのか?!妄想だと思ってたのに!!
コート「あなたのご両親は、あなたと離れ離れになる前の会話をひどく気に病んでいたので…」
タカシ「……まさか…父ちゃんと母ちゃんが…?」
コート「はい。あの隕石が地球に衝突することに気付いたのはあなたのご両親です」
タカシ「………予測していた答えと違った」
コート「得てして人生そんなものです」
俺は確かに緑茶派だけど、今はゆっくり飲んでいる場合じゃないとおもうんだよな…。
タカシ「俺に用ってことらしいけど…誰です?」
コート「初めまして、私はあなたのご両親の部下です。…今回の隕石の騒ぎについてお話があってきました」
きっと漫画的な表現をするなら、俺と従兄の頭の上にびっくりマークが出現していると思う。
とりあえずそのぐらい驚いた。父ちゃんと母ちゃんの部下?
というか、隕石騒ぎってやっぱり俺が関係あったのか?!妄想だと思ってたのに!!
コート「あなたのご両親は、あなたと離れ離れになる前の会話をひどく気に病んでいたので…」
タカシ「……まさか…父ちゃんと母ちゃんが…?」
コート「はい。あの隕石が地球に衝突することに気付いたのはあなたのご両親です」
タカシ「………予測していた答えと違った」
コート「得てして人生そんなものです」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 00:19:04.69 ID:rrNCW8CC0
タカシ「俺との会話がどうこう言うから俺のお願いのせいかと思ったじゃないか!」
コート「子供の願いひとつで隕石呼べるような人間がいるわけないでしょう」
従兄「そりゃそうだよな。タカシ、現実と妄想の区別はきちんとつけてくれ」
タカシ「けど不安になるだろ?!」
一通り大声を出すと、セーフという気持ちとともに脱力感が襲ってきた。
……妄想でよかった…ホントに…
コート「ええっとですね……けど、ご両親が10年以上帰れなかったのは全く関係のない事ではないので…」
俺は先を促して緑茶をのむ。落ち着くなぁ…
紅茶やウーロン茶とおなじ葉っぱからできる飲み物だとは思えないほど落ち着く。
コート「あなたが欲しいとねだった星は、新たな超新星だったんです」
タカシ「ちょうしんせい………ちょっとまって、思い出すから…」
コート「簡単に言うと星が死ぬ時の爆発を見てそれを欲しいと言ったわけです」
タカシ「思い出そうとしてたのに」
コート「子供の願いひとつで隕石呼べるような人間がいるわけないでしょう」
従兄「そりゃそうだよな。タカシ、現実と妄想の区別はきちんとつけてくれ」
タカシ「けど不安になるだろ?!」
一通り大声を出すと、セーフという気持ちとともに脱力感が襲ってきた。
……妄想でよかった…ホントに…
コート「ええっとですね……けど、ご両親が10年以上帰れなかったのは全く関係のない事ではないので…」
俺は先を促して緑茶をのむ。落ち着くなぁ…
紅茶やウーロン茶とおなじ葉っぱからできる飲み物だとは思えないほど落ち着く。
コート「あなたが欲しいとねだった星は、新たな超新星だったんです」
タカシ「ちょうしんせい………ちょっとまって、思い出すから…」
コート「簡単に言うと星が死ぬ時の爆発を見てそれを欲しいと言ったわけです」
タカシ「思い出そうとしてたのに」
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 00:33:01.14 ID:rrNCW8CC0
コート「それで…ですね。天文学者だったあなたのご両親がその星の事を研究室で調べてみると、
その爆発から玉突き事故のように沢山の隕石が発生することが計算で明らかになったんです。」
タカシ「……その解析で帰ってこれなかったと?」
コート「データは10年前に出ていたんです。ですが、漏れると混乱があると当時の上司達は判断したんです」
従兄「実際に混乱しまくっているからな」
コート「それで、口封じのためにずっと拘束されていたんですね。結局、別の人物が発表してつい先日解放されました」
タカシ「……父ちゃんと母ちゃんが気に病んでたっていうのは…?」
コート「誕生日を祝えなかった件についてです。そこで隕石の騒ぎを発端として帰ってこれなかった事を伝えにきました」
タカシ「もう解放されたんなら会いに来てくれればいいのに…… グスッ」
コート「軌道変更作戦のための計算を行うためにまだ当分は…」
その爆発から玉突き事故のように沢山の隕石が発生することが計算で明らかになったんです。」
タカシ「……その解析で帰ってこれなかったと?」
コート「データは10年前に出ていたんです。ですが、漏れると混乱があると当時の上司達は判断したんです」
従兄「実際に混乱しまくっているからな」
コート「それで、口封じのためにずっと拘束されていたんですね。結局、別の人物が発表してつい先日解放されました」
タカシ「……父ちゃんと母ちゃんが気に病んでたっていうのは…?」
コート「誕生日を祝えなかった件についてです。そこで隕石の騒ぎを発端として帰ってこれなかった事を伝えにきました」
タカシ「もう解放されたんなら会いに来てくれればいいのに…… グスッ」
コート「軌道変更作戦のための計算を行うためにまだ当分は…」
131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 00:44:04.06 ID:rrNCW8CC0
従兄「……いろいろと理不尽な点が多いな。あんた部下なら何で叔父さん達助けなかったんだよ」
コート「一緒に解析してたので私も拘束されてしまったんですよ…おかげで婚約者に逃げられました」
従兄「ごめんなさい泣かないでください」
コート「うぅっ…」
コートを着ていた男が泣きながらうなだれる。
俺は俺で、父ちゃんと母ちゃんがちゃんと生きてると知ってうれしくて涙がボドボドと机にこぼれさせていた。
コート「と、とにかくですね…今後は手紙などなら連絡がつくそうです」
タカシ「あ…ありがとうございます…」
コート「こちらが連絡先です。あ、ですが近場のポストでは不安なので郵便局に持って行ったほうが確実です」
タカシ「ありがとうございます!」
コート「一緒に解析してたので私も拘束されてしまったんですよ…おかげで婚約者に逃げられました」
従兄「ごめんなさい泣かないでください」
コート「うぅっ…」
コートを着ていた男が泣きながらうなだれる。
俺は俺で、父ちゃんと母ちゃんがちゃんと生きてると知ってうれしくて涙がボドボドと机にこぼれさせていた。
コート「と、とにかくですね…今後は手紙などなら連絡がつくそうです」
タカシ「あ…ありがとうございます…」
コート「こちらが連絡先です。あ、ですが近場のポストでは不安なので郵便局に持って行ったほうが確実です」
タカシ「ありがとうございます!」
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 00:51:39.98 ID:rrNCW8CC0
コートの男が帰った後、俺はわんわんとただひたすらに泣いていた。
父ちゃんと母ちゃんは生きてた。ましてや、俺の事をわすれてしまってたわけじゃなかった。
多分この辺がうれしかったんだろう。従兄も止めようとはしなかった。
泣き疲れていつの間にか眠っていたらしく、俺が起きるともう伯父さんと小母さんが帰ってきてた。
伯父「よかったなあ、タカシ!!あいつら無事だったって聞いて俺もうれしくてうれしくて!!」
伯父が両腕をひろげてがばりと抱きついてきた。
俺もうれしかったのでとりあえず抱きしめかえす。
タカシ「…あの部下って言ってた人、父ちゃんと母ちゃんが隕石そらす計算に参加するって言ってたんだ」
小母「そうらしいわね」
タカシ「他の人は2年前になるまで気付かなかったのをそれよりもっと早く見つけた父ちゃん達だから…
きっと、隕石は地球にぶつかったりしないって、今なら本気でそう思う…それまで父ちゃん達の事待つことにする」
父ちゃんと母ちゃんは生きてた。ましてや、俺の事をわすれてしまってたわけじゃなかった。
多分この辺がうれしかったんだろう。従兄も止めようとはしなかった。
泣き疲れていつの間にか眠っていたらしく、俺が起きるともう伯父さんと小母さんが帰ってきてた。
伯父「よかったなあ、タカシ!!あいつら無事だったって聞いて俺もうれしくてうれしくて!!」
伯父が両腕をひろげてがばりと抱きついてきた。
俺もうれしかったのでとりあえず抱きしめかえす。
タカシ「…あの部下って言ってた人、父ちゃんと母ちゃんが隕石そらす計算に参加するって言ってたんだ」
小母「そうらしいわね」
タカシ「他の人は2年前になるまで気付かなかったのをそれよりもっと早く見つけた父ちゃん達だから…
きっと、隕石は地球にぶつかったりしないって、今なら本気でそう思う…それまで父ちゃん達の事待つことにする」
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 01:00:51.39 ID:rrNCW8CC0
伯父「おう、待つ間好きなだけウチにいるといい!俺も一緒に待つぞー!」
小母「わたしもタカシくんたちと待つわ!」
従兄「俺も当然おまえにつきあうぞ!」
伯父さん達はノリよく、俺の待つという言葉に返事してくれた。
いい人のモデルケースすぎて肩身が狭いと感じていたけれど、今はそう思うよりも素直にうれしい。
タカシ「……今日は、もう寝ます…」
伯父「さっきまでも寝てたのに?」
タカシ「なんていうか…安心疲れ?」
従兄「あんだけ泣いてたら仕方ないな。ゆっくり寝てこい」
従兄はそう言って俺を部屋まで送ってくれた。
ここ最近はずっと、安心して寝れるなんてことはなかった。
隕石の事をなにかの冗談だと思っていても、それに反応する人を見てなんだかんだで意識してたんだろう。
けど…さっき言ったように、今なら本気で地球は大丈夫だと思う。だから、今日から安心して眠れる。
小母「わたしもタカシくんたちと待つわ!」
従兄「俺も当然おまえにつきあうぞ!」
伯父さん達はノリよく、俺の待つという言葉に返事してくれた。
いい人のモデルケースすぎて肩身が狭いと感じていたけれど、今はそう思うよりも素直にうれしい。
タカシ「……今日は、もう寝ます…」
伯父「さっきまでも寝てたのに?」
タカシ「なんていうか…安心疲れ?」
従兄「あんだけ泣いてたら仕方ないな。ゆっくり寝てこい」
従兄はそう言って俺を部屋まで送ってくれた。
ここ最近はずっと、安心して寝れるなんてことはなかった。
隕石の事をなにかの冗談だと思っていても、それに反応する人を見てなんだかんだで意識してたんだろう。
けど…さっき言ったように、今なら本気で地球は大丈夫だと思う。だから、今日から安心して眠れる。
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 01:10:49.01 ID:rrNCW8CC0
翌朝。従兄達と話した結果、とりあえず両親の事は周囲には伏せることになった。
タカシ「…なんで?」
従兄「隕石がぶつかる前提で無茶やるやつとか、その予定のやつもちらほら見るようになったからだ」
伯父「そんな連中に隕石撃退の計算やってるのの身内と知られたら何されるかわからんぞ」
タカシ「そっか…そういやそんな世紀末状態だったっけ…」
従兄「周囲はそうなるな」
タカシ「…俺が個人的に撃退作戦に期待しているってだけなら大丈夫?」
伯父「それなら問題ないな。全く知らない振りも無理だろうから一部だけ隠す方向で行こう」
そうだ。そういえば世の中は隕石のせいで世紀末覇者が出てきてもおかしくない状態だった。
それでも撃退作戦成功を疑わない俺は生まれ変わったようなさわやかさで一日を過ごすだろう。
タカシ「…なんで?」
従兄「隕石がぶつかる前提で無茶やるやつとか、その予定のやつもちらほら見るようになったからだ」
伯父「そんな連中に隕石撃退の計算やってるのの身内と知られたら何されるかわからんぞ」
タカシ「そっか…そういやそんな世紀末状態だったっけ…」
従兄「周囲はそうなるな」
タカシ「…俺が個人的に撃退作戦に期待しているってだけなら大丈夫?」
伯父「それなら問題ないな。全く知らない振りも無理だろうから一部だけ隠す方向で行こう」
そうだ。そういえば世の中は隕石のせいで世紀末覇者が出てきてもおかしくない状態だった。
それでも撃退作戦成功を疑わない俺は生まれ変わったようなさわやかさで一日を過ごすだろう。
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 01:18:48.09 ID:rrNCW8CC0
その生まれ変わったようなさわやかさの俺を見るなり、クラスの奴は怪訝な顔をしてきた。
確かに今まで空気キャラだったけどちょっとひどいと思う。
ギャル「どうしたのタカシ?なんか悪いものでも食べてネジとんだ?」
タカシ「まったくもってちがう。隕石なんてぶつからないって本気で思うようになっただけだよ」
ギャル「……なんで?」
タカシ「ミサイルとか使う隕石撃退作戦があるってきいて、すごくうまくいきそうだと思ったから」
デブ「あー、あれニュースでみたよー!」
デブがすごく食いつく。話を聞いてみると、デブは兵器オタらしい。
今まで作られるだけ作られて朽ちて行ってたミサイルなんかが人を殺さず役立つのがうれしいそうだ。
デブ「威力だって強いのはあるし、破壊まではできなくっても逸らすぐらいはできると思う!」
ギャル「ふーん…そんなにメがあるんだ」
タカシ「目があると思う…ってとこどまりだけど。希望は出てこないか?」
確かに今まで空気キャラだったけどちょっとひどいと思う。
ギャル「どうしたのタカシ?なんか悪いものでも食べてネジとんだ?」
タカシ「まったくもってちがう。隕石なんてぶつからないって本気で思うようになっただけだよ」
ギャル「……なんで?」
タカシ「ミサイルとか使う隕石撃退作戦があるってきいて、すごくうまくいきそうだと思ったから」
デブ「あー、あれニュースでみたよー!」
デブがすごく食いつく。話を聞いてみると、デブは兵器オタらしい。
今まで作られるだけ作られて朽ちて行ってたミサイルなんかが人を殺さず役立つのがうれしいそうだ。
デブ「威力だって強いのはあるし、破壊まではできなくっても逸らすぐらいはできると思う!」
ギャル「ふーん…そんなにメがあるんだ」
タカシ「目があると思う…ってとこどまりだけど。希望は出てこないか?」
142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 01:29:07.03 ID:rrNCW8CC0
ギャルは「そんなもんなの?」と言うと席に戻って行った。
俺はと言うとなぜかデブと意気投合しつつあった。
それぞれ根拠は違うけど同じものを信じれるってのはすごい団結力を産む。
そうか、宗教ってものはこうして生まれたのか……いや、違うと思うけど。
進路担当が教室に入ってくる。そばかすは今日まで休みである事をみんなに告げてから出席をとりだした。
そういえば奴は心中から逃げてクマを確保したんだっけか。一人だけ異次元を渡り歩いてるかのようだな…。
進路「それから…昼食時にタカシくんは進路相談室にきてね。進路のお話があるから」
そう言って進路担当はニコニコしていた。そういえば俺は就職の予定なんだっけか。
隕石の話題が出た当日に進路の話してた事はもうすっかりすっ飛んでいた。
今なら目標とかやりたい事が見当たりそうな気もするけれど、就職から特に変える必要もないと思う。
俺はと言うとなぜかデブと意気投合しつつあった。
それぞれ根拠は違うけど同じものを信じれるってのはすごい団結力を産む。
そうか、宗教ってものはこうして生まれたのか……いや、違うと思うけど。
進路担当が教室に入ってくる。そばかすは今日まで休みである事をみんなに告げてから出席をとりだした。
そういえば奴は心中から逃げてクマを確保したんだっけか。一人だけ異次元を渡り歩いてるかのようだな…。
進路「それから…昼食時にタカシくんは進路相談室にきてね。進路のお話があるから」
そう言って進路担当はニコニコしていた。そういえば俺は就職の予定なんだっけか。
隕石の話題が出た当日に進路の話してた事はもうすっかりすっ飛んでいた。
今なら目標とかやりたい事が見当たりそうな気もするけれど、就職から特に変える必要もないと思う。
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 01:37:38.09 ID:rrNCW8CC0
小学生のころから、何かに身を入れることなんてなかったけれど、今なら何でもできそうだ。
そのぐらいの勢いで勉強もバリバリすすんでいた。
昼休みに入ってすぐに俺は進路相談室に向かう。
ノックしてドアをあけると進路担当がニコニコして待ちかまえていた。
進路「まってたわタカシ君。もういちど、進路について聞いておこうと思って。やりたいことはできた?」
タカシ「見つけられそうな気もしますけど、すぐには無理なので一度就職することにします」
進路「あら?目がキラキラしてきたからやりたいことをみつけたとおもったんだけど」
タカシ「とりあえず先はあるに違いないっておもうようになっただけですよ。まだそれはみつかってないです」
進路「そーお?」
タカシ「それに…大学とか専門学校とかにしろ、今は進学事態が困難だと思うので」
進路「それもそうね……就職して、やりたい事を見つけるのね?」
タカシ「就職して…そこが合えば、ずっとそこにいるかもしれません」
進路「ポジティブになったわね~、先生嬉しいわ」
タカシ「そうですね……俺も、自分で嬉しいです」
そのぐらいの勢いで勉強もバリバリすすんでいた。
昼休みに入ってすぐに俺は進路相談室に向かう。
ノックしてドアをあけると進路担当がニコニコして待ちかまえていた。
進路「まってたわタカシ君。もういちど、進路について聞いておこうと思って。やりたいことはできた?」
タカシ「見つけられそうな気もしますけど、すぐには無理なので一度就職することにします」
進路「あら?目がキラキラしてきたからやりたいことをみつけたとおもったんだけど」
タカシ「とりあえず先はあるに違いないっておもうようになっただけですよ。まだそれはみつかってないです」
進路「そーお?」
タカシ「それに…大学とか専門学校とかにしろ、今は進学事態が困難だと思うので」
進路「それもそうね……就職して、やりたい事を見つけるのね?」
タカシ「就職して…そこが合えば、ずっとそこにいるかもしれません」
進路「ポジティブになったわね~、先生嬉しいわ」
タカシ「そうですね……俺も、自分で嬉しいです」
146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 01:47:44.04 ID:rrNCW8CC0
その後、進路担当といろいろと話し合った。就職するならどんな業種か?と言うとこらへんから。
隕石ニュース前と後は状況が違いすぎるために、就職先がどういう状況か調査中のところも多いそうだ。
だからこそ、生徒の希望を先に聞いておいてそこを中心に調査したいらしい。
タカシ「…今まで考えてなかったから今すぐはやっぱり難しいですよ?」
進路「そうね…じゃあ、今特に需要があるところをしらべてるけどそこからってことでいいかしら?」
タカシ「需要あるのってどこなんですか?」
進路「娯楽と食品ね。仕事なんかを捨てた人はまずそこへ行くわ…」
希望を捨てた人相手の仕事か…と、思いはしたけどすぐに思い直した。
じゃあ俺がそこで働いて希望持ってる姿見せればいいんじゃないか?
どれだけの人が感じとるかはわからないけれど、やるだけやってみたいと思った。
タカシ「それじゃあ、その2つでお願いします」
進路「ええ。お昼の時間使わせてくれてありがとう。午後も頑張ってね」
タカシ「はい!」
隕石ニュース前と後は状況が違いすぎるために、就職先がどういう状況か調査中のところも多いそうだ。
だからこそ、生徒の希望を先に聞いておいてそこを中心に調査したいらしい。
タカシ「…今まで考えてなかったから今すぐはやっぱり難しいですよ?」
進路「そうね…じゃあ、今特に需要があるところをしらべてるけどそこからってことでいいかしら?」
タカシ「需要あるのってどこなんですか?」
進路「娯楽と食品ね。仕事なんかを捨てた人はまずそこへ行くわ…」
希望を捨てた人相手の仕事か…と、思いはしたけどすぐに思い直した。
じゃあ俺がそこで働いて希望持ってる姿見せればいいんじゃないか?
どれだけの人が感じとるかはわからないけれど、やるだけやってみたいと思った。
タカシ「それじゃあ、その2つでお願いします」
進路「ええ。お昼の時間使わせてくれてありがとう。午後も頑張ってね」
タカシ「はい!」
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 01:56:14.46 ID:rrNCW8CC0
クラスに戻ってくると、男子が話しかけてきた。
男子「どんな話してたんだ?」
タカシ「就職で行きますってことと、どんな業種にするかってこと」
男子「……進学しないのか?今なら差をきちんとつけられるのに」
タカシ「んー…男子みたいに目標があればそうしたんだろうけど、俺まだそういう目標ないからやれる事やって行くよ」
お?なんか俺結構カッコいい事言ってる。これは従兄や男子みたいに主人公属性ついてるに違いない。
とりあえず食べてなかった弁当を大急ぎでかき込んで午後の授業の準備をする。
気のせいか、朝に比べて教室内の雰囲気が明るい。どうやらデブが隕石撃退作戦の内容を解説してくれたらしい。
俺は知らなかった事なんだが、昨晩のうちに撃退作戦のために各国が貯蔵兵器を出し合うことが決定してたそうだ。
かなり現実味を帯びた解決策に、努力を続ける選択をした人たちほど喜んでいた。
男子「どんな話してたんだ?」
タカシ「就職で行きますってことと、どんな業種にするかってこと」
男子「……進学しないのか?今なら差をきちんとつけられるのに」
タカシ「んー…男子みたいに目標があればそうしたんだろうけど、俺まだそういう目標ないからやれる事やって行くよ」
お?なんか俺結構カッコいい事言ってる。これは従兄や男子みたいに主人公属性ついてるに違いない。
とりあえず食べてなかった弁当を大急ぎでかき込んで午後の授業の準備をする。
気のせいか、朝に比べて教室内の雰囲気が明るい。どうやらデブが隕石撃退作戦の内容を解説してくれたらしい。
俺は知らなかった事なんだが、昨晩のうちに撃退作戦のために各国が貯蔵兵器を出し合うことが決定してたそうだ。
かなり現実味を帯びた解決策に、努力を続ける選択をした人たちほど喜んでいた。
149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日: 2009/10/25(日) 02:06:31.89 ID:rrNCW8CC0
翌日。撃退作戦についてはさらに具体的な話が広まっていた。
といってもニュースで詳しく解説してたからみてた人が多かっただけなんだが。
単純にミサイルを撃ち込めばいいという話ではないということで多少テンションの下がったのもいたけれど、
優秀な人々が微調整を続けながらいつ、どの地点で隕石を攻撃するか計算しているというのも広まった。
俺はその中に俺の父ちゃんと母ちゃんがいるんだぜ!と言いたいけれど、
言っちゃいけないんだよなーとほこらしくもありむずかゆくもありな気分を味わうことになった。
それと、この日はそばかすの帰ってくる日でもあった。
クマみつけたあとはニュースを見なかったのでどうなったんだろうと、少しだけ心配していたんだが、
心配するのがばかばかしくなるほどにあっけらかんとした態度で教室に入ってきた。
小熊をひきつれて。
といってもニュースで詳しく解説してたからみてた人が多かっただけなんだが。
単純にミサイルを撃ち込めばいいという話ではないということで多少テンションの下がったのもいたけれど、
優秀な人々が微調整を続けながらいつ、どの地点で隕石を攻撃するか計算しているというのも広まった。
俺はその中に俺の父ちゃんと母ちゃんがいるんだぜ!と言いたいけれど、
言っちゃいけないんだよなーとほこらしくもありむずかゆくもありな気分を味わうことになった。
それと、この日はそばかすの帰ってくる日でもあった。
クマみつけたあとはニュースを見なかったのでどうなったんだろうと、少しだけ心配していたんだが、
心配するのがばかばかしくなるほどにあっけらかんとした態度で教室に入ってきた。
小熊をひきつれて。
続きを読む
父「タカシ、誕生日プレゼントは何がいいんだ?」…第1部
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-433.html
父「タカシ、誕生日プレゼントは何がいいんだ?」…第2部
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-434.html
父「タカシ、誕生日プレゼントは何がいいんだ?」…last
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-435.html
- 関連記事
-
- 姉がメールだけ丁寧で戸惑う
- 父「タカシ、誕生日プレゼントは何がいいんだ?」…last
- 父「タカシ、誕生日プレゼントは何がいいんだ?」…第2部
- 父「タカシ、誕生日プレゼントは何がいいんだ?」
- 幼馴染3さい「しょうらい結婚しよーね」…last
-
バストツイストワンピース
- テーマ:普通の女の子
- ジャンル:アダルト
- カテゴリ:ケータイ小説
- CM:0
- TB:0