ぬこ「(ねーご主人様今日はとっても天気がいいのよほら見て見て一緒にお散歩にいこうよぉ~♪)」
主人「んー?そうかそうか外に出たいんだな?ガラガラ… ほら行っておいで!あんまり遠くに行くんじゃないよ」
ぬこ「(…やっぱり伝わらないにゃぁ… まぁいいやお散歩いってきますご主人様)ヒョィッ テクテクテク…」
主人「ねこって自由でいいなぁ… さぁ、仕事仕事」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ぬこ「(んーっ!やっぱりお天気がいいとお散歩もきもちいにゃぁ… ご主人様も”ぱそこん”にばっかり向かってないでお外に出ればいいのに)」
ぬこ友「(よぅぬこ!今日もいい天気だなー)」
ぬこ「(あら友~♪ぽかぽかしてきもちいいにぇ~)」
ぬこ友「(それはそうと、今日もご主人は一緒にお散歩に来てくれなかったのかい?)」
ぬこ「(見ての通りにゃ~… 猫語が人間にも通じたらいいのににゃぁ…)」
ぬこ友「(… 俺は迷信なんか信じないタイプだけどな、こんな話を聞いた事があるぞ)」
ぬこ「(にゃに?)」
ぬこ友「(なんでも満月の夜にC町にある神社の神木でお願い事をしながら爪を研ぐとその願いが叶うらしい)」
ぬこ「(にゃ、にゃんだってー!?そ、それは早くいかなきゃっ!!!あ、ありがとう友!!!じゃっ!!!)」
ぬこ友「(ああおい!…いっちまった… まぁ…どうせ迷信だろう… さっ、魚屋でもいくか♪)」
主人「んーっ… ててて… はぁ、仕事もなかなか終わらない彼女もいない、おまけに猫まで外にいっちゃって…さみしい奴だ俺…」
カチッ
主人「…お、なになに”我が家の猫自慢”…? ふふんやっぱりうちの猫が一番可愛いなw」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ぬこ「(にゃっくし!!… 風邪でもひいたかにゃ… えーっとC町C町… たぶんこっちで合ってると思うんだけど…)」
老猫「(これそこの娘さん)」
ぬこ「(にゃぁ!!!び…びっくりした… あ、あたしかにゃ?)」
老猫「(ふぇっふぇっふぇっ、驚かしてすまないねぇ。おまえさん以外に猫なぞおらんじゃろう。何かお探し物かな?)」
ぬこ「(んー… C町の神木がある神社を探してるんだけどみつからないにゃ…)」
老猫「(ほう… 猫神神社に行きたいのかい)」
ぬこ「(猫神神社?)」
老猫「(なんじゃ自分が参る神社の名前もしらんのか?全く最近の若いもんは…ブツブツ…)」
ぬこ「(あーごめんにゃさいごめんにゃさい!おじーさぁーん!場所を教えてくれるかにゃ?)」
老猫「(ゴホン… 教えてやらんこともないが… ちと小腹が空いてのう… 近所に魚屋があるんじゃがー… チラリ)」
ぬこ「(… はいはいわかりましたよおじいさま… ちょっとまってるにゃっ!!)」
魚屋「くおらぁああああ!!!待て泥棒猫めぇええ!!!!」
ガシャーン! バリーン!! ダダダダダダッ…
ぬこ「(ひぃーっ!ごめんにゃさいごめんにゃさいっ!!!)」
老猫「(ふぁ~… 待ちくたびれたわい… あの嬢ちゃんにはちと酷じゃったかのう…)」
ぬこ「(ぜぇ…ぜぇ… たっ…ただいま… ほらっ!今一番食べごろの美味しい秋刀魚にゃっ!あたしが食べたいよっ!もう…)」
老猫「(ほ…ぉ… あの魚屋から秋刀魚を取ってくるとは… なかなか見上げた嬢ちゃんじゃぁ)」
ぐぅぅぅ~…
ぬこ「(っ!はっ、早く食べちゃって教えてくださいにゃっ!)」
老猫「(… この歳にもなるとこんな大きい魚一匹は食べられんのう… 半分食べてくれると助かるんだがねぇ)」
ぬこ「(え…?いいの?やったぁ…♪ いっただきま~す!! ハムハム…♪)」
老猫「(元気な嬢ちゃんじゃ… ふぇっふぇっふぇっ… どれ… ん、うまい)」
魚屋「ちっ… 逃げられたか… ってわー!!!もう一匹来てるぅぅううう!!こらああああ!!!!」
ねこ友「(うっひょー逃げろぉおおおおお!!!)」
主人「猫の奴遅いなぁ… 迷子にでもなってるのか…?いつもならもう帰ってもいい時間なのに…」
ガラガラッ
主人「おぉ~い猫~… 居ないな… まさか事故にでも… ちょっと探しにいこう…!」
ガチャッ バタンッ! タッタッタッタッ…!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
老猫「(ふぃー満腹満腹 ありがとうよ嬢ちゃん)」
ぬこ「(いーぇいーぇどういたしまして♪あたしもおにゃかいっぱいだぁ~… あ、おじーさん!場所場所!)」
老猫「(おぉ、忘れておったわい… 猫神神社ならそこの角を曲がって後はまっすぐじゃよ)」
ぬこ「(えーっ!そんな近くだったにゃ!? もっと早く教えてよ… おじーさんありがとう!じゃぁまたね!)」
老猫「(嬢ちゃんや)」
ぬこ「(ん?にゃに?)」
老猫「(現実とは難しいものじゃよ、全てに意味があるのじゃ。それを心に留めておきなされ)」
ぬこ「(んー… なんだか難しいにゃ… わかったっ!ありがとおじーさん♪それじゃぁ!)」
タタタタタ…
老猫「(… 猫神様よ… どうかあの娘に加護をお与えくださいまし…)」
ぬこ「(ここが猫神神社…!丁度今日は満月にゃ… あたしのお願い事… それは…)」
主人「おーい猫ー!!… 駄目だどこにも居ない… 何処に行っちまったんだ…」
老猫「(おや… あの若者…)」
キラッ…!!!
主人「っ!今向こうの林のほうで何か光った…?なんだろう…」
老猫「(おお… あの光は… そうか… 叶ったか…)」
ダダダダダッ…
主人「はぁ…はぁ… ここは… ”猫神神社”…?」
ガサガサッ!!
主人「!猫か!?」
??「… ご…主人…様…?」
主人「え…?お…女の子…?」
主人「(こんな夜中に… でも… この子… どこかで…)」
主人「あ、あの、この辺りで猫をみかけませんでしたか?これぐらいで… 目が青くて… 少し長い毛の…」
??「……」
フラッ… バタン!!!
主人「え?…ちょっと!おっ、おい!君!!」
??「zzz… ご… しゅ… zzz…」
主人「… ねむ… ってるのか…?こんな所で… 仕方ない… よいっ…しょ…っと」
・ ・ ・ ・ ・ ・
友「… で、どういう事か説明してもらおうか」
主人「いや、だから何度も言ってるけど…」
友「”猫を探してたら神社に女の子が居て?身元の分かる物を何ももってなくて?そいで仕方なく家で寝かせてる?”バカも休み休み言え!!」
??「ん…」
主人「しーっ!しーっ!!おきちゃうだろ… でも… この子どこかで見たことがあるんだよ…俺…」
友「… とにかく警察に届けたほうがいいだろ…常識的に考えて… じゃぁ俺は帰るけど、犯罪者になるんじゃねーぞ!」
主人「わかってるよ!急に呼び出して悪かったな… なんかパニくっちゃって… じゃぁまたな」
『よしよし…いい子だな… ほら、おいで?』
『はははwwくすぐったいよ… お前が人間だったらな…な~んて無理だよなw』
『ふられちゃったよ~… まぁ、お前が居たら俺はそれでいいよw なんだよ慰めてくれてるのか?はははいい子だな…w』
??「…っ!!!」
主人「あ… 目が覚めた…?ち、違うんだよ誤解しないで!!君はその… 神社で倒れてて…それで僕は…えと…」
??「…あ… あの… おちついて…ください…」
主人「え…!あ、はは… ごめん、ごめんね…。な、何か飲む物とってくるよ!!」
ダダダダッ! ウワッ! ドターン!!
??「(… ここは… あたしの家… あたし… にん…げんに…?)」
??「(でも… ご主人様にはきっとわかってもらえない…)」
タタタタッ
主人「はいっ、暖かいお茶だけど…」
??「あ… ありがとう… ズズッ… あちっ!!!」
主人「だ、大丈夫!?そ、そんなに熱かったかなっ…!」
>>27 なんでわかるんだ…
主人「どう…?少し落ち着いた?」
??「え…ええ…ありがとう」
主人「え…と、君の…名前は?」
??「な、名前?えっと… あの… み…”みこ”です」
主人「みこ…ちゃん…?それで、どうして昨日はあんな所に?」
みこ「それが… わからないんです… 少し記憶が…」
主人「記憶喪失…?一度病院か警察にいったほうが」
みこ「やだ!!あ…ごめんなさい… その… もしよかったら… ここに住ませてもらえませんか?」
主人「えええええええ!?こここここここにかい?ここって、えっとそれはつまり… ここ?」
みこ「駄目なら… 他をあたります…」
主人「他って… 心当たりはあるの?」
ブンブン
主人「そっか… じゃぁ… わかった。ただし明日ちゃんと病院に行くこと!それから… 服がいるかもね…」
みこ「あっ!ありがとうございます!!服…? あ…」
主人「そんなボロボロの服じゃ外にもいけないでしょ?w そんじゃぁ、もう少し落ち着いたら買い物に行こうか。色々要る物もあるしね」
みこ「はっ…はい!」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
友「ん?あいつからメールか… なになに… ”あの子と同棲することになりました誤解しないで下さい僕は正常です”… だと…?まじで…?」
友2「どしたのおかしな顔して?」
友「いや… なんでもない… ただ一人友人を失った所だ…」
ぬこ友「(そういやあいつ… ほんとに神社にいったのか?ちょっと家覗きにいってみるか…)」
タッタッタッ… ヒョイッ…
ぬこ友「(ん…?居ないな… それに主人彼女なんかいたのか… 猫みたいな子だな…)」
みこ「…あっ…!」
主人「ん?どうしたの?」
みこ「いっ、いえ!なんでもないんです!ちょっと窓開けてもいいですか?」
主人「あ、ああいいよ」
ガラガラッ
みこ「(友っ…!あたしっ…!あたしだよっ…!みて!ほんとの人間になっちゃったの!)」
ぬこ友「(なんだって…!?そういえばその青い目… 薄茶色の髪… 口元まで似てる… 噂は本当だったのか…)」
みこ「(え…?何にゃーにゃー言ってるの?猫の真似なんてしなくていいよっ!)」
ぬこ友「(まさか俺の言葉がわからないのか?本当に人間になっちまったのか… じゃぁ噂を続きをどうやって教えれば…)」
みこ「(…!あたし… 猫の言葉が… わかんなくなってるの…? うそ…)」
主人「(あの子… 似てるな…)」
ぬこ友「(これじゃこれ以上話しても無駄か… じゃあなぬこ、人間になったお前も綺麗だぜ)」
シュタッ… テクテクテク…
みこ「(あ!友っ!待って!!… 猫の言葉を忘れちゃうなんて…)」
主人「どうしたの?気分悪そうだよ…?こっちおいで」
みこ「っ!!!!!」
『猫っ!ほら、こっちおいで』…
主人「今度は顔が真っ赤だ… ちょ、熱でもあるんじゃないか!?体温計とってくるから寝てて!」
ダダダダ… ウワァァァッ ドターン!!!
みこ「何…!何なの… 心臓が… 痛い…よ…」
主人「たっ、体温計とってきたよ!ちょっといい?」
スッ…
みこ「きゃっ!!」
主人「ご、ごめんおでこを触ろうかと… ほら体温計…」
みこ「(なんで…?なんでご主人様に触られるのがこんなに怖いの…?ううん怖いんじゃない… なんだか…変…)」
みこ「あ…ごめんなさい… すこし…驚いてしまって… たぶん熱はないと思うんだけど…」
主人「そ、そうかな?顔が真っ赤だけど… ちょっとタオルもってくるね」
みこ「(… はぁ… すこし落ち着こう… でも…体温計って… おしりに差すんだよね… ゴクリ…)」
主人「タオルもってきたよ…ってわああああああ!!!!」
みこ「え…!あの…!」
主人「ごごごごごめんっ!!!そのっ…!!みっ!!みてないから!!!」
みこ「え?え?ど、どうしたんですか?ね、熱を測ろうと思って…」
主人「ふっ、服着て服!そこに小さくなった俺の服だしといたから…!」
みこ「はっ、はいっ…」
ゴソゴソ…
主人「…(ゆ…夢じゃないのかな…これ… いや…きっとあの子の家ではああやって体温を…)」
みこ「あの… すこし… おっきいです」
主人「え?ああ…ごめん出来るだけ小さいのを選んだつもりなんだけど…って…」
みこ「?へ、変ですか?」
主人「そそそそそんなことないよ!!す… すごく… に、似合ってる」
みこ「… ありがとう!」
主人「(なんだ… よく見たら滅茶苦茶可愛いじゃないか… この子…!!!!)」
主人「そ、それで… 熱はなかった?」
みこ「はい… でもなんだかすこし息苦しいんです」
主人「やっぱり病院に行ったほうがいいんじゃ…」
みこ「いや…!ここに… 居たいんです…」
主人「… お、俺は構わないんだけど… じゃあ… 晩御飯の買い物にいくんだけど… ついてくる?」
みこ「はいっ!」
ガチャリ… バタン
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
みこ「(うわぁ… すごい… 視界がこんなに高いなんて… でも、ご主人様…おおきいな…)」
主人「どうしたの?キョロキョロして… 何か思い出せそう?」
みこ「い、いえ… あの… 手を… 繋いでも… いいですか?」
主人「えええ!?ど、どうして…?」
みこ「も、もしかしたら何か思い出せるかもしれないじゃないですか… 駄目?」
主人「そ、そうだね… じゃぁ… はい」
ギュッ
みこ「(… ご主人様の…手だ… あったかくて… 優しい…)」
ギュウウウ…
主人「ん?あれ…みこちゃん?どうしたの?なんで泣いてるの?」
みこ「え…?あれ… なにこれ… へんだなっ… あれ…とまんないや…」
主人「お、俺なんかしちゃったかな…?大丈夫?」
みこ「うん…大丈夫… ごめんなさい… また…手握ってて下さい…」
主人「う、うん。わかった…」
みこ「(猫の時はわからなかったけど… 涙って嬉しくてもでるんだ…)」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
主人「何か嫌いなものとかある?」
みこ「えっと… ネギとかが駄目です…」
主人「わかった、じゃぁダシ用の昆布とにぼしと…」
みこ「っ!!!!に… にぼし…」
主人「え…?好きなの?w」
みこ「… コクン」
主人「俺もにぼし好きだよ~ じゃぁみこちゃん用にもう一つ買っとくね」
みこ「やっ…たぁ…♪」
主人「そんなに嬉しい?w 他に欲しいものはある?元気つけないとね」
みこ「えと… なんだっけ…ちー…」
主人「ち… ちくわ?」
みこ「じゃなくて… 白くて… おいしいやつ」
主人「んー… もしかして… チーかま?」
ブンブンブンブン!!!
主人「はははwそんなに好きなの?…うちの猫みたいだw あいつも大好きだったんだけどこの間いなくなっちゃってさ…」
みこ「!! … そう…なんですか… その子の事、大切だったんですか?」
主人「大切も何も… 本当に家族みたいに思ってるよ。俺さ、高校生の時に両親が死んじゃって、それ以来ずっと一人だったんだ」
みこ「… そうだったんだ…」
主人「知り合いのツテでなんとかフリーのコラムニストとかやってるけど、一人になった時はほんとに途方にくれてた」
みこ「…(あたし… ご主人様の事… なにもしらなかった…)」
主人「そんなある日一匹の子猫が玄関の前に居てさ、気がついたら居座っちゃって… それからはずっとそいつと二人で暮らしてきたんだ」
みこ「あの… 実は… あたし…」
主人「お!あったあった!みこちゃん!チーかまあったよ!」
みこ「あ…!ありがとうw」
主人「さっき何か言おうとした?」
みこ「いえ… なんでもないですっ 荷物持ちましょうか?」
主人「いいよいいよw なんか湿っぽくなってごめんね、猫の奴はそのうち帰ってくるさ。きっと旅行にでもいってるんだよ」
みこ「…そう…ですね」
『 ワ タ シ ハ コ コ ニ イ ル ン ダ ヨ …』
ガチャ
主人「ただいまー、すぐご飯にするからね」
みこ「はい… 何かお手伝いしましょうか?」
主人「大丈夫w 料理には慣れてるから。猫の手も借りたくなったら呼ぶよ」
みこ「… はいっ」
ぬこ友「(猫じい様… すこし相談があるんです)」
老猫「(おや懐かしい顔じゃな… どうした友猫よ)」
ぬこ友「(実は… 俺の友人が人間になりました)」
老猫「(… そうか… あの嬢ちゃんはお前の知り合いじゃったか…)」
ぬこ友「(!ぬこに会ったんですか!?)」
老猫「(おぉ元気な嬢ちゃんじゃったわい… あの子は… 恋をしておるな)」
ぬこ友「(ええ…自分の主人に恋心を… しかし、噂ではあの神社で叶えた願いは…)」
老猫「(”次の満月で願いは解ける”… じゃろう?)」
ぬこ友「(知ってましたか… 俺… あいつが好きです でも、今のあいつは願いが叶って本当に幸せなんです)」
老猫「(ふむ……)」
ぬこ友「(それで… 俺… 俺…)」
老猫「(願いを解けないようにする方法は… ある)」
ぬこ友「(ほ…!本当ですか…!それはどうやって!!!)」
老猫「(落ち着かんか馬鹿者。それはな…)」
みこ「ふーっふーっ!!!」
主人「えらく冷ましてるね… 猫舌?」
みこ「ええええ?ねねねね猫なわけないじゃないですか!」
ブンブンブンブン!!
主人「いやいや猫じゃなくて…w ね こ じ た! 熱いの苦手?」
みこ「ああ… そうですねあんまり得意じゃないです… いつもは冷ましてもらってたから…」
主人「”いつも”?」
みこ「いや… その… いつもウチワに冷ましてもらってから食べるんです!ほらこうやって…」
パタパタパタパタ…
主人「あはははw じゃあ今度はうちわも買っておかないとね」
みこ「(… ご主人様の笑顔… なんでこんなにあったかいんだろう…)」
主人「それよりみこちゃん、お箸の持ち方も忘れちゃったのかな…?」
みこ「え?あー…あははははw そうみたいです…ね…」
ツルッ… ベチャ
主人「… スプーンとフォークもってくるね…w」
主人「あ、お皿は流しに置いといて!俺が後で片付けるから」
みこ「はい… ごちそうさまでした」
主人「いえいえ、味の方は自身ないけどね」
みこ「全然美味しかったです!あんなの食べたことない…」
主人「鍋?きっと記憶消えてるだけだよ、戻れば美味しい物も思い出すさ。みこちゃんお風呂はいっておいで!俺は片付けとくから」
みこ「お… おふろ… ゴクリ」
主人「ん?どしたの?」
みこ「い… いえ… じゃぁ… 入ってきます…」
主人「いちおうパジャマは出しておいたから!下着は… えと… さっき買ったのがそこにあるからもっていってね」
みこ「あっ、ありがとうございますっ! それじゃぁ…」
ガチャ… バタン
主人「… なんだか落ち着いて考えるとよくわかんない状況だよなぁ… 今…」
「み…みぎゃーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
主人「み…!みこちゃん!?」
ダダダダッ!!!
主人「み、みこちゃん!?大丈夫!?」
みこ「だだだだ大丈夫です!!ち、ちょっとお湯が出てきてびっくりしちゃって…」
主人「そ、それシャワーだよ!大丈夫?使い方覚えてる?」
みこ「は、はい!な… なんとか大丈夫です… すいませんすいません」
主人「いいよいいよ!じゃぁまた何かあったら呼んでね… きをつけるんだよー」
ガチャ バタン
主人「… 駄目だ駄目だ… 何考えてるんだ俺は…」
みこ「お… お風呂こわいよぉ…」
皆さん夜更かしですね
結構長くなりそうなので、眠い方、保守に飽きた方は寝てもらって大丈夫です
落ちちゃったらまた立てるんで… 長々とすいません
ガチャリ
主人「あ、みこちゃんあがった?わっ!びしょびしょじゃないか…!ほら頭拭いて吹いて」
ブルブルブルブルブル!!!!
主人「うわっ!冷たい!!ほらタオルタオル!」
ゴワシゴワシッ…
みこ「あ… ご…ごめんなさい…」
主人「ははw 色々と忘れちゃってる事が多いみたいだね」
みこ「(お風呂もタオルでごしごしもいやだったけど… 今日はご主人様に拭いてもらうの… なんだか嬉しいな…)」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
主人「それじゃ、俺はこっちのソファーで寝るから、みこちゃんはベッド使って?今日は疲れただろうし、ゆっくり寝なよ」
みこ「いいんですか?ふぁぁ… それじゃぁお言葉に甘えて… おやすみなしゃい… zzz…」
主人「一瞬で寝ちゃったな… 丸まって寝てる… ほんとに… 猫みたいだ…」
みこ「くー… くー…」
主人「ふぅ…、 さて、いくか」
キィィ… ガ・・・チャン
老猫「(願いを解けさせない方法…それはな… ”本当の幸せ”を知る事じゃ)」
ぬこ友「(本当の…幸せ…?)」
老猫「(そうじゃ。願いというのは言うなれば欲望じゃ。それを神木に頼み込んで満たす、自分の力ではなく、な)」
ぬこ友「(…)」
老猫「(欲望という物は全ての物を曇らせる… まして神頼みなぞして願いが叶ってみろ。そんな心で真の幸せなぞ理解は出来ん)」
ぬこ友「(でも… あいつは今本当に幸せそうで…!)」
老猫「(本当にそう思っておると思うか? 現実というものは想像以上に難しいのじゃよ… 今あの子は… 揺らいでおるはずじゃ…)」
ぬこ友「(… ぬこ…)」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ゴソ…
みこ「ん…あれ…?ご主人…さま…?居ない…」
主人「はぁ…はぁ… 猫ーっ!ここにも居ない… どこに… いっちまったんだよ…」
ビィィィン…ン キキーッ
友「おい…!お前…こんなとこで何やってんだ?」
主人「あ…! 友か… 猫を… 探してたんだ」
友「猫って… まだ見つかってないのか。それより例の女の子はどうしたんだ?」
主人「ああ… 今は部屋で寝てるよ 本当に色々記憶が無いみたいで大変さ」
友「そうか… 間違いは起こってないんだな?病院や警察には連絡したのか?」
主人「おこるかバカ!… 警察や病院には連絡してほしくないらしい… きっと何か辛い事情があるんだろ」
友「なぁ… それは間違ってると思うぞ 迷い子を自分の部屋に泊めてるなんて…馬鹿げてる。お前が帰したくないだけじゃないのか?」
主人「そうかも… しれない…」
友「おまえ… 犯罪者にでもなりたいのか?早く警察に連絡」
主人「似てるんだよ」
友「え?」
主人「似てるんだ… 猫に…」
友「… 猫っぽい子なんだろ? お前どうかしちゃったんじゃないか…?」
主人「違う… そういうんじゃない… どうかしてる思われるのも無理ないけど… 感じるんだよ…」
友「… とにかく… 明日病院に連れていけ。素性が知られたくない子みたいだから、俺が知り合いの医者を紹介してやる」
主人「ほ…ほんとか?」
友「ああ… 信頼出来る人だから大丈夫だ。ついでにお前も観てもらえ」
主人「俺はどこも悪くない!」
友「その先生の専門はな… トントン ここだよ。心だ」
主人「…心…」
友「俺はお前の境遇を知ってる お前がどれだけ辛い思いをしてきたかもな」
主人「友…」
友「また家族を失ったかもしれないって、今お前はぐちゃぐちゃになってんだ 猫探しは俺も手伝ってやるから、今日はもう帰れ」
主人「… ありがとうな… 友…」
友「水くせーこと言うなよ、んじゃ俺行くわ。子猫ちゃんによろしくな!襲うんじゃねーぞー!」
ビィイイイイン…
主人「ばっ…!ばかやろぅ…」
カチャ… ゴソゴソ…
みこ「あたしの家… なんだか何もかも小さいな… あたしのご飯用のお皿に… キャットフード… ポリッ… ん、おいし…
…ご主人様はきっとあたしを探しに行ってるんだ… あたしは… ここにいるのにな…
あたしは… どうすればいいの…? グス…
人間になれて幸せなはずなのに… 願いが叶ったはずなのに… なんだか辛いよ… あたしは… ご主人様の猫だよ…」
ガチャガチャ…
みこ「…!ご主人様が帰ってきたっ…!」
ゴソゴソッ!
ガチャリ… キィィ…
主人「そぉーっと… ただいまー…」
みこ「zzz…」
主人「起きて… ないな…」
ドサッ…
主人「ふぅ… なぁ猫… お前は… 幸せだったか…?」
みこ「…」
みこ「いやーっ!いやーっ!!」
主人「み、みこちゃんっ!暴れないでっ!ほらっ!静かにしてっ!」
医者「おやおや元気な子だねぇ… 妹さんかい?」
主人「えと… みたいな… もんです。ほらみこちゃん、大丈夫だから、落ち着いて、ね?」
ナデナデ…
みこ「ふぇ… わかった…」
医者「友君の紹介ということだったね、安心してもらって大丈夫だよ、じゃぁあなたはあちらで待ってて下さい」
主人「はい、ありがとうございます。じゃぁ、また後で」
みこ「はい…ぅぅ」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ぬこ友「(どこに行くのかと着いて来て見れば医者か… 主人の奴… 何もわかってないんだな)」
ヒョイッ
ぬこ友「(うわっ…!服めくってるよ… やっぱり人間になると胸は二つになるんだな…)」
スタスタスタ…
ぬこ友「(しかし…次の満月まであと20日ちょっとか… ぬこ… 本当の幸せを見つけろよ…)」
ガチャリ…
主人「先生!」
みこ「あ…あたし…頑張ったよ…」
主人「偉い偉いw ヨシヨシ それで、どうでした?」
医者「それはあなたの診察をしながらお話しましょう。さ、お嬢ちゃんはそこで待っていなさい」
主人「ごめんねみこちゃん、すこし待ってて!すぐ戻るから」
みこ「はぁい…」
ガチャリ ストンッ
主人「なにか…病気とか怪我とかありましたか?記憶は戻るんですか?」
医者「体はいたって健康優良児だ、しかし…」
主人「え?どうしたんですか?まさか記憶は…」
医者「… あの子は… 記憶など失っておらん」
主人「え…?」
医者「いや、はっきり言うとわしにもよくわからんのだ…」
主人「よく… わからないって…」
医者「記憶喪失の患者は多く見てきたが、あの子の場合全く観た事がない…」
主人「それはつまり…どういう事なんでしょうか」
医者「簡単な催眠治療をやってみたんじゃが… どうも支離滅裂でな」
主人「しりめつれつ…」
医者「あの子を診察して得られた事は二つある」
主人「なんなんですか?」
医者「一種の精神的な病かもしれんが… ”人間になりたい”という願望と…”君への強い執着”じゃ」
主人「… え… ?」
医者「友君からある程度の話は聞いたが… 本当にあの子は知らない子かね?」
主人「… そう… だと思います…」
医者「だと思う?それはどういう事かね」
主人「… 似てるんです… すごく… 僕の飼っていた猫に…」
みこ「…」
医者『君は何かを内に大きな物を秘めているね… それが良い事であれ悪い事であれ… いつかは明かさねばならんだろう…』
看護婦「…お嬢ちゃん、大丈夫?」
みこ「え?あ…はい、大丈夫です…」
看護婦「病院が嫌いみたいねぇ… まぁ好きな子なんて見たことないけど。綺麗な髪ね」
みこ「えへへ… ありがとう」
看護婦「ちょっとじっとしててね… これをこうして… よしできたっ!鏡、みてごらんなさい」
みこ「かがみ?えっと… わぁ… 綺麗なお花…」
看護婦「とてもよく似合ってるわよ。何か悩んでる時は、とりあえずとことん楽しむ事をお勧めするわ」
みこ「楽しむ・・・」
看護婦「そうよ、後回しにするっていう言い方をしてしまえば悪いかもしれないけど… 楽しい時は楽しい事をいっぱいするの」
みこ「楽しい事…」
看護婦「心がいっぱい暖かくなったら、もう一度その悩みと向き合ってみなさいな、きっと何か見えてくるはずよ」
みこ「わかった… ありがとうおねぇさん!」
看護婦「あらおねえさんだなんて… ついでにこの飴もあげるわ♪」
ガチャリ…
主人「ありがとうございました」
医者「気を付けて帰りなさい ああ、君」
主人「え?」
医者「現実は難しい、けれども本当に大切な事は、いつも非常にわかりやすいものだよ」
主人「… なんとなく… わかるきがします… 本当にありがとうございました…」
みこ「…終わった?」
主人「ああ、終わったよ。それじゃぁ帰ろうか」
みこ「うん…」
キィィ… ガチャン…
看護婦「… 不思議なカップルねぇ…」
医者「ああ… 幸せになれるといいが…」
数日後
みこ「あ!友さんこんにちわー。あたしちょっとお散歩にいってくるね!」
主人「おー行ってらっしゃい~ 気を付けていくんだよ」
友「いってらっしゃ~い」
みこ「はーいっ♪」
ガチャ… バタン
友「で、医者に行った結論が?」
主人「”何もしない”…だ」
友「…はぁ。俺は頭が痛い…」
主人「いや、正しく言えば何もしないってわけじゃない… 塞ぎこまずに、楽にしようって、二人で決めた」
友「それであの子の記憶が戻ると…?」
主人「ん… そうかもしれないし… そうはならないかもしれないけど… 今はそうするしかないんだ」
友「そっか… もうゴチャゴチャ言わないよ。ただ俺はあんな可愛い子がお前と住んでるのをやっかんでるだけさ」
主人「あはははw また遊びに来いよ 本当にお前には感謝してる」
友「んなこたわかってる。んじゃまたな 今度はチーかまもってくるよ」
みこ「あ… いたいた!おーい友!」
ぬこ友「(おお… ぬこか… どうしたんだよ)」
みこ「んー… やっぱりわかんない… でもいいや、あたしの言葉はわかるでしょ?だから聞いてくれればいいの」
ぬこ友「(一方的な奴だな…わかった…)」
みこ「あたしね… ご主人様の事が大好き。だからたくさん楽しい思い出を作る事にしたの」
ぬこ友「(…)」
みこ「いつこの生活が壊れてもいいように… あたしなんとなくね、永遠にこんな幸せが続くとは思えないんだ…」
ぬこ友「(ぬこ…)」
みこ「だから… 悔いが残らないように…ね」
子供「おかーさーん、あのおねーちゃん猫にはなしかけてるよおー?」
母「ほんとだねぇ、きっとあのおねーちゃんもねこなのよ」
主人「ごちそうさまー」
みこ「ごちそうさまーっ、あ、食器はあたしが片付けるから」
主人「ほんと?悪いね。じゃあ俺はお茶でも入れるよ」
みこ「あ…あたし…」
主人「”酷くぬるめ”でね、了解w」
みこ「ありがとう♪」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
主人「それじゃぁおやすみ、みこちゃん」
みこ「おやすみなさぁ~い… ふにゃ… zzz…」
主人「… ねたか…」
キィィィ… ガチャ…ン
みこ「… また…いっちゃった…」
友「そいで毎日ラブラブな生活を送ってるわけか。なんて野郎だ…」
主人「そんなんじゃないよw ただ… あの子に辛い思いはさせたくないんだ… おーい猫ー!」
友「… お前はまだあの子が猫だって… 思ってんのか?」
主人「… 先生も言ってたよ。そんな事は在り得ないって… 俺もわかってる。俺はあの子に猫の面影を重ねてるだけだ
こんな生活がずっと続くわけない だからこそ今は楽しく居てほしいんだ」
友「いい奴だよ… お前は… おーい猫ー!」
主人「こんな夜中に猫探し手伝ってくれるお前も十分いい奴だって。猫ーでてこーい!」
みこ「ん…」
『聞きなさい…一匹の猫よ…』
みこ「え…?誰…?ここは…どこ…夢なの…?」
『私は猫神… あの神木に宿る神…』
みこ「かみ…さま…?」
『あなたの願いは 次の満月の時に消える…』
みこ「え…!?そ…そんな…」
『あなたは十分に幸せを得たはず… これ以上何を望む…』
みこ「… わかってます… 願いを聞いてくれてありがとう神様…」
『… 本当の幸せを知りなさい 一匹の猫よ… 』
みこ「本当の… 幸せ…?」
『…欲望とは違う 本当の願いを知りなさい 一匹の猫よ…』
みこ「待ってどういう事なの…!ちょっと!!」
ガバッ!
みこ「…っ!!!夢…… 次の満月…か… もうちょっと…ほしかったな…」
ぬこ友「(それは… 本当なんですか…?)」
老猫「(本当じゃ… 願いを解かれた猫は… 消えてしまう)」
ぬこ友「(そんな… じゃぁあいつは…)」
老猫「(… 恐らくは消えてしまうじゃろう… 今まで願いを解かれなかったものはおらん…)」
ぬこ友「(ちくしょ…う… そんな…ひでえよ… あいつは… あんなに幸せそうなのに…っ!!)」
老猫「(… 一時とはいえ、想い人と一緒におれたんじゃ… それもまた… 運命じゃて…)」
さらに数日後
友「ふぅ… なかなか見つからないな… 猫」
主人「ああ… どこか遠くにいっちまったのかもしれないな…」
友「そう落ち込むなよ!お前の唯一の家族だ、俺が絶対みつけてやる」
主人「友… そうだよな、俺がこんな事言っても仕方ないよな… おーい猫ー!」
友「それはそうと、みこちゃんとはどうなんだ?遊園地に連れて行くとか行ってたけど…」
主人「ああ、行ったよ。高い所が好きみたいで、おおはしゃぎだったよ」
友「かー相変わらずラブラブでうらやましいねぇ…」
主人「これでも羨ましいか?」
友「うわっ… なんだその傷…」
主人「お化け屋敷に入ったら驚いて俺にとびついて来たんだよ そしたら爪でね…」
友「いてぇ… なんか… 大変だな…」
主人「まぁ、それなりに楽しんでるよw 猫ー!おーい!」
そして…
みこ「ねぇ、明日はどこかへお出かけしよっか」
主人「ん?いいよ、どこか行きたい所でもあるの?」
みこ「んー… 内緒!あたしがおにぎり作ってあげるね」
主人「ほんと?みこちゃん作れるの?」
みこ「が、頑張ってみる…」
主人「あははw じゃぁ期待してるよww」
みこ「まかせといてっ♪」
主人「じゃー先にお風呂入ってくるよ」
みこ「… うん。ねえ」
主人「ん?」
みこ「… なんでもないww」
主人「変な奴ww んじゃ」 バタン
みこ『( ア リ ガ ト ウ … )』
主人「ん… あれ?早いね… おはよう」
みこ「あーおはよー!頑張っておにぎり作ってたの。結構失敗しちゃったけど…w」
主人「うわっ…おいしそう!食べてもいい?」
みこ「きゃー!だめー!!後で食べるから作ったのに…もう」
主人「ごめんごめん… で、今日はどこに行くの?」
みこ「町を…散歩したいの あなたと一緒に」
主人「町か… 今日は天気もいいし、いいかもしれないね」
みこ「うんっ♪だから早く着替えてっ!」
主人「はいはいわかったわかった…」
みこ「…」
ガチャ… バタン
主人「んーっ…!はぁー… ちょっと肌寒いけど… いい天気だね」
みこ「うん♪ほんとにいいお天気… 猫だったらずーっとお昼寝しちゃうね」
主人「はははw あ、水筒持つよ、かしてみ」
みこ「あ、ありがとう…でもあたしが持つよ」
主人「え?なんで重いだろ?」
みこ「だって… 両手塞がっちゃったら… 手が…つなげない」
主人「… ん… わか…ったよ…」
ギュ…
みこ「えへへ… あったかいw」
主人「ん… あったかいな」
テクテク…
サクッ サクッ サクッ…
主人「おーやっぱり芝生の上は気持ちいいな」
みこ「おっ…ととっ…歩きにくい…よっ」
主人「大丈夫か?w あ、あのベンチでお昼にしようか」
みこ「うん♪あー緊張するなー…」
主人「あははw 大丈夫大丈夫」
ガサガサ… カパッ
主人「おー…ちゃんとおにぎりだ…」
みこ「それどーいう意味?ほらっ、食べて食べてっ!」
主人「意外だって意味w いっただきまーす」
パクッ… モグモグ…
みこ「…ど、どう?」
主人「ん…おいしい」
みこ「ほんと!?やったー!」
主人「ただ一個だけ聞いていい?」
みこ「なになに?」
主人「…これ具は何?」
みこ「… にぼし?」
主人「… じゃぁこっちは?」
みこ「えっとー… チーかま…」
主人「…」
みこ「…」
チュンチュン… チュン…
主人「ふぅ、お腹もいっぱいになったな… ごちそうさまでした」
みこ「おそまつさまでしたっ♪ちーかまにぎりも案外アリだったでしょ?」
主人「まぁ… ナシではなかったなw また作ってくれよ!」
みこ「…ん…うんっ」
主人「どうした?元気ないな…」
みこ「そんなことないよっ!全然元気!ほらっ、いこいこっ!」
主人「はいはい… いこうか」
サクッサクッサクッ…
みこ「…また作ってあげたいな…」
主人「おう、次はちゃんと梅干とかをお願いするよ」
みこ「…ん」
みこ「あー… この公園でなくしたボール結局みつからなかったね」
主人「ほんとだね… どこに行ったんだろうか… みこがあんなに強く投げるからだよ」
みこ「あたしのせいっ?ちゃんととってくれなかったからだよー」
主人「無くなった物はかえってこない…ってね、あたりまえか」
みこ「… 猫ちゃんが居なくなってからもう一ヶ月経っちゃうね」
主人「ああ… でもあいつの事だから… きっとどこかで元気に暮らしてるよ」
みこ「… そうだと… いいね」
主人「お、なんだこの猫… みこにすりよってる」
ぬこ友「(ぬこ… 今日が満月なんだな…)」
みこ「ほんとだね… あたし猫に好かれやすいのかなw よしよし… お前も… 寒いね…」
ぬこ友「(… お前は… 幸せになれたのか…?)」
主人「なぁ猫、もし俺の猫をみかけたらこう伝えといてくれないか?」
ぬこ友「(?なんだ…)」
主人「”お前を何よりも大切に想っていたよ、ずっと待っているから、いつでも帰っておいで”って… はは、何言ってんだろうね、俺」
みこ「……」
みこ「… 大切な… 家族だったんだね…」
主人「…ああ とっても大切だった… どこにいっちまったんだか… あれ?みこ…?泣いて…る?」
みこ「っ!泣いてないっ!泣いてないよ… ほこりが… 目に入ったの」
主人「… ありがとうな」
みこ「…なんでありがとうなんて…」
主人「うちの猫のために… 俺のために泣いてくれるなんて… ほんとにありがとう」
みこ「… あたし………」
主人「さ、いこういこう 止まってたら寒いよw」
みこ「(……ごめんね…ごめん……)」
タッタッタッタッタッ・・・
老猫「(そうか… 今宵が満月か…)」
ぬこ友「(はい… 俺は… 何も出来ませんでした…)」
老猫「(運命には抗えん… わしらに出来る事は… もう祈る事だけじゃ…)」
ぬこ友「(はい… グッ…ヒック…)」
老猫「(…泣くがよい若者よ…)」
主人「わー… すっかり暗くなったなぁ…」
みこ「ん… ほんとだね…ねぇ、あそこの神社にお参りしていこうよ!」
主人「あそこの神社は… こんな時間に神社なんか気味悪いよ」
みこ「大丈夫大丈夫…ほらほら」
主人「わ、わかったわかった… でも今日は月明かりで明るいね」
みこ「ほんとに…綺麗な月だね」
カツッ カツッ カツッ カツッ カツッ…
主人「みこと出会ったのも、こんな夜だったんだよ。覚えてる?」
みこ「んー… あたしはあんまり覚えてないな… ここに倒れてたんだよね」
主人「そうだよ、それを担いで家まで帰った… 今思えばなんであんな事したんだろ」
みこ「… 連れて帰らなきゃよかった…?」
主人「そんな事これっぽっちも思ってないよ。なぁみこ… お前… 記憶はほんとにないのか?」
みこ「… ううん 全部… 覚えてるよ…」
主人「え…?全部って…」
みこ「ここに倒れてたのを覚えてないのはほんと。でも… それ以外の事は全部覚えてるの」
主人「…」
みこ「きっとね、あなたは信じないと思うの。でも、もう時間がないから… 言うね」
主人「時間って…お、おいみこ何言ってるんだよ…」
みこ「あたしは人間じゃないの…」
主人「…」
みこ「一ヶ月前の夜… ここに来て神様にあるお願いをしたの そうしたらそれが叶っちゃって… こんな姿に
そしてあなたに拾われた… それからはあなたも知ってる通り。
一ヶ月の間ほんとに楽しかった 願いが叶って あなたと一緒に居れて…」
主人「…」
みこ「ほんとに楽しかったね… いっぱい遊んでくれてありがとう
あのボール見つけられなくてごめんね それから、お買い物も楽しかったよw
いっぱい可愛いお洋服着れて… あなたに褒めてもらって… 嬉しかった…
遊園地も楽しかったね うるさくてごめんなさいw じぇっとこーすたーだっけ またのりたかったな…
それにあなたの作るご飯、とってもおいしくて大好きだった」
主人「… ズッ…」
みこ「… 泣かないで… あなたにずっと謝りたかったことがあるの」
主人「謝る… 」
みこ「もうわかってると思う… 私はあなたの猫… ご主人様の飼い猫です」
主人「…」
みこ「あなたの事が大好きで大好きで… ずっとずっと人間になりたかった
そしてあなたの側で、ずっと暮らしていたいって思ってた」
みこ「でも… あたしの願いは… あなたから家族を奪った…
あたしが人間になったせいで… あなたの家族は… 消えてしまった…
そして… わかるの。 あたしももうすぐ消えてしまう… 永遠に…
本当にごめんね… ごめんね… ヒ…ッグ…」
主人「… 俺も… わかってたんだ」
みこ「…え…?」
主人「お前が… みこがうちの猫なんじゃないかって… ずっと思ってた」
みこ「…う…そ…」
主人「”こんな事在り得ない””馬鹿げてる”って、ずっと自分に言い聞かせてた
でも… 俺は信じてたんだ… みこが… うちの猫だって事を… 心の底で…」
みこ「… えへへ… なんか… 嬉しいな…」
主人「だから謝らなくていい! 俺は… お前と居れて… 幸せだった… 幸せだったんだ…
ただお前がいるだけで… みこがそこにいるだけで… 俺は幸せだったんだ…」」
みこ「… ありがとう… いっぱい… いっぱい愛してくれてありがとうご主人様… あたしは… 幸せだったよ…
でも今気づいた… あたしの… あたしの幸せは… あなたに幸せになってもらうことだったんだ…」
主人「み…こ…」
みこ「泣かないで… あたし馬鹿だな… あなたに幸せになったほしかったのに… あなたを一人にしてしまう…
逆のことしちゃってるね…w ごめんなさい…。 猫のままで居れば二人で幸せに暮らせたのにね… 」
主人「…グッ…ヒグ…み…こ…」
みこ「月が… 高い…。 あと… もう少しであたしは消える… だからねぇご主人様… 最後に一つだけ…お願い」
主人「なん…だ…?」
みこ「… 人間の恋人がするように… キス… してほしいな…
主人「… わかった… ほら、おいで…」
みこ「っ…! ご主人様の… そのおいでが… 大好きだったの… もっと呼んで… もっとあたしを呼んで…」
主人「みこ…おいで… みこ…!」
みこ「えへへ… 嬉いなぁ…」
主人「… ごめんな… ん…」
みこ「… んっ………チュ……」
みこ「… やったぁ… ご主人様と… キスしちゃた…」
主人「いくらでも… これからいくらでも…してやるから…消えないでくれ…」
ギュウウウウゥ…
みこ「…痛いよ…ご主人様… でも… あったかい… 一人にしてごめんね…
あたしの幸せは… ご主人様の幸せだったのにね… ほんとうにごめん…
でも… 大好きだったよ… ご主人様… ありがとう… いっぱいいっぱい… ありがとう…」
主人「みこ… みこ…?お前…体が…ひかって…」
みこ「…もう…時間みたいだね… ご主人様… そのまま抱きしめてて… あったかいから…」
主人「いやだ…!みこ…!みこ…!いくな!!いかないで!!!!」
みこ「泣き虫…だなぁ… あたしが消えても… ご主人様は笑ってて… あたしを思い出して… 笑ってね…?」
主人「み…こ…!!ちくしょう!!神様…!!!」
みこ「… うふふ… 本当にありがとう… ご主人様… 世界で一番 誰 よ り も 愛 し て た に ゃ…」
フッ…
主人「みこ…?みこ…!みこぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
老猫「(… いって… しまったか…)」
ぬこ友「(う・・・ぐ…ひっ…く… ぬこぉ……)」
老猫「(… なんと不憫な子よ… 猫神様… どうかあの子をお守り下さい…)」
数日後
ガチャッ!
友「おーい入るぞー!」
主人「おう… 友… どうした」
友「なんだよしけた面して!ほら、酒とつまみもってきたから… 一緒に飲もうぜ」
主人「… 酒か… それもいいかもな… 気つかわせてわるい…」
友「いいさ… それに… ”猫が消えた”なんて馬鹿話信じるのは俺くらいだろ?」
主人「それも…そうか… お… ちーかまじゃないか… はは… 懐かしいな…」
友「あぁ… あの子がいた時の癖で買っちまった… 悪い」
主人「いいよ… きにすんな ちょっと飲んでてくれよ、風にあたってくる」
友「…ん。 元気…だせよ」
主人「…おう…」
ガチャン…
主人「… 俺は… お前が居なくなって… 寂しいよ… みこ…」
ニャーン
主人「お… 猫か… よしよし…」
ニャォン
主人「俺の幸せがあいつの幸せなら… 俺は笑わなきゃな…」
ナーォ
主人「なんだ… お前寒いのか…?腹減ったか…?猫言葉はわかんないよ…グス…」
「ねーさっきの子みたー?」
「みたみたー、猫と話してたよね?」
「可愛いのにもったいなーいwww」
「んー… でもあの子も結構猫っぽくなかった?」
「たしかにねー」
主人「…!!!」
タッタッタッタッタッ…!!
主人「はぁ…はぁ…!…!あの子…!」
??「ねぇ猫さん、寒くない?あたしは寒いよ」
ニャーォ
??「寒くないの?すごいね猫さんっ」
主人「き、君!!」
女の子「え…?おじさん…だれ…?」
主人「こ…子供…?…人…違いか…ご、ごめんね…」
ニャーオ
主人「帰ろう…」
ガチャ…
主人「ただいま…」
友「おーおかえりー!!!!お前これはねーよwwwww」
主人「…?」
主人「どうした…?」
友「いやなに… えらく面白いつまみを食ってたんだよ…」
主人「おに…ぎり…?」
ニャァーォ
主人「え…?」
みこ「… ただいま… 長いお散歩から帰ってきたよ… 大好きなご主人様…」
主人「み…こ…・」
エピローグ
老猫「(ほぅ…そうか… そうか… よかったのう…本当によかった…)」
ぬこ友「(ひ…ぐ…)」
老猫「(主人の強き想いが天に届いたんじゃろう… 猫神様… ありがとうございます…)」
ぬこ友「(ひっ…ぐ…うぇぇ…)」
老猫「(いい加減泣きやまんか馬鹿猫めっ!)」 ゴチンッ!
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
主人「お前… なん…で…」
みこ「… ”本当の幸せ”を見つけたから…」
主人「本当の…」
みこ「あなたが… あなたが強く願ってくれたから… あたしは帰ってこれたの」
主人「… みこ…もう…消えないん…だな…?」
みこ「あなたに要らないって思われるまではね…っ。ほら、泣き止んで…?友さんも見てるよ?w」
友「ははは!!こいつぁいい肴だ!もっとやれー!」
主人「み…こ…!!!!!!!!!!」
… 俺は今幸せだ 何者にも変えがたい物が 今はすぐ側にある
現実は思ったより厳しい でも大切な事は いつもわかりやすいって、誰かが言ってた
それはどうやら本当だった 大切な事は とても簡単な事だったんだ
俺はみこを愛してる 誰よりも 何よりも
これから先何があろうと 俺は彼女を離さないだろう
これから散歩に行くときは いつも一緒だ…
「えっと…このへんかな…」
「おーい!あったかー?」
「あ…!!あったよー!!!!」
「それは… 昔なくしたボール…」
「”なくなった物”も… いつかは帰ってくるんだね…w えいっ!!」
「わっ!おい!!投げすぎ!!!wwwwwww」
「あははははははは!!wwwwとってこーい!!!!!!」
~FIN~
皆さん大変長い間読んでくださって本当に本当にありがとうございます
gdgdな話でしたが、最後まで書けてよかったです
みなさんは大切な物はありますか? どうかどうか、大切にしてあげてください。
みこと主人はきっとこれから先も幸せに暮らしていくでしょう
もっと読みたい?それはまたの機会に…w
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