昔々、雪の降ったある冬の日に。
「…………」
今にも息絶えそうな子猫が、段ボールの中で眠っていて。
それに偶然、四歳児が目を付けた。
「こんな、さむいひに」
「こんなところでねていたら」
「しんでしまいます」
「……にゃぁ……」
それに対する猫の返事は、とてもとても小さなもので。
「しかた、ないですね」
「…………」
少年は、段ボールの中からその子猫を抱き上げて。
雪の降る道の中をざくざく、歩いて行った。
「ねて、いる」
子猫は、その少年の腕の中で、ぐっすりぐっすり夢の中。
「にゃぁ、にゃぁ」
「はい、はい」
暖かくて、広い、段ボールじゃない、場所。
子猫は、少年の家にいた。
ミルクと、キャットフードを目の前にして、ぺろぺろがつがつ。
「そんなに、あせらなくても」
「にゃぁにゃぁ」
子猫はそれらを平らげると、少年に向かってよたよたと歩き、少年に頭を擦り付けた。
「なついて、いる?」
「ごろごろごろ」
喉を鳴らす、すると同時に鈴も鳴る。
少年がそれに目をやると、首輪に付いた鈴と、文字が見えた。
「ちんぽっぽ?」
「にゃぁにゃぁ」
「それが、なまえなんですか」
「っぽ」
少年が聞くと、はいやいいえと答える代わりに、子猫は変な鳴き声で反応した。
少年はくすりと笑って、猫を撫でるとこう言った。
「わたしのなまえは、わかってます、です」
「にゃぁ」
「わかり、ましたか?」
「っぽ」
「…………」
「また、へんななきごえ」
「にゃぁ、にゃぁ」
子猫は、少年に頭を擦り寄せて、そのまま眠った。
少年は子猫を起こさないように、ずっとそこから動かない。
「せっかく、ひろってあげたのに、かえない、なんて」
「ゆるして、くれますかね」
「…………」
尻尾をぱたぱた、返事は、無い。
「あ、おかあさん、おかえりなさい」
「ただいま、わかってます」
「ねえ、おかあさん」
「ん? なにかな?」
「ねこ、かってもいいですか?」
少年の問いに、悲しそうな顔をして母親は首を横に振った。
少年はそれを、解っていたけれど、悲しんだ。
母親は、少年を髪を撫でながら言う。
「ごめんね、わかってます、ここは、ねこやいぬをかっちゃいけないの」
「…………わかってます」
「ほんとうは、かってあげたいけど……」
「なら、おかあさん……いっしゅうかん、だけ」
少年は、母親を見上げて言った。
その顔からは、とても強い意志を感じて。
母親も、つい首を縦に振る。
「ありがとう、おかあさん」
それから一週間、子猫と少年は一緒に暮らした。
子猫は最初、元気が無い様に見えたけれど、今ではすっかり元気になって。
しかしそれでも、無情にも、一週間が過ぎるのは早かった。
「ちんぽっぽ」
「にゃぁ」
「ごめんなさい」
「?」
「わたしとは、きょうでおわかれです」
そこは、一週間子猫を拾った公園。
段ボールはまだ置いてある。
少年は毛布を一枚だけ持って、子猫と毛布をその段ボールの中に入れた。
「っぽ」
「どうかだれかが、ちんぽっぽをひろってくれますように」
「っぽ……?」
その日も雪が振っていて。
少年はその中を走って行く。
猫は、といえば。
――いつかきっと、恩返しをしよう。
と、考えていた。
‐(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです‐
それからの、子猫は。
「今日も散歩か、ちんぽっぽ」
「っぽ」
「相変わらず、変な鳴き声である」
「にゃぁにゃぁ……っぽ」
「どこから、そんな声が出るのだ?」
とある老人に拾われて、平和に暮らしていた。
勿論、少年の事は忘れずに。
老人の名は、杉浦ロマネスクと言った。
子供がいなければ、孫もいない、死を待つのみの老人だ。
彼は、猫が少年と別れた日、偶然公園まで散歩に来ていた。
そして、
「にゃぁ、っぽ」
という、鳴き声に気付く。
振り返れば段ボールに入った一匹の子猫がじっとこちらを見ているではないか。
「お前も、一人なのか」
彼も一人で、子猫も一人、というよりも一匹、正しくは一匹。
そこに何かを感じて、彼は子猫を拾ったのであろう。
「今日も元気で、何よりである」
ともあれ、子猫がまたしても生と死の境に立たされる事は無かった。
そして、それから一年、二年、三年、と時が過ぎて行き。
・
・
・
(*‘ω‘ *)「ぽっ、ぽっ」
( ФωФ)「む、何だ」
(*‘ω‘ *)「にゃー……」
そして、十年が、いやそれとあと二年程経った。
杉浦も、九十を越えて、ちんぽっぽも、人間で言えば杉浦程の年齢で。
お互い、死を待つのみであった。
(*‘ω‘ *)(……)
否、ちんぽっぽは違った。
(*‘ω‘ *)(もう、長くない事は解ってるっぽ)
(*‘ω‘ *)(でも、まだ恩返しが出来て無いんだっぽ……)
そう、ちんぽっぽは、十年と約二年が経ってからも少年の事は忘れなかった。
あの日、杉浦に拾われてからずっとずっと、ちんぽっぽは少年を探し続けていたのだ。
(*‘ω‘ *)(……もう、時間が無いんだっぽ)
けれど、彼は見付からない。
(*‘ω‘ *)(神様……が、いるのなら)
(*‘ω‘ *)(私にどうか、恩返しをさせて下さいっぽ)
ちんぽっぽは、祈り続けた。
太陽を見上げ、月を見上げ、来る日も来る日もそれだけを祈っていた。
そして、それが何日か続いた頃だった。
(*‘ω‘ *)(神様……)
『ふぇぇ~誰かが私を呼んでるよぉ~?』
(*‘ω‘ *)「!?」
それは夜、ちんぽっぽが月を見上げて祈り始めた時だった。
突如として、何処からか女性の声が聞こえたのだ。
从'ー'从「どうしたのかなぁ~?」
(;*‘ω‘ *)「にゃっ!?」
从'ー'从「あ~可愛い猫さんだ~」
(;*‘ω‘ *)「……」
从'ー'从「あ、もしかして~」
从'ー'从「私を呼んだのは~貴女なのかな~?」
(*‘ω‘ *)(呼んだ? ……まさか)
急に目の前に現れた女性は、ちんぽっぽに向かって私を呼んだ、と言う。
ちんぽっぽの推測が正しければ、彼女は神様という事になる。
(;*‘ω‘ *)
ちんぽっぽは、自分で頼んだ事でありながら、少々驚いていた。
(*‘ω‘ *)「か、か、神様っぽ?」
(;*‘ω‘ *)「ってあれ? 喋れてるっぽ……」
从'ー'从「そうだよぉ~渡辺って呼んでねぇ~、あとそれは神様の力なんだよ~」
何だか何処にでもいそうな名前の神様は、ちんぽっぽを一撫で。
そして話を始めた。
从'ー'从「ちんぽっぽちゃんは、恩返しがしたいんだね?」
(;*‘ω‘ *)「そ、そうですっぽ、どうしてもしなきゃいけないんですっぽ!」
恩返し、その言葉を聞いてちんぽっぽは顔色を変えた。
ちんぽっぽにとって恩返しとは、それ程に重要なものなのである。
从'ー'从「そっかぁ~……じゃあまず、ちんぽっぽちゃん」
(*‘ω‘ *)「は、はいですっぽ」
从'ー'从「貴女の寿命は、あと一週間よ」
(*‘ω‘ *)「はあ……」
(;*‘ω‘ *)「ってえぇっ!?」
一週間、七日間、計算するの面倒だから何十時間か。
確かにちんぽっぽは自分が長くない事を知っていた。
しかし流石に、一週間は短過ぎるだろう。
(;*‘ω‘ *)「ちょ、ちょっと待って下さいっぽ! それじゃあ何も……」
从'ー'从「うん、そうだね、でも、まだ続きがあるの、聞いてくれる?」
(*‘ω‘ *)「……はいですっぽ」
从'ー'从「よしよし、良い子だね、神様気に入ったよぉ~」
从'ー'从「本来は、ちんぽっぽちゃんはとっくに死んでいるの、あの十年と二年くらい前に、餓死、だったかな」
十年と約二年、それはちんぽっぽが段ボールの中で寂しく一生を終えようとしたあの日。
(*‘ω‘ *)「じゃあ、何で…………」
从'ー'从「それはねぇ、貴女の恩返ししたい人が、その運命を変えたからなの」
(*‘ω‘ *)「え……?」
从'ー'从「だからちんぽっぽちゃん、貴女が恩返ししたいという気持ち、神様が全力で応援してあげる」
(*‘ω‘ *)
自分は本来、あの日で死んでいた。
けれど少年のお陰でその運命はねじ曲がり今、彼女は本来の寿命より十年と約二年も多く生きている。
恩返しをしないなんて……。
从'ー'从「まあ細かい話は後でしようかな、それじゃあちんぽっぽちゃん、準備は良い?」
(;*‘ω‘ *)「え!? 今からですかっぽ!?」
从'ー'从「だって時間が無いもの~」
从'ー'从「……あ、その前にいくつか条件があるの」
(*‘ω‘ *)「は、はいですっぽ」
※ ――……
从'ー'从「……以上、良いかな?」
時は既に草木も眠るなんとやら、渡辺とちんぽっぽは縁側に座って話していた。
(*‘ω‘ *)「……分かりましたっぽ」
从'ー'从「うん、じゃあ行くよぉ~」
神様こと渡辺は、ちんぽっぽを抱き上げて、
从#'ー'从「……そーぉれっ!」
月に向かって、投げた。
(;*‘ω‘ *)「にゃああぁぁぁあっ!!」
。。
゚●゜
。。
゚●゜
。。
゚●゜
。。
゚●゜
(…………)
(…………、あ)
目が覚めた。
何だか変な感覚が彼女を襲う。
周りは真っ暗、とりあえずそこから動いてみる。
「…………ぽっ?」
そして次々に襲ってくる、違和感。
がばっ、と起き上がる彼女は、信じられない光景を目の当たりにした。
(;*‘ω‘ *)「にん、げん、に……」
(;*‘ω‘ *)「人間になってるっぽ!?」
もう一度大きな声で。
まず彼女の目に写ったのは人間の手、あのふにふになにくきゅうはいずこ。
(*‘ω‘ *)「か、鏡っぽ!」
まずこの部屋が何なのかについては突っ込みを入れず、部屋にあった鏡で自分の姿を確認した。
(;*‘ω‘ *)「こ、これは……」
まんまるな目に、そこからちょんと跳ねた長い睫毛、そして髪型は誰の趣味なのか額が強調される様になっていてまあ色々省略。
自分の想像も付かなかった人間Ver.に彼女は驚きを隠せずあたふた。
(*‘ω‘ *)「ゆ、夢じゃないっぽ……?」
(*‘ω‘ *>o「ふむ」
(*‘ω‘。*)「痛いだけっぽ、これはきっと現実なんだっぽ」
ベタな確認方法を実行して、彼女は次に部屋へと目を向ける。
ここはどこだ、と。
部屋を一言二言で表すならば、狭くて綺麗、だ。
渡辺の言う通りならば、ここは確か、少年の部屋になる。
从'ー'从『私はこれから、ちんぽっぽちゃんに恩返しが出来るようにする為に、ある事をしなくちゃいけないの』
(*‘ω‘ *)『ある事っぽ?』
从'ー'从『そう、一つはまず、貴女を恩返ししなきゃいけない人の所まで送り込む事、これは覚えておいてね』
(*‘ω‘ *)『は、はいですっぽ、で、も……もう一つは?』
从'ー'从『ふぇぇ~それは教えられないよぉ~』
(*‘ω‘ *)「って事はあの時言っていたもう一つはこの事かっぽ……」
ちんぽっぽは自分の姿をもう一度鏡で確認する。
何処からどうみても人間だ。
と、思いきや。
(;*‘ω‘ *)「あ、あれ?」
なんだか、人間にしては違うものがあるではないか。
それは元々被っていたフードによって気付かなかった猫の耳。
そして尻尾だ。
(;*‘ω‘ *)「……これはマズいっぽ……」
神様、しっかりしろ。
从'ー'从「あれれ~取り替えたはずの耳と消したはずの尻尾が無いよぉ~?」
(;*‘ω‘ *)「なんて中途半端な……」
とりあえず猫耳はちょうど付いていたフードで何とか誤魔化すとして。
(*‘ω‘ *)「尻尾……」
これはどうしようもない。
無意識の内に動いているものだし隠す事も難しい。
しかし下手したらそういう趣味の人間だと思われる。
さて、どうしようか。
(;*‘ω‘ *)「これじゃあまともに外歩けないっぽ……」
そんな風に彼女があたふたしていると、部屋の先から、何やら物音がした。
それはドアが開いて、閉じる音、と振動だ。
つまり誰かが帰って来た、と。
(;*‘ω‘ *)(ま、まままマズいっぽもしワカッテマスだったら本当にマズいっぽくぁwせ;@ふじこlp)
がちゃ。
( <●><●>)「あー今日も忙し……」
( <●><●>)
(*‘ω‘ *)
( <●><●>)
(;*‘ω‘ *)
見つめあうと素直にお喋り出来ない、じゃ無くて。
そういう意味で喋れない訳じゃない、と彼女は心の中で思う。
これは一大事である。
まずは状況を整理しよう。
帰って来たワカッテマスが部屋に入ると、見知らぬ人がいた。
それも猫耳とご丁寧に尻尾まで付いた。
顔は悪くない、だがしかし今はそういう問題では無い。
(;<●><●>)「あ、警察ですか、家に今泥棒猫?が……」
(;*‘ω‘ *)「待って下さいっぽ! 待って下さいっぽ!」
(;<●><●>)「……」
(;<●><●>)「まあ、あの、お茶でもどうですか……」
(;*‘ω‘ *)「す、すみませんっぽ……、わざわざ……」
ワカッテマスはおずおずとちんぽっぽに茶を勧めた。
ここは乗るしか無いだろうとちんぽっぽは首を縦に振った。
ぱたぱたと気まずそうに尻尾が揺れる。
(;<●><●>)「それで、あの……家にはどういうご用件で……」
(;*‘ω‘ *)「そ、それは……」
ちんぽっぽはまた、渡辺との会話を思い出した。
从'ー'从『条件っていうのはね~二つあるの~』
(*‘ω‘ *)『二つですかっぽ』
从'ー'从『うん、まず一つ目は、自分がどうして来たのかを言ってはいけない、って事』
(*‘ω‘ *)『えぇっとつまり……恩返し云々については言っちゃいけないんですかっぽ?』
从'ー'从『そうなるねぇ~、説明不足だけどこれからの事を考えるとこれ以上は言えないなぁ~』
从'ー'从『あと、これは最初から決まってる事なんだけど~』
从'ー'从『期間は貴女の寿命と同じく一週間、これ以上は延ばせられませんって事ね』
(;*‘ω‘ *)『わ、分かりましたっぽ、あ、あともし一つ目の条件を破ったらどうなるんですかっぽ?』
从'ー'从『それも言えないなぁ~ごめんねぇ~』
(;*‘ω‘ *)『い、いえそんな事はありませんっぽ! むしろ感謝してますっぽ!』
あの時、本当はどうなるのかを聞いてはおきたかったけれど。
ちんぽっぽは仕方無いと思い、諦めたのだった。
(;<●><●>)「あ、あの……」
(;*‘ω‘ *)「! す、すみませんっぽ!」
とりあえず余計な事は喋れない、しかし頑張らないと間に合わない。
自分がそんな不憫な状況に置かれているのだとちんぽっぽは思った。
( <●><●>)「そういえば貴女のお名前は……」
(;*‘ω‘ *)「ち、ちんぽっぽですっぽ」
( <●><●>)「ちんぽっぽ……?」
ワカッテマスは一瞬、何かが突っ掛かった様な顔をして、考え込んだ。
恐らく今の彼は、ちんぽっぽの事を覚えてはいない。
当たり前といえば当たり前だ。
どんなにその時、ワカッテマスが悔しい思いをしたとしても、時が経てば忘れてしまうのが道理というものだ。
いつまでも一つの事に縛られてる訳にはいかないのである。
しかし、逆にちんぽっぽはいつかワカッテマスに恩返しする事だけを夢見ていた。
そのショックが大きくても、無理は無い。
( <●><●>)「どこかで聞いた事がある様な……」
(;<●><●>)「ってどうしたんですか!? 何で泣いてるんですか!?」
(*。ぅω; *)「そ、そりゃあ……覚えて……なんか、無い……っぽ……」
(;<●><●>)「え? いや、あの……!」
泣いてばかりのちんぽっぽに、ワカッテマスはただただ戸惑っているだけで。
ちんぽっぽが泣きやむ頃には、日が沈んでいた。
(*ぅω‘。*)「…………」
(*ぅω⊂*) ゴシゴシ
(*‘ω‘ *)「……うう、ごめんなさいっぽ」
(;<●><●>)「い、いやこちらこそ申し訳無いというか……」
入れてもらった熱いお茶は、すっかり冷めてしまっていて。
それでもちんぽっぽは、ぐいとお茶を飲み干した。
(;*‘ω‘ *)「で、その、用があるんですっぽ」
(;<●><●>)「は、はい……」
(*‘ω‘ *)(そ、そうだ、確か渡辺さんから貰ったものが……)
二度ある事は三度ある、と再びちんぽっぽは渡辺との会話を思い出す。
从'ー'从『ちんぽっぽちゃんにはこれを預けておくね~』
(*‘ω‘ *)『……紙?』
从'ー'从『きっと誰かの家に居候する事になるだろうから、その時はこれを見て話すと良いよぉ~』
(*‘ω‘ *)『あ、ありがとうございますっぽ!』
(*‘ω‘ *)(えーっと何々……)
(*‘ω‘ *)「ち、ちわーす、みかわやでーす、っぽ」
(;<●><●>)「え?」
(*‘ω‘ *)「え?」
(*‘ω‘ *)(わ、渡辺さん……)
人間のアニメやら何やらの文化を知らないちんぽっぽでも、こればっかりは分かった。
これだけは絶対に違うと、おかしいだろと。
从'ー'从「あれれ~、渡したはずの紙が何であるのかなぁ~?」
神様しっかりしろ、むしろして下さい。
(;*‘ω‘ *)(これはもうどうしようも無いっぽ……)
ちんぽっぽは考えた、どうすれば良いのかを。
しかし全くと言って良い程に名案が思い付かない。
(*‘ω‘ *)(こんなんじゃ恩返しにもならないっぽ……)
(;*‘ω‘ *)「あっ、そうだっぽ! 急用思い出しましたっぽ! それでは!」
(;<●><●>)「え? ま、待って下さい!」
(;*‘ω‘ *)「な、なんですかっぽ!? もう恥ずかしくて死にそうなんで早く行かせて下さいっぽ!」
勿論急用が出来たなど嘘である。
用なんて一つしか無い、今目の前にいる彼への恩返しだ。
(;<●><●>)「いや、そっちは玄関じゃ無くて押し入れです……」
(;* ω *)「は、はいですっぽ……」
去り際までかっこよく纏まらない運の悪さってなんだろう。
ちんぽっぽは心のどこかでそう思ったとか思ってないとか。
(*‘ω‘ *)「はぁ……」
結局そんな運の悪い彼女が来たのは、彼と出会って別れた公園だった。
彼女の記憶から行ける場所は精々それくらいである。
(*‘ω‘ *)(こんなんじゃ、一週間なんてあっという間っぽ……)
(;*‘ω‘ *)「っくしゅん!」
(*‘ω‘ *)(寒いっぽ……)
季節は冬、しかももう夜になりかけている。
なのに彼女の格好と来たら薄いフード付きの上着にジーンズくらいで。
(;*‘ω‘ *)(そ、そういえば耳と尻尾は一応隠さなきゃ駄目だっぽ……)
そこで彼女は思いだし、慌ててフードを被ったが、尻尾はどうしようも無いので諦める。
ベンチに座ってはあと溜め息を吐くと、それは白くなった。
(*‘ω‘ *)(寒いっぽ……それに……)
(*‘ω‘ *) ギュルル
(;*‘ω‘ *)
(;*‘ω‘ *)(お腹も空いたっぽ……人間になってから何も食べて無いっぽ……)
寒さと空腹と、そして一人でいる怖さ。
何だかそれからはあの日と似た様なものを感じる。
(;*‘ω‘ *)(そういえばそうだったっぽ、あの日も寒くて怖くてお腹が空いてて……)
(*‘ω‘ *)(……だけど、あの日はワカッテマスがいたっぽ)
確かに昔と今は似ていた。
しかし、昔と今には決定的な違いがある。
それがワカッテマスだった。
きっと今は、自分を追って来てなんかくれないのだろう。
(*ぅω‘ *)(眠いっぽ…………)
(*ぅω‘ *)(どうせあの日亡くなってた命なら……別に……)
(*ぅω‘ *)「はぁ…………」
一度溜め息を吐くと、ちんぽっぽはベンチに横になった。
そしてゆっくり目を瞑った、その時。
「こんな、寒い日に」
「こんな所で寝ていたら」
「死んでしまいます」
「……ちんぽっぽさん」
(*‘ω‘ *)「……え?」
(;<●><●>)「探しましたよ、どうせ行く宛も無いのに何処に行くつもりなのかって」
彼女が目を開ると、ワカッテマスがそこにいた。
あの日の幼い彼じゃ無く、今の彼が。
(;<●><●>)「ほら、帰りましょう、話は後で良いですから」
走ったのか、息苦しそうで、言葉はとぎれとぎれになっている。
そして差し延べられた、手袋をはめた手。
(;*‘ω‘ *)「い、良いんですかっぽ?」
( <●><●>)「公園で寝てしまう様な人を放っておく程、酷い人間ではありませんからね」
(;*‘ω‘ *)「……じゃ、じゃあ」
彼女の冷えきった手が、手袋に重なった。
( <●><●>)「あ」
ワカッテマスは思い出したかの様に言うと、マフラーをちんぽっぽの首に巻いて、手袋も片方はめてやった。
(;*‘ω‘ *)「え!? い、いや悪いですっぽ! 冷えちゃいますっぽ!」
( <●><●>)「良いですよ、どうせ家ならすぐ近くなんですから」
(;*‘ω‘ *)「い、いや、でも……そうしたら……!」
また一つ、世話になってしまう。
( )わかってます。わかって……
( <●>) …いました。
>>106 怖いよ!
そんな訳で今日は以上になりますです、眠い。
続きはまた明日っていうか今日もスレが残っていたら。
んではおやすみなさい、でもその前に質問あったら答えます。
何時に戻る
>>108 とりあえず十二時間後くらいには戻れたら良いなあと。
>>109 わざわざ深夜に付き合ってくれてありがとう、それは貰っておく。
ではおやすみなさい!
猫と恩返しのようですまとめ第1話:(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-288.html第2話:(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです-綺麗になった部屋-
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-289.html第3話:(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです -雨は止まない。 -
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-290.html第4話:猫と恩返しのようです -モヤモヤした気持ち-
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-291.html第5話:(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです -ハインリッヒ高岡-
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-292.html第6話:(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです -5日目の終わり-
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-293.html第7話:(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです -6日目の終わり-
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-294.html第8話:(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです -エンディング-
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-295.htmlラスト:(*‘ω‘ *) 猫と恩返しのようです -真・エンディング-
http://lovevippers.blog.2nt.com/blog-entry-296.html
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