私が唖然としているその間も、おまんこは降り続いている。
あるおまんこは水溜りに落ちて、小さな水泡をしきりに吐き出している。
あるおまんこはゴミ置き場のポリバケツに落下し、蓋を跳ね上げて自らゴミとなった。
あるおまんこはカラスについばまれて、赤い、赤い血をとくとくと流している。
・・・生きている。やはり、このおまんこたちは生きているのだ。
そもそもおまんことは、女性の股の間についているものだ。それが単独で存在するという道理は無い。
つながっているのだろうか。それとも、それぞれがパーツごとに分かれているのだろうか。
私は胸ポケットからボールペンを取り出すと、最初に見つけたおまんこをつついてみた。
おまんこは、つつかれると微かに動き、その全体が振るえた。
ボールペンの先で押し、また引いてみる。
おまんこは、おまんことしての形を失いはしなかった。
つながっているのだ。
紛れも無く、これは「おまんこ」なのだ。
「プシッ」
突如、おまんこは潮を噴いた。
私は顔を近づけて観察していたものだから、それをまともに浴びてしまった。
不快である。
この私がおまんこに侮辱などされて良い筈が無い。
私は急に、このおまんこへの知的好奇心を失った。
もうしばらく、このまま待ち続けよう。
おまんこで、道が埋め尽くされるのを。
そうしたら私は、おまんこを踏み締めながら家路につくのだ。
きっと楽しいぞ。
私はそのまま、20分も待っていたろうか。
道を埋め尽くすには程遠いものの、一歩踏み出すごとに一つのおまんこを踏める程度にはなっている。
私はさいしょのおまんこを、私に潮を浴びせた憎きおまんこをポケットに押し込むと、帰路についた。
靴の底に感じるおまんこは、ぐにゅりと柔らかく、弾力がある。犬の糞などとは大違いだ。
ふと目を足元に向けると、車が踏み潰したものか、おまんこがミンチになっていた。
そこには無数の蟻がたかっている。
「お前ら今日はご馳走だな。人間だってなかなか喰えん奴が多いのだぞ」
私は蟻たちの晩餐を想像して、わずか笑った。
おまんこを踏み締め踏み締め、私はアパートへと戻った。
惜しむらくは、すべての歩みでおまんこを踏み締めることが叶わなかったことである。
アパートの階段には薄いプラスチックの屋根があり、おまんこが落ちなかったのだ。
おまんこの無い階段から、ふと上を見上げる。
屋根に落ちた無数のおまんこのシルエットが見える。こうして見ると、大小さまざまだ。
いくつかのおまんこが屋根から滑り落ちた。落ちたおまんこはしとどに濡れている。
「淫乱め」
吐き捨てた。
部屋の前に立つと、中から人の気配がした。ドアノブを回す。鍵はかけられていない。
見慣れた、女の後姿が見えた。
「あ、先生、お帰りなさい。」
「お帰りなさいじゃないだろう。鍵もかけないで無用心な。」
「大丈夫ですよ。大丈夫。」
女は、私の恋人の朱美であった。渡してある合鍵を使って入ったものらしい。
「何が大丈夫なものか」
「だって、この部屋には泥棒が喜ぶようなものなんてロクに無いじゃないですか。」
「貞操を狙われるかもしれない」
「それこそ大丈夫ですよ。だって・・・」
朱美はテーブルの上を指差した。
ステーキ皿の上に、こんもりと。
おまんこが盛られていた。
「より取り見取り。」
朱美は小首をかしげて笑った。
私は小さくため息をつくと、コートを脱いでハンガーにかけた。
この娘には勝てない、時々そう思う。のらりくらりと柳に風なのだ。
私はにこにこ笑っている朱美にコーヒーを淹れるよう頼むと、テーブルの椅子に腰掛けた。
位置がまずかった。目の前に山盛りのおまんこがある。
私は皿を左手で押しのけると、朱美の後姿に尋ねた。
「なあ、これは何なんだろうか。」
「おまんこですよ。」
朱美は快活に答えた。
それは・・・わかっている。
朱美の淹れるコーヒーは美味い。ただのインスタントがえも言われぬ酸味と深みを持っている。
「コツがあるんですよ。」
朱美はそう言うが、そのコツとやらは秘密なのだそうだ。およそ大した秘密でもあるまいが。
「なあ、何でおまんこが空から降って来るんだ?しかも大量に。」
私は朱美の持ってきたスコーンをコーヒーで流しながら、尋ねてみた。
「さあ?でもほら、魚とかカエルとかが空から沢山降ってくることはあるんでしょう?」
朱美は左手で頬杖をつきながら答えた。右手はおまんこの山をもてあそんでいる。
「それは私も知っているよ。しかしこれはおまんこだ。人体の一部だ。
自然界に単独で存在するものではないじゃないか。」
私は朱美の右手の先を横目に見ながら答えた。妙にエロティックな光景だとは思う。
私は一つの疑問を持った。
「・・・そもそもこれは本当におまんこなのだろうか・・・。」
「どう見てもおまんこじゃないですか。少なくともアワビではないと思うよ。」
朱美は抜け抜けと言い放った。
「アワビじゃないことくらいは私にもわかるさ。しかし、これはいい線かもしれない。
そもそも『自然界におまんこと瓜二つなものは存在しない』なんて決め事はない!」
私は、真実に近づいた喜びに、奮えた。
「つまりどういうこと?」
朱美は怪訝な顔をして尋ねてきた。すでに一つのおまんこを両手でいじり回している。
「これは、おまんこに非常に良く似た見た目をもつ、生物なんだ。おそらく日本には生息していない。
それが突風か何かで巻き上げられ、日本上空まで飛ばされて、そして落ちた。これならば何も不思議はないだろう?」
朱美はおまんこを投げたりもみくちゃにしたりしながら私の話を聞いていたが、呆れたような目つきで
「違うと思う。」
と言い放った。
「何故だ?何故そう言い切れるんだ?」
私は両手で机を叩いて詰問した。冷めかけたコーヒーと山盛りのおまんこが揺れた。
いつに無く私は興奮している。教え子に鼻っ柱をへし折られたことが、ショックだったのかもしれない。
朱美は驚きと不満の入り混じったような表情をして返答した。
「だって・・・上手く言えないけど・・・同じなんだもん。」
「何がだ!?」
「あたしの知ってるおまんこたちと完璧に同じなんだもん。
色も、形も、、弾力も、柔らかさも、細かい部分も、においも、味も・・・」
私は、急に力が抜けてしまった。
「あー!今あたしのこと馬鹿にしたでしょう!」
朱美は私が力無く椅子にへたり込んだのを見て、そう言った。
何だかひどく面倒臭くなった。もう一杯コーヒーを淹れてくれないだろうか。
「いや、馬鹿にしたわけではないがね・・・しかし・・・」
私は取り敢えずの返答でお茶を濁した。
「言って置きますけどね、あたしはおまんこに関してはプロです!!だってもう20年近くも一緒にいるんだから!!
20年近くですよ!?肌身離さずおまんこと一緒にいるの!!そのあたしが同じだって言ってるんです!!だからこれはおまんこ!!」
凄い剣幕だ。朱美にこんなところがあるとは露知らなかった。
「いや、しかしだな、知ってるおまんこと同じだからって・・・」
「五月蝿い!おまんこもろくすっぽ知らないくせにおまんこを語るなっ!!」
朱美は机を強く叩いた。その拍子に―――
ステーキ皿は、落ちた。大量のおまんこをその背に乗せて・・・。
数分後、私たち二人は床に散乱したステーキ皿の破片を拾い集めていた。
「ぐすっ、うええっ、ごめんなさあい・・・」
朱美は号泣しながらも破片を集めている。
私が一人で片付ける、そう言ったのだが、朱美は頑としてそれを拒否した。責任感の強い女だ。
しかし、号泣しながらの作業の為よく見えないのか、指先は破片で切って血まみれである。
「ごめんなさあい・・・ごめんなさあい・・・うええっ・・・」
朱美はまだ泣き止まない。少し感心してしまった。
私は子供に説教をし終えた母親のような気持ちになって、朱美に語りかけた。
「いいよ、僕も悪かった。怒ってないからもう泣き止んでくれ。」
「でも・・・でも・・・高かったあ・・・買ったばっかりだったあ・・・」
どうやらステーキ皿が割れたことがショックで泣いているらしかった。
見覚えの無い皿だと思ったが、朱美が今日、買って持ってきたものだったのか。
「ステーキ・・・食べたくて・・・買って・・・買ったああ・・・」
私は思わず苦笑してしまった。そして、恐ろしいことに気づいた。
朱美は何をステーキにするつもりだったのだろう?まさか・・・。
「ぐにゅぶっ」
靴下の裏に、嫌な感触を味わって・・・私は再び苦笑した。
私たちは取り敢えず、外に夕食をとりに出ることにした。
キッチンにはまだ破片やおまんこが残っていて、とても料理を出来る雰囲気ではなかったのだ。
朱美はなかなか泣き止まなかったが、私が
「おまんこを踏んで歩くと面白い、だから外に行こう」
と勧めると、見る見る笑顔を取り戻し、平常以上の快活さを見せた。
ああ、私はこの娘を心底愛しているのだなあ・・・そう、思った。
落ち着きを取り戻したようなので聞けば、おまんこをステーキにするつもりなど毛頭無かったようである。
先日、私の家に来たときに、お歳暮でもらったハムを発見したので、それをステーキにしたかったらしい。
私はコートを羽織ると靴を履いた。
玄関のドアノブに手を掛けて―――
ぞくり。
嫌な予感がした。
「どうしたの?早く踏もうよ、おまんこ!」
朱美に肩を叩かれ、私はびくりとした。
どうやらドアノブに手を掛けたまま、しばし自失していたらしい。常の私には無いことだ。
ええい、ままよ!矢でもおまんこでも持って来い!
右手に力を入れ、ドアノブを回し、ドアを押した。
―――開かない。ドアが開かない。
何故だ?ドアがまったく動かないのだ。強い力で押さえつけられているかのように・・・。
覗き穴から外を覗く。しかし、ドアを押さえているような人影は無い。
私は振り向くと、朱美に
「ドアが開かないんだ。いくら押してもびくともしない」
と声を掛けた。
「えー?・・・まさか!!」
朱美が、大きな声を上げた。
「」
朱美は窓に駆け寄ると、カーテンを押しのけ、窓を開けた。
「ああっ!やっぱり!見て!これ見て!」
朱美に手招きされて、私は靴を脱ぎ窓へと駆け寄った。
「おまんこ!?」
そこには、大量のおまんこが、厚く厚く層を成して、まるで雪のように・・・積もっていた。
私たちが部屋にいる間に、おまんこの降る量はいや増しに増したのだ。
目分量でも軽く1m以上は積もっていると見てよい。
私は理解した。ドアの開かぬ理由。
「積もったおまんこの重みでドアが動かなかったのか・・・」
「じゃあ、こっちから出ようか。」
朱美の言葉が理解できなかった。
しかし朱美が玄関から私と朱美の靴を持ってくるに至り、窓から飛び降りよう、という意味だと気づいた。
「外に出る気か?こんな状況で?」
朱美はけらけらと笑いながら言った。
「大丈夫。おまんこは柔らかいから、いいクッションになるよきっと。たかが二階だし。」
「そういう事じゃなくてな、この状況で外出するのは危険じゃないのか、と言っているんだ。」
「でも、このまま部屋の中にいたってしょうがないよ。下手するとおまんこにとじこめられて、
何日も出られなくなるかもよ?外のほうがまだ安全だと思うけど。」
私は、朱美の言葉に妙な説得力を感じた。と同時に、この状況が何とはなしに面白くなっても来た。
結局、私たちは二階の窓から幾千幾万のおまんこ目掛けて、跳んだ。
朱美の言う通り、おまんこは大層柔らかく、まるで痛みも何も感じなかった。
ただ、着地の際に私は些かバランスを崩して倒れてしまい、コートを妙な汁で濡らしたのには閉口した。
取り敢えず私たちは馴染みの鉄板焼き屋へと向かうことにした。
先程とは違い、今は層を成したおまんこの上を歩いている。
感触は比べ物にならぬほどに柔軟で、遊園地にある巨大な風船人形のアトラクションに近かった。
朱美はまるで子供のように、はしゃぎながらおまんこの上を駆け回る。
私は、腕を組んで朱美の後をゆっくりと進んだ。
おまんこは、絶えず降り続く。優しく、柔らかに、私たちの上に降り注ぐ。
しばらくはしゃいだ後、朱美は私の元に駆け戻ってきた。
少し息が上がっている。冬だというのに汗をかき、頬は街路灯の光を浴びて林檎のように赤く輝いている。
「楽しいね!面白いね!おまんこは面白い!」
私は、子供のような朱美の言葉に、年甲斐もなくどきりとした。
「ああ、楽しいな。おまんこは面白い。お前も同じくらい面白いけどな。」
二人で、馬鹿みたいに笑った。
と、朱美が微笑みながら、その大きな瞳で私を見つめてこう言った。
「ね、先生。今年の冬は暖かいね。」
「そうだな、確かに暖かい。この辺は初雪もまだなんじゃないか?
まさか雪の代わりにおまんこが降るなんて思いもしなかったけどな。」
私は苦笑した。
と、朱美の顔が、いつになく真剣なものに変わっているのに気がついた。
夜の闇と、街路灯の明かりの中で、朱美の顔は透けるように白く、美しく見えた。
しばしの沈黙。そしてそれをゆっくりと破る、朱美の落ち着いた声。
「先生・・・私ね、わかっちゃったんだ・・・」
「今日が何月何日か、覚えてる?」
「え?今日は・・・12月・・・24・・・!!クリスマス・イブか!!」
「もー、やっぱり忘れてた!!」
朱美はそう言って頬を膨らませると、いつもの笑顔に戻り、クスクスと笑った。
私は頭を掻き掻き言い訳をする。
「すまない、ここのところ本当に忙しかったから・・・プレゼントも何も・・・」
朱美は、そんな私を見て、うっとりと笑って言った。
「いいよ。知ってる。それに、プレゼントはもう貰ったから、神様に!」
朱美はそう言って、足元のおまんこをたくさん抱えて、天に向かってばさりと放り投げた。
濡れたおまんこが、きらきら光っている。まるで雪のように、きらきらと輝いている。
「きっとね、このおまんこは神様からのプレゼントなんだよ。
雪を降らせられなかったお詫びにって、神様が降らせてくれたんだよ!」
朱美はそう言って私に微笑みかけた。
私も、それでいいと思った。これがおまんこかどうかなんて、もうどうでもいい。
朱美が私のそばにいて、笑ってくれる。おまんこと一緒に、笑ってくれる。
だから、私はそれでいい。
私たちは手をつないで、食事へと向かう。
お互いの体温と、足元のおまんこを感じながら。
全ての恋人たちに、あたたかなおまんこが降りますように―――メリークリスマス
~fin~
( ;∀;) イイハナシダナー
~後日談~
あのクリスマス・イブの翌日には、街を埋め尽くしていたおまんこは、跡形もなく姿を消した。
科学者たちがおまんこの正体を探ったが、結局何もわからず仕舞いだったそうだ。
朱美の言うとおり、本当に神様からのプレゼントだったのかもしれない。
私と朱美は一緒に新しい年を迎えた。
近々、朱美の実家に挨拶に行くつもりでいる。
昨日で冬休みは終わり、また今日から大学勤めが始まる。
身支度を整え、コートを羽織る。
と、
胸ポケットに何か違和感を感じた。何かが入っているようだ。
手を突っ込み、それを取り出す。
「プシッ」
潮が、私の顔をしとどに濡らした。
>>1乙
ワロタwwwwwwwww
>>1は牛丼焦がした人?
秀逸なオチwwww
乙!
素晴らしいエンドだな
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