ラヴィプ- LOVE VIP-

男「………」

男「やっぱりみんな俺を見ている…」

男「なんだよ…」

男「不細工は犯罪者かよ…」

男「………」

男「今日はまともに買い物ができるかなぁ」

男「………」

男「………」ぐぅ～

ドン

男「あ、ごめんなさい…」

女「あ、こちらこｓ…うわっ！」

彼氏「おいお前！なに人の女に触ってんだよブサイクが！」

男「す、すいません…」

彼氏「すいませんじゃねーよブサイクが！しね！」

ドカ

男「う…痛…ご、ごめんなさい…」

女「キャハハハ！このブサイク、泣きそうだよぉ？」

彼氏「へっ！キメーんだよ！」

女「ホントきも～い！ブサイクは家から出てくんなよ！」


ドカ


男「す、すいません…」

女「うわぁ、マジキメーよコイツ！」

彼氏「見てみろよ？パッチリ二重だぜ？ゲラゲラ」

女「ほんとだぁ！鼻筋も整っててホントきも～い！」

男「……うぅ」

女「それに比べて彼氏君は団子鼻で一重でカッコイイよ！」

彼氏「やめろって人前で！テレるじゃねーか！」

女「へへー！」

男「………」

彼氏「なんだよ…オメーまだいたのかよ！さっさと消えろよブサイク！」

男「す、すいません…」

女「キャハハハ！ブサイクは二度と家から出てくんなよぉ！」

彼氏「ギャハハハハ！」

男「………」

トボトボ

男「…酷い目にあった」

男「やっぱ俺みたいなブサイクは家から出ちゃいけなかったんだ…」

男「おとなしく家で餓死すれば良かったんだ…」

男「………」

男「彼女かぁ……」

男「俺がうらやましがるのもおこがましいか…」

男「……」

男「彼女かぁ…」

男「………」ぐぅ～

男「……もぅいいや」

男「……帰ろう」

男「どうせ俺が死んだって誰も悲しまないもんな…」

男「帰ろう…」

男「帰って寝よう…」

男「そしてひっそりと死んでいこう…」

男「…」

男「だー！やってられるかぁ！」

通行人１「うわぁ、フサイクがほえたよ！」

通行人２「きも～い！」

通行人３「危ないから目合わせちゃダメ！」


男「…」

男「う…」

ダッ


通行人１「うわっ！急に走り出した！」

通行人２「キモッ！」

通行人３「ホント不細工の行動は予測不能ね！」

バタン

男「ハァハァ…」

男「もう外出はしないでおこう…」

男「うん…そうしよう」

男「ははっ」

男「…うぅ」

男「俺は何のために生きているんだろう…」

男「…」

男「…テレビでも見よう」

ピッ

男「…」

男「う…イケメンだ…チャンネル変えよう…」


ピッ


男「…」


ピッ


男「…イケメンばっかじゃねーか」

ピッ

男「ニュースか…」

男「…」

男「う…また不細工税上がるのか…」

男「仕事もないってのにどうやって払っていけばいいんだか…」

男「…はぁ」

男「せめてもう少しマトモな顔に生んでくれよかーちゃん…」

男「…」

男「…ごめん、かーちゃんのせいじゃないよな…」

男「だいたい両親はイケメンなのに何で俺はブサイクなんだよ！」

男「あー！もう！イライラしてきた！」

男「…」

ピッピッピ

トゥルルルル

ガチャ

母「はいもしもし」

男「かーちゃん！なんで俺はブサイクなんだよ！」

母「え？」

男「だいたい、かーちゃん今どこだよ！」

母「どこって、ハワイよ？」

男「テメー！何遊んでんだよ！」

母「いいじゃない別に！国から補助金も出てるんだし！」

男「じゃあ俺にもくれよ！」

母「いやよ！それじゃあ私達が遊べないじゃない！」

男「それはもともと俺がブサイクだからもらえる補助金だろ！」

母「でもアンタがブサイクじゃなければよかったのよ？」

男「チクショー！」ガチャ

男「ブサイクがいる家族には補助金か…」

男「だったら俺にもわけてくれよ…」

男「…」

男「…はぁ」

男「…寝よう」

男「うん…そうしよう」

男「…」

チュンチュン

男「…」

男「ふぁ…」

男「…朝か」

男「…」

男「一応は生きてるな俺…」

男「…」


ピンポーン


男「…ん？めずらしいな…」

男「今あけまーす」


ガチャ


女「おはようございます！私、このアパートに引っ越してきｋ…」

男「（う…またこの反応か…）」

男「（しかたないさ…）」

女「あなたぶさいくですね？それも相当な」

男「…」

男「は、はぁ…」

女「いいえ！みなまで言わないでください！見ればわかりますから！」

男「（なんて失礼な人だ…）」

女「それより大変なことになってしまいましたね」

男「…なにがです？」

女「ほら、アナタブサイクじゃないですか！」

男「…はぁ」

女「やっばいくらいブサイクじゃないですか！」

男「…」

男「…すいません、帰ってもらえますか？」

女「あ…すいませんブサイクさん…」

女「私、何かブサイクさんの気に障るようなことを…」

男「…さようなら」


バタン


男「…なんなんだよ」

男「…」


ピンポーン

ガチャ

女「す、すいませんブサイクさん！私、先日このアパートに引っ越してきて…」

女「わ、私、ブサイクが隣人でも一応は近所付き合いはしますから！」

女「だからブサイクさんもｙ」


バタン


男「ふぅ…」


ピンポーンピンポーンピンポーン

ガチャ

女「すすすすみません！私…何かブサイクさんを怒らせてしまったようで…」

男「…申し訳ないと思う気持ちがあるなら帰ってください」

女「い、いえ！これでも私もこのアパートの住人ですから！例え隣人がブサイクでも近所付き合いしますから！」

女「たとえブサイクでも！」

女「ブサイクであっても！」

男「…」

男「…」

女「ところでブサイクさん？」

男「…はい？」

女「ブサイクさんは逃げないんですね！」

男「…は？」

女「私、尊敬しちゃいます！ブサイクですけど！」

男「逃げるって？」

女「もうこのあたりのブサイク達はみんな逃げ出してますよ？」

男「は？」

女「は？って…」

女「ブサイクさん…もしかしてテレビ見てないんですか？」

男「テレビ？」

女「今すぐテレビをつけてください！」

男「え？」

女「おじゃまします！」

男「ちょっ！」

女「かっー！きったない部屋ですね！」

男「ちょ、ちょっと！」

ピッ

女「…」

男「…」


ー政府はL５以上のー

　　　ーブサイクはー


　　　　　　　　　　ー駆除する方針でー
　　　　　　　
　　　　　　　ーこの法案はー

ー可決されー


男「な…んだよ…コレ…」

女「知らなかったんですか？」

女「ブサイクさんも早く逃げたほうがいいですよ！」


男「こんなのって…」

女「ぶさいくさんってば！」

男「とうとうこの国は…ここまで…」

女「ブサイクさんってば！」

男「狂ってしまった…」

女「え？」

男「この国はとうとうここまで来た…」

女「…そう、この国は狂ってしまいました」

女「この国はもう修復不可能…」

女「いえ、この国だけじゃありません」

女「もはや世界規模…」

女「ブサイクへの差別は世界規模まできている」

男「…」

女「…」

男「…やっぱブサイクはおとなしく死んでればよかった」

女「ブサイクさん…」

女「…」


グイッ


男「痛！何すんだよ！」

女「さ！逃げますよ！」

男「え？」

女「だーかーらー！逃げるんです！」

女「もう政府の人間はそこまで来ているはずです！」


グイグイ


男「いたたた…は、はなしてよ！痛いよ！」

ピーンポーン


男「！！！」

女「…まずいですね」

男「ま、マジできやがった…」

女「裏口から逃げますよ！ブサイクさん！」

男「は、はひ！？」

女「いいですか？テンパってると殺されてしまいますよ！」

男「は、はいぃぃ！」

ーーー
ーー
ー

男「…ハァハァハァ」

女「ここまでくれば大丈夫ですね」

男「ハァハァ…ちょ…もうはしれましぇん…」

女「…ではここら辺で休憩しましょうか？」

男「は…ハァハァ…ぜ、ぜひお願いします…」

女「それにしても…」

女「ブサイクさん…体力なさすぎです」

男「し、しかたないだろ！ろくにメシも食ってないんだ！」

男「…」ぐぅ

女「はぁ…」

女「しかたないですね…」

女「では私のぶんをわけてあげます」

ガサッ

男「さ…サンドイッチ…」ゴクリ

女「…」

男「…」ムシャムシャ

女「…」

男「…」パクパク

女「…あの、よかったらソレ全部食べていいですよ？」

男「…」ムシャムシャ

男「…」パクパク

男「…」ムシャムシャ

男「……ふぅ」

男「…ごめん、キミのぶんまでもらっちゃって…」

女「んふふっ、いいんですよ！」

男「はぁ～お腹いっぱいだよ！」ゲフッ

女「ふふっ」ニコニコ

男「…」

女「さて、これで走れますよね！」

男「ちょ、まって…お腹が苦しくて無理」

女「…」

女「で、では少し食休みしましょうか？」

男「ああ」ゲフッ

女「…」ニコニコ

男「何見てんだ？」

女「え？べ、べつに…」

男「そんなにブサイクがめずらしいか？」

女「い、いえ…」

男「ここまでブサイクな男もめずらしいよな？」

男「珍獣でも見る気分なんだろ？」

女「そ、そんなつもりじゃ…」

男「いいんだ。なれてるから…」

女「ブサイクさん…」

男「はぁ～。なんでブサイクになんか生まれたんだろうなぁ」

女「…」

男「俺ももう少し崩れた顔してればなぁ～」

女「そ、そうですね！ブサイクさんは顔が整いすぎててとてもかっこい…」

女「とってもブサイクです！」

男「ははっ…はっきり言うなよ…」

追っ手「いたぞー！L5だ！」


男「！！！！」

女「しまった！見つかっちゃいました！」

男「に、逃げよう！」

女「は、はい！」


追っ手「捕まえろ！人質もいるぞ！」

追っ手２「むぅ！人質とは卑怯だなブサイク！」

ーーー
ーー
ー


男「ハァハァハァ…」

女「くぅ！ブサイクさん走ってください！」

男「も…もう無理…」

女「だらしないですよブサイクさん！」

男「ハァハァ…もういい」

女「え？」

男「もう…いいんだ…」

男「もう…どうでもいい…」

男「そもそもどこへ逃げる？」

男「逃げ場なんてありはしないよ…」

男「俺はここで死ぬべきなんだ…」


追っ手「ハァハァ…追い詰めたぞブサイク！」

追っ手２「ぜぇぜぇ…手間とらせやがって…」

男「俺もここまでか…」

女「…しない」

追っ手「お嬢さん！はやくこっちに！」

女「…はしない」

追っ手「さあ！」

女「この子は死なせないよ！」


ぬっ


男「！！！！」ぎょっ

ドン


男「ええ！？」

女「…」

追っ手「ぐ…あ…」

男「ぴ、ぴすとる！？」

追っ手２「き、キサマー！！！」

男「え？え？」

女「さ、今のうちに！」

ーーー
ーー
ー

男「ハァハァハァ…」

女「まいたみたいですね！」

男「ハァハァハァ…」

女「とりあえずここにしばらくかくれましょう！」

男「ハァハァ…ちょっ…」

女「はい？」

男「な…なんでピストルなんか持ってるの…？」

女「…」

男「ねぇ！」

女「えへへっ、護身用です！」

男「いくらこの国が狂っているとはいえピストルまでは許可されてないよ！」

女「女の子には秘密があるものなのですよ」ニコニコ

男「…そっか」

男「なにやら納得がいかないんだけども…」

女「秘密です」ニコニコ

男「き、キミはいったい…」

女「私はただの隣人です」ニコニコ

男「…」

女「…あ、そろそろ時間ですね」

男「な、なにが？」

女「…」

女「言ったでしょう？この世界は壊れてしまったんです」

男「え？」

女「文字通り壊れてしまったんですよ…」

女「おかしいじゃないですか、ブサイクが駆除されるなんて」

男「…そ、そうだけど…それが差別ってものだろ？」

女「確かに、差別は人間誰しもの心に潜んでいます」

女「でも、これはそういったたぐいのものではないんです」

男「どういうこと？」

女「この世界には構造上の欠陥がある」

男「よ、よくわからないよ…」

女「っと、時間です」

男「だ、だから何の！」

ビョォォォォォ


男「わっ！なんだこの風！」

女「ふふっ…」

男「う…うわぁぁぁぁぁぁ！！！！」

女「一命様ご案内でぇす！」

男「ぎいやぁぁぁぁぁぁ！！」

ーーー
ーー
ー

ペチペチ

男「…」

ペチペチ

男「…ん」

ゆっさゆっさ

男「…んん」

警官「よかった…生きてる…」

男「うわっ！」

警官「な、なんだね！？」

男「ひ…ひぃぃぃ！」

警官「どうしたんだキミ！」

男「こ、殺さないで！」

警官「…はぁ？大丈夫かね？」

男「ひぃぃぃ！！！」

警官「まいったねこりゃ…」

男「ヒィィィ…」ガタガタ

警官「…とりあえずすぐそこに交番があるから、そこに行こうか」

男「こ、殺さないで！」

警官「うむ、だいぶ錯乱しているな…」

警官「大丈夫だから、さぁ！行こう！」

男「……」ガタガタガタ

ーーー
ーー
ー

警官「まぁお茶でも飲みなさい」

男「さ、最後の晩餐ですか！？」

警官「何をわけのわからないことを…」

男「もしかしてこ、これに毒が…」

警官「がっはっは！キミも失礼だな！」

男「ひぃ！」

警官「おっと失礼、驚かせてしまったかな」

男「こ、このあと…俺をどこに連れて行くつもりですか」

警官「う～む、死刑台だよ……なぁ～んちゃって…」

男「や、やっぱりぃぃぃ！！！ひぃぃぃ！」

警官「冗談は通じない…っと」カキカキ

男「ブサイクでごめんなさいブサイクでごめんなさいぃぃぃ！！」

警官「重度の被害妄想…っと」カキカキ

男「童貞のまま死ぬのはいやだぁぁぁ！」

警官「バカ…っと」カキカキ

警官「とりあえずキミ、ご家族の方は？」

男「か…海外へ…」ガタガタ

警官「ふむ…こまったね。連絡先とかわかるかな？」

男「わ、わわわわかりません！」

警官「う～む」

男「ひっ！」

警官「そう怯えない怯えない」

女「あ！いたいた！」

男「あ…」

警官「おや、ご家族の方ですか？」

女「そうです！妹です！」

警官「お姉さんでしたか！」


バキ


警官「ゲフ…これは失敬…」

女「というわけで私が責任をもってつれて帰りますので！」

警官「は、はい…よろしくお願いします…」

女「さ、帰ろっ！」ニコッ

男「う、うん…」


グイ


男「イタタ…」

ーーー
ーー
ー

男「…」

女「…」ニコニコ

男「…」

女「…」ニコニコ

男「…あの」

男「こんな堂々と歩いていて平気なのかな…」

男「そ、それと、そろそろその手…はなしてくれないかな」

女「大丈夫大丈夫！問題ない！」

男「で、でも…」

女「んふふ～」ニコニコ

男「…」

男「…で、どこへ向かってるの？」

女「どこって、家だけど？」

男「お、俺の？」

女「そうよ？」

男「ま、まずいよ！まだ追っ手がいるかもｓ」

女「大丈夫だってば！」

ーーー
ーー
ー

女「あ、キミは適当にくつろいでて？」

女「って言ってもキミの家だけど」クスッ

男「…」

男「あのー…」

女「ん？」ニコニコ

男「なんでキミが僕の家で料理を作っているのかな？」

女「え！？もしかしてお腹すいてない！？」

男「いや、まあすいてるけど…」

女「ならいいじゃないですか！なにか問題でも？」

男「あ、いや…うん…」

女「ふんふん～♪」ニコニコ

男「…」

男「あのー…」

女「んー？」

男「こんなことしてて大丈夫なのかな？」

男「一応俺は命を狙われてるんだけど…」

女「命？何言ってるんですか」クスクス

女「なんでアナタが命を狙われるんです？」

男「だって…俺…ブサイクだし…」

女「えへへっ」ニコニコ

男「なんだよ？」

女「アナタがブサイクだったらこの世界にイケメンは存在しなくなってしまいますよ」ニコニコ

男「はぁ？」

女「なんでもないですっ！ブサイクさんっ！」ニコニコ

男「はぁ…」

男「それにキミは俺のためになんで色々してくれるのかな？」

女「意味なんてありませんよ」ニコッ

女「あえて言うなら、私は隣人だからです」ニコニコ

男「隣人ねぇ…」

女「そういうことです！」

男「…はぁ」

女「ささ、出来ましたよ！」

男「あ、ありがとう…」

女「んふふ～」ニコニコ

ーーー
ーー
ー

男「…」ゲフッ

男「…」

女「ささ、いっぱい食べてくださいね！」

男「…」ゲフッ

女「さあさあ！」

男「…あ、ありがとう…」

女「…食欲…無いですか？」

男「…い、いや」ゲフッ

女「…まずかったですか？」

男「…」フルフル

女「よかった！もっと食べていいんですよ！」

男「…うぅ」

女「さあ！」

男「…」

女「さあ！」

男「…」

女「さあ！」

男「…」


ガツガツバクバク

女「さあ！お腹もいっぱいになったところで、出かけましょう！」

男「…」

女「さあ！」

男「…」

女「…うぅ、私とじゃ…嫌ですよね…」

男「…」

男「も、もう少し休ませてください…」

男「そ、それに外出はまずいよ」ゲフッ

女「大丈夫！さっきも大丈夫だったでしょ？」

男「そ、それはたまたま…」

女「んも～！じれったいですね！」

男「そんなこと言ったって…」

女「かーっ！行きますよ！」ガシッ

男「ちょ、ちょっと！」

ーーー
ーー
ー

男「…あのー」

女「はい？」ニコニコ

男「くっつきすぎでは？」

女「へへっ」ニコニコ

男「そ、それにみんな見てるし…」

女「へへ～」ニコニコ

男「離れたほうがいいよ…」

女「なんで？」

男「ほら、俺ブサイクだし…」

男「こんなブサイクと歩いていたらキミまで酷い目にあうよ？」

女「あ、お腹すきません？」

男「…だからさ」

女「あの店でお昼にしましょ！」

男「…一緒にいないほうが」

女「行きますよ！」グイッ

男「いたた」

店員「いらっしゃいませ～！」

男「…」

女「私、じゃあこのセットで！」

店員「かしこまりました」

女「アナタは？」

男「…もう食べれません」

女「ん？」ニコニコ

男「じゃあ同じヤツで…」

店員「は、はははははい！かしこまりました！」

男「…」

男「」

男「あの店員の態度…」

女「そりゃあねぇ…」ニヤニヤ

男「クソッ…」

女「…」ニコニコ

男「なんだよ？」

女「なんでもないですよっ！ブサイクさんっ！」ニコニコ

男「はぁ…」

男「というかさ…」

男「俺がブサイクなのはじゅうぶん自覚してるからさ」

男「その、ブサイクさんってのやめてくれないかな？」

女「あ…ごめんなさい…ブサイクさん」

女「私またブサイクさんのこと…」

男「あ、うん。それやめてね」

女「わかりました…、私もうブサイクさんのことブサイクさんって呼びません…」

女「ごめんなさいブサイクさん…」

男「はぁ…」

男「そ、そんなこと言ったら…」

男「き、キミだってじゅうぶんブサイクだから！」

女「…」

男「あ…ご、ごめん」

女「…」クスッ

女「…ありがとうございますっ」ニコニコ

男「なんで嬉しそうなんだよ…」

女「へへっ」ニコニコ

男「（思えば俺の人生でこんなに女の子と話したのは初めてだな…）」

男「（なんでだろう…なぜだかずっと昔から一緒にいたような…）」

男「（この子と過ごした時間があまりに濃かったせいかな…）」

男「（いや、なにか…）」

男「（もっと別の…）」


女「ねぇってば！」

男「へ？」

女「どうしたの？ぼーっとして」

男「い、いや…」

女「まったくも～」

男「ははっ」

女「ソレ飲まないならもらいますよ？」

男「え？」

女「…」ズズー

男「…」

女「…っぷは」

男「…」

女「…」

女「…間接キス」

男「！！！」

女「…」

女「これはとんだシャイボーイですね…」

男「ばっ！だって！しかたないじゃないか！」

女「…」クスクス

男「…はぁ」ドキドキ

男「…」ドキドキ

男「…」ドキドキ

男「……」ドキドキ

男「……なんだこれ」ドキドキ

女「え？どうしたんですか？」

男「い、いや…なんか胸が苦しいというか…」ドキドキ

男「…なんなんだこれ」ドキドキ

女「ふふっ」ニコニコ

男「う…」ドキンッ

男「…」ドキドキ

女「あのー…」

男「え？」ドキドキ

女「アナタって今まで彼女は…」

男「そ、そそそそそんなのい、いるわけっ！」ドキドキ

女「へーぇ」ニヤニヤ

男「な、なんだよ！」

女「んふふ～」ニコニコ

男「…」

女「さ、そろそろ帰りましょうか」ニコニコ

男「帰る…の？」

女「う、うん…」

男「そっかぁ～」

男「なんか寂しいな…」ボソッ

女「へっ？」

男「べ、べべべ別に何も言ってないよ！」ドキドキ

女「そそそそそうですよね！」ドキドキ

ーーー
ーー
ー

男「…」

男「…」

男「で、なんでついてくるの？」

女「だって、さっき帰るっていいましたから」

男「だからなんでついてくるの？」

女「え？私も帰りますから」

男「え？」

男「キミの家もこっちなの？」

女「いいえ？」

男「…え？」

女「え？」

男「ウチくるの？」

女「え？違うんですか？」

男「ほえ？」

男「ま、ままままずいよ！」

女「え？なんで？」

男「だって…」ドキドキ

女「…」ニコニコ

男「…」

女「嫌…ですか？」

男「べ、別に嫌じゃないけども…」

女「美味しい夕飯つくりますねっ！」

男「…はぁ」

ーーー
ーー
ー

チュンチュン


男「…」

女「ぐぅ…」

男「…」

女「スースー…」

男「なんだこれ」

男「結局一睡もできなかったわけだが」

女「…スヤスヤ」

男「…」

男「それにしても、この子、どこかで会ったような…」

男「いきなり拳銃とか持ってたしな…」

男「なんなんだろう…」

男「どこかで会ったと言うよりは…」

男「昔から一緒にいたような…」

男「う～む」

女「スヤスヤ」

女「んん～」ゴロッ

男「ややっ！」

女「んん～」ゴロン

男「やややっ！」

男「い、いかんぞ！見たら負けだ…」

男「…」

男「…これはつらい」