妹「そうなの?」
姉「そうなの!顔は良いんだけどね、顔は。やたらスケベだしさ」
妹「なにそれー。お姉ちゃん、のろけてるー」
姉「どこが!そうそう、こないだも会ったときにさ、食事だけだーって言ってたくせに、その後で、すぐにホテルに行こうなんて言い出したりしてさ」
妹「えぇえ!?…い…行っちゃったの?」
姉「…んっとねー。ごめんねって言って、帰っちゃった」
姉「えー?!どうしてー」
姉「だってさー、…その………私……あの日だったし。…その……しょうがないじゃん…ねえ?」
妹「…ねえ?って、お姉ちゃん…それ、………ストレートすぎ……」
姉「だってさー。こんなふうに会うようになってから、まだ3回よ?軽い女だーって見られたくないじゃん」
妹「軽いも何も、中学に入るちょっと前までおねしょの癖治らなかったくせに」ボソ
姉「ん?なんか言った?」
妹「いーえ。何も言ってません」
姉「こいつはー…」
妹「そう言えば、お姉ちゃんの彼氏さんてさ、年上なんでしょ?お仕事は何してる人だっけ?」
姉「お役所勤めだって」
妹「へえ公務員さん?」
姉「そうみたい。でもさー、私、あんまみんなみたいに詳しく聞きたくないのよねー。その、ガッついてるみたいでさ」
妹「お姉ちゃんさー、それ基本だよ?馬鹿なの?普通、相手の仕事のこととか知っとかなきゃ。うん」
姉「…まさか中学生に説教されるとは」
妹「べーだ、今年から高校生だもんねー」
姉「はいはい、…あんたの高校生発言で思い出したわ。あんたも明日、この部屋を留守にするんだっけ?」
妹「うん!なんとなんと!2白3日の卒業旅行なのです!」
姉「いいなあ旅行。で、どこだっけ?」
妹「N県の白馬村」
姉「ほほー。んー、青春ですなー。いいよねー受験終わったやつらはヒマで」
妹「お姉ちゃん、やっぱりおばさん臭い」
姉「ほっといて下さい…んで、女の子ばっかだっけ?確か友ちゃんのお姉さんが引率するとか言ってたよね?」
妹「う…うん」
姉「まぁ、友ちゃんのお姉さんてさ、私の高校時代の陸上部の後輩だから、よろしく言っといてね?…ふふ、あの子ってさ、最初は走るのすんごいトロくてさー」
妹「……」
姉「ん?どったの?」
妹「それがね、あの…、男の子たちも何人か一緒に行くことになったの」
姉「ほう!!ほうほうほうほう!」
妹「お…お姉ちゃん?!な…何?」
姉「ほうほうほう!んで、妹の憧れの人も一緒に来ると!?」
妹「な!なななななな!何言っxsあqすくぁwsでfrgthyじゅきぉ;pぇdfrgthyじゅきぉp;:@csdfghjkl;:!!!!!いおp!!!!!!!!」
姉「…何語?」
妹「ふ…ふん!」
姉「あ――――!?もしかしてあたりなの?!えー?ふーん、そうなんだー、妹って、好きな男の子いたんだー。はーん?」
妹「ち…違うよ――――――!もー――――!」
姉「あ―――――――――!赤くなってる!可愛い!妹、すんごい可愛い―――――――――――!!!!」
妹「違うも―――――――――――――ん!」
姉「はいはい、分かった分かった!妹の初恋の男の子のことは置いといて…、んで、旅行に男の子が混ざるって、お父さんとお母さんには言ったの?」
妹「は、初恋?!!だっ、だーかーらー!違うもん!!!男君はそんなんじゃないもん」
姉「へえ、男君っていうのか、メモメモと…」
妹「お…お姉ちゃん?あ…あの…ホントにメモるのやめて?」
姉「あ―――、ははは、ごめんごめん、えと、だから、お父さんとお母さんにはそういうの言ってあるの?」
妹「あの…、その…、だから…、い…言ってない…けど…。あの…、どうしよう?お姉ちゃん」
姉「……う~ん」
妹「…あのね、あたし、中学出たらね、…その、…この部屋からお父さんとお母さんの所に引っ越すでしょ?……あの…、もう時間ないんだもん」
姉「………」
妹「…もう男君と、会えなくなるんだもん」
姉「そっか…、あんたにとっちゃ、今しかないんだもんね?」
妹「……」
姉「ふふふ、お父さんとお母さんには秘密にしといてあげるから、頑張りなよ?」
妹「!!うん!ありがと、お姉ちゃん!」
姉「マセガキめ!…でも、あんまり危ないことしたら、だめだからね?」
妹「分かってるって!もう、お姉ちゃんじゃあるまいし」
姉「なんか言った?」
妹「ふんふん♪」
―― 翌日
姉「そんじゃ、お先!行ってきまーす」
妹「じゃーね、行ってらっしゃい、お姉ちゃん」
姉「あんたも気をつけなよ?出るときガスの元栓とか忘れずに切っといてね、スペアキーは持ってっていいから」
妹「わかったってばー。もうしつこいよう」
姉「はいはい、あーあ、旅行かぁ…。いいなあ…。私も行きたいなあ旅行、温泉もいいよね…」
ガチャン…
妹「ふう、やっと行ったかー。もー。お姉ちゃんしつこいー」
妹「……あ、そうだ」
妹「……忘れものないようにしなきゃね」
妹「……うんバッチリ、大丈夫」
妹「……時間も大丈夫!」
妹「……昨日からなんとなく不安だったけど」
妹「……」
妹「……でもそんなの関係ないもん」
妹「……ふふふ、みんなでスキー旅行」
妹「……男君も一緒」
妹「……」
妹「きゃー、やーん」フルフル
ガチャ
姉「あ、妹?お土産は私、おやきがいいから」
妹「……」
姉「あ…」
妹「!?は…早く行け―――――――――――――――!!!!!」
姉「わははははははは」
―― 集合場所 駅前
妹「あ、おはよー友ちゃん」
友「あー妹ちゃんおはよー」
友姉「おはよ妹ちゃん」
妹「友姉さんもおはようございます」
妹「ねえ友ちゃん、あと、何人来るんだっけ?」
友「私たちを入れて女の子は5人だから…んと」
妹「あたしと、友ちゃんと、友姉さんと、委員長ちゃんと、図書委員さん」
友「そうそう、男の子のほうは、んとね、男君と、男友君と、写真部君と、水泳部君の4人だから、計9人だね」
妹「なんだか、大所帯になっちゃったね」
友「はぁ、水泳部君が一緒だなんて…ふふ」
妹「ふふ…、友ちゃん!」ガシッ
友「ふふ…ふふふふ、妹ちゃん!」ガシッ
妹・友「ファイトー!おー!」
友姉「?」
委員長「あ、いたいたー」
図書委員「あの、お、おはようございます」
妹「あ、来た来た。おーい、みんなーこっちだよー」
友「えへへ、みんなおはよー」
男友「やぁ!今そこでみんなと一緒になってさ」
写真部「あ…あの…きょ…今日は呼んでくれて…僕感激です!その…その…友さん…僕…」
友「あ、お…おはよ…水泳部君」
水泳部「よ」
写真部「あ………………………」
友姉「…でもホント、大所帯になっちゃったねー」
妹「……」キョロキョロ…
男友「これで全員?」
委員長「えっと、そうなの?」
写真部「ひいふうみい…、8人ですか?」
妹「あ…あの」
友「どしたの?」
水泳部「何?妹ちゃん」
妹「そ、その…男君が、まだみたいだけど?」
男友「そう言えば、…あいつだけまだ来てねえみたいだな」
委員長「どうする?」
図書委員「あ、あの、電話してみます?」
男友「そうだな、男の携帯番号は?っと」ピッピッピ
男友「はい、発信っと、案外すぐ近くにいたりしてな」
委員長「どう?」
男友「……………うーん?」
水泳部「どうした?」
男友「んだよ、あいつ。携帯の電源切っちまってるみたいだな」
図書委員「あ、あの、その、まだ時間あるし、もうちょっと待ちませんか?」
妹「……」
―― 20分後
男友「…なあ、ちょっと遅くねえか?」
水泳部「うーん」
委員長「時間は大丈夫?」
友「どうしよっか?電車が来る時間まで、もうあんまり時間ないよ?」
友姉「指定切符だし…困ったわねえ」
妹「あの」
水泳部「どうしたの?妹ちゃん」
妹「あたしここで男君を待ってるから、みんな先に行って良いよ?」
男友「う~ん、どうする?」
水泳部「妹ちゃんが待ってるなら、俺も待ってるよ」
友「あ…あのう、だったら…私も…」
図書委員「私も…」
写真部「友さんが待つなら僕も!」
委員長「んもう、もうあんまり時間がないんだからね?先に行きましょうよ。悪いけど」
友姉「ん~、仕方ありませんねえ、そういうことなら…、じゃあ友ちゃん先に行きましょ?」
友「え?あ…あの…その…、あ…あたしも待とうかな…なんて」
図書委員「……あの、妹さんと友さんが待つんだったら、私も待ちますけど」
水泳部「俺と妹ちゃんだけで十分だよ。友ちゃんと図書委員さんは、皆と一緒に先に行きなよ。後から男連れて追い付くからさ」
写真部「あれ?ぼ…僕は?」
図書委員「で…、でも……」
友「………水泳部君がそう言うのなら……しゅん」
男友「行こ?図書委員さん」
図書委員「でも…あの…あ、委員長さん押さないで?押さないでください~」
写真部「あ、友さん、荷物僕が持ちますよ。こう見えて僕、力はありますから。はははは」
友「……」とぼとぼ
写真部「あー、友さん!?ま、待って下さいよー」
水泳部「はは、写真部のやつ、バレバレだなー」
妹「……」
水泳部「…ふう、男のヤツ遅せえな、ったく何やってんだよ?」
妹「……」
水泳部「……」
妹「……」
水泳部「なあ、今日は冷えるよな。俺、何か温かいもん買ってくるよ。妹ちゃんは何がいい?」
妹「……」
水泳部「妹ちゃん?」
妹「へ?あ…そ…その。水泳部君、ごめんなさい。あたしぼーっとしちゃってた?」
水泳部「……温かい飲み物買ってくるよ。冷えるだろ?リクエスト何かある?」
妹「え?あ…あの、それじゃあココアで」
水泳部「OK、ココアね」タタタッ
妹「男君…遅いな……」
―― 1時間後
水泳部「んがー、ダメだ、やっぱり電話通じねえ!いったいあいつ何してやがんだ?」
妹「……」
水泳部「もう行こうぜ?」
妹「あの…、水泳部君、ありがと。ごめんね。もう先行っていいよ?あたし待ってるから」
水泳部「……う~ん、もうとっくに電車出ちまってる時間だしなあ」
妹「……」
水泳部「それにしても今日は冷えるよなあ、息が白いよ」
妹「ねえ?水泳部君」
水泳部「な、何?妹ちゃん」
妹「男君の携帯の番号教えて?あたしかけてみる」
水泳部「え?知らなかったの?」
妹「うん……教えてもらってないの」
水泳部「……あの馬鹿。…ほれ、これ見ろよ」
妹「ありがと水泳部君」
水泳部「ふう、何やってんだろ?俺」
妹「えと…」ピッピッピッ
水泳部「どうせ、電源入ってないって」
妹「……………………………」
プルルルルルルルル……プルルルルルルルル……
…ガチャ
?『…はい、どなたですか?』
妹「へ?あれ?……繋がった?」
水泳部「え?」
?『もしもし、どちら様ですか?』
妹「あ…あ…あのう…男君?」
?『いえ、こちらは警察署です』
妹「…………………………は?あの?」
水泳部「…妹ちゃん?」
妹「え?あ?あれ?あたし間違えた?」
?『もしもし?こちらは警察署ですが、どちら様ですか?』
妹「あれ?あ…あの?こ…これって男君の携帯の番号じゃないんですか?」
水泳部「妹ちゃん?どうしたの?」
妹「あ、水泳部君…あの…これ……警察にかかってるみたい?…なんで?」
水泳部「……は?」
妹「これ、どういうこと?」
水泳部「妹ちゃん?電話番号確かめてみろって」
妹「うん、えと……………………。うん、確かに間違えてないと思う…けど……?あれ?」
?『申し訳ありませんが、現在、こちらの携帯の持ち主は、電話には出られない状態になっております』
妹「え……………、あ、あの?電話に出られないってどういうことですか?」
水泳部「どうした?オレオレ詐欺か?」
妹「?????????」
?『…この携帯電話は、今朝3丁目で起こった交通事故の被害者が持っていた携帯電話です。………もしもし?そちらはどなたですか?』
妹「…え?あ、あの…事故?」
?『…………………え?なに?……この携帯の持ち主が、ついさっき死んだ?おい、これ遺留品のリストだから鑑識に回しといて……………』
妹「……え?!!あ、あの?…も…もしもし?あの…今、死んだって?」
水泳部「は?死…んだ?」
妹「あ!あの!あ…あた、あたし!男君のクラスメートなんです!同じ学校の!あの!男君、どうなったんですか?!」
?『……………』
水泳部「なあ、妹ちゃん。俺にもわかるように説明してくれよ?」
妹「いいから!水泳部君は黙ってて!!!!!」
水泳部「!!!???…ご、ごめん」
妹「あの……?もしもし?」
?『あー、申し訳ありませんが、手短にお伝え致します』
妹「はい」
?『先ほど、この携帯電話の持ち主の死亡が確認されました』
妹「え?」
?『交通事故です。お亡くなりになりました』
妹「………………………」
?『もしもし?もしもーし?』
?『おいどうした?』
?『それが、うんともすんとも…』
?『もしもーし?』
?『………………………もしもーし?あのう、申し訳ありませんが、もう、切りますよ?』
プ…
ツーツーツー
水泳部「どうした?」
妹「……………」
水泳部「妹ちゃん?」
妹「はは、男君がね、死んだって…」
水泳部「は?」
妹「今かけた番号の携帯がね、今警察にあって、今朝の交通事故の被害者が持ってたんだって………なにこれ?」
水泳部「……………………マジで?」
妹「あたし!ちょっと警察に行ってくる!」ダッ
水泳部「お!おい!妹ちゃん!荷物!?」
水泳部「…なんだよこれ?嘘だろ?」
水泳部「あー、妹ちゃんのヤツ、荷物おいてっちまったよ、どうしようこれ」
―― 5分後
図書委員「はあはあはあ…」
友「あ、水泳部君、まだこっちにいたんだ!よかったー。てっきり行き違いになっちゃうかと思ったよ。…って、あれ?男君まだ来てないとか?」
水泳部「お前ら…」
図書委員「ご、ごめんなさい。その、心配だったから…、あの…、戻ってきちゃいました」
水泳部「電話くらいしろよ…って、ほかのヤツらは?」
友「んとね、お姉ちゃんと、委員長ちゃんと、男友君は、急行に乗って先に行っちゃったよ」
水泳部「そっか、………写真部は?」
友「あぁ、ごめん。忘れてた…。うん、写真部君もお姉ちゃんと一緒に行ったみたい」
水泳部「……写真部…」
友「で、妹ちゃんは?」
水泳部「それがな…俺にもよく分からないんだけど、今警察に行ってる」
図書委員「は?」
友「え?」
水泳部「男の携帯に繋がったんだよ、…今その携帯が警察にあるってさ」
友「え?…んと、男君、携帯落っことしちゃってたとか?」
水泳部「いや、それがな…男のやつ…、その…、死んだって」
図書委員「は?…死ん?」
友「え?ギャグ?」
水泳部「ばっ、馬鹿、ギャグじゃねえよ、男の携帯に警察の人が出て、男が交通事故で死んだって、そう言ってたらしい」
友「はあ!!!!!!?」
図書委員「あ……………………あのあのあの、そ、そそそそ、それ、ホホホホホントですか?」
友「らしいって?どういうこと?水泳部君」
水泳部「だから!俺にもわかんねえんだよ!妹ちゃんが男の携帯にかけたときに警察の人が出たっぽいんだ!俺も詳しくわからん!」
友「そ…、そんなに怒鳴らなくてもいいじゃん!!うう…ぐす…」
水泳部「わ…わりぃ」
図書委員「あ!あの!わ、私も警察に行ってみます!………………………」タタタタッ
友「あ!?図書委員さん、待って?」
水泳部「おい、俺たちも行ってみようぜ?」
友「う…うん」
水泳部「う、荷物重…」
―― 警察署 総合案内
妹「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、あ、ああああ、あの…あの…」
署員「はい、どういったご用件でしょう?」
妹「男君は?」
署員「は?」
妹「男君は今どこですか?」
署員「はい?」
妹「今さっき!この電話番号、に、かけたら、警察の人が出て、男君が死んだって!」
署員「は?」
妹「あの…、だから、この番号にかけたら、警察の人が男君が死んだって!!!」
署員「あの…落ち着いて?」
妹「ぐず…ひぐ…だから!この電話番号にかけたら…警察の人が出て…、ううう…、男君が死んだって言うんだもん!もう訳が分かんないよう!うええええええええええん」
署員「…番号を拝見しますね?…おい君」
署員2「はい」
署員「このリダイヤルの電話番号の照合してみてくれ」
署員2「ちょっと待ってもらえますか?」
妹「うえええええええん、意味分かんない、誰か教えてよ…ねえ、ぐす…ひっぐ…ええええええええええん」
署員「どうだね?」
署員2「ちょっとこちらへ」
妹「何よ、いったいなんなのよ?ぐす…。ありえないよこんなの…」
署員「…えっとですね、こちらの番号の携帯はこれになるんですが…」
妹「え?…あ…あの?それ?」
署員「番号はこちらで間違いないですね?」
妹「あの…なんで…その携帯…ビニール袋に入って…、そんなボロボロになってるんですか?」
署員「はい、この携帯は、今朝の交通事故で死亡した男子中学生が持っていた遺留品です」
妹「え………………………………」
署員「この持ち主は、先ほど総合病院のほうで息を引き取りました」
妹「息を引き取った?…なにそれ?」
署員「誠にどうも…、お悔やみ申し上げます」
妹「…………」
署員「あなたは男子中学生のご家族ですか?それともお知り合いですか?」
妹「……と…友達です」
署員「そうですか、総合病院はここを出て大通りを道沿いに左に行って最初の交差点を右に行った先にあります」
妹「……あ、ありがとうございました……」
―― 警察署 前
水泳部「あ、いた!おーい妹ちゃーん!」
妹「……」
友「どうだった?何か分かった?」
図書委員「あの…、それで男君は?」
妹「……男君、今、総合病院にいるって」
友「ええええええ?!びょ…病院って…」
図書委員「あの…あの…それって……」
水泳部「なあ、おい、行ってみようぜ」
ピロロロロロ…ピロロロロロ…
図書委員「え?何?あれ?…私の携帯?」
ピロロロロロ…ピロロロロロ…
図書委員「誰から…あ、お母さん?もう!なんでこんな時に…」
水泳部「図書委員さん、何やってんだよ?置いていくぞ?」
図書委員「あの…ご、ごめんなさい、あの、先に行ってて下さい」
友「急ぎましょ?」
妹「……」
図書委員「はい、もしもし、お母さん? 何よー。こんな時に!…………………………………え?あ、あの?それって……………」
―― 総合病院 玄関
水泳部「ぜーはーぜーはー。あー、坂道しんどー」
友「はあはあ、も…もう、水泳部でしょうが。…って、ね、ねえ?妹ちゃん。ここに男君がいるの?」
妹「…はあはあはあはあはあ……………………」
水泳部「図書委員さん、道わかるかな?」
友「はあはあはあ、一本道だったから、はあはあ、平気でしょ?」
水泳部「はあはあ、ん!よ、よし、あそこの受付で聞いてみようぜ?あのー!すみませーん!」
受付嬢「はい、どうしました?」
水泳部「この病院にさ、男ってやつが来てませんか?」
受付嬢「えと、入院患者さんのお見舞いですか?ちょっと待ってくださいねー、今、部屋番号調べますからねー?」
受付嬢「……」
受付嬢「……?」
受付嬢「んー?」
友「どうですか?」
受付嬢「あのう、そういった方は当院には入られてないようですが?」
水泳部「え?」
妹「え?」
友「…でも、あの、さっき警察のひとがこの病院にいるって、妹ちゃんが…」
受付嬢2「ちょっと!受付嬢さん!これ!こっち!」
受付嬢「あーはいはい。あー……………………、ご、ごめんなさい」
水泳部「じゃ…じゃあ、男はやっぱりここにいるんですか?」
受付嬢「はい、おられます」
妹「どこですか?」
受付嬢「今はまだICUですが……」
水泳部「ICUって…」
友「集中治療室ですね!分かりました!」
水泳部「なあおい、あれじゃねえか?ほら、ICUって標識が描いてある」
妹「…………………」
友「行ってみましょ?」
受付嬢「でも、その方はもう…って、あららー、行っちゃった。どうしよう」
受付嬢2「ふー。まあ、行けばすぐに分かるでしょ?」
受付嬢「うーん」
―― 総合病院 ICU 前
水泳部「ここだ、ここだ!」
友「ここに男君がいるのかな?」
妹「……………」
水泳部「ん?なんか話し声が聞こえるぞ?」
?「…ご協力に感謝致します」
?「君ねえ、こういったことは、その、困るんですがねえ…」
?「これはささやかですが、どうぞお受け取り下さい」
?「……まあ、いずれにしろ、ここに入ってきたときには、既に心肺停止の状態だったのは確かなのですが…」
?「後の処理はこちらで行います。それでは私はこれで…」
ガラガラガラガラ…
友「わ、わ」
水泳部「おい、誰か出てくるぞ」
妹「!?」
白衣「ん?何だね?君たちは?」
水泳部「あ、あのう、俺達、男ってやつの友達です!男がここにいるって聞いて、それで…」
白衣「ん?あ、ああ、男君ね…彼なら」
妹「男君!いるですか?」
友「どこですか?」
白衣「その名前の子なら、ここで寝ている子がそうですが」
水泳部「え?」
友「でもあの…」
妹「顔に白い布が…」
白衣「見てみるかね?」ハラリ
妹「あ」
友「あ」
水泳部「あ」
白衣「申し訳ありませんが、ご愁傷様です」
妹「男君?」
友「うわ、顔色…すご…白い……?」
水泳部「なんだよこれ?な、うそだろ?」
妹「なんで…こんな…うぅうううううう…」
友「身体中が包帯だらけになってる…」
白衣「この子がこの病院に急患で来られた時には、もう手遅れの状態でした。手の施しようがなく…、誠にご愁傷様です」
妹「………………そんな…うそだよ…だって…ねえ?…ううぅう」
友「妹ちゃん?」
妹「一緒に…………………旅行……………行くんじゃなかったの?」
水泳部「ちっ、…くそ…!ちきしょう!!!」ガンッ
白衣2「こら!壁を叩いたのは誰だね?静かにしないか!」タタッ
水泳部「あ…ご、ごめん。俺…、つい」
白衣2「あー、君たちはその男の子の知り合いですか?」
妹「……」
友「……」
水泳部「はい、クラスメートです。同じ学校の…」
白衣2「そうですか。交通事故だったようですね。…確かその男の子は、小さい女の子供を庇って車の前に飛び出したそうだね」
妹「……え?」
白衣2「幸い女の子のほうは軽傷で済んだんだがね。男の子のほうは………」
友「……………」
水泳部「……は、ははは!小さい女の子庇ったって?…ロリコンもここまで来たら本物だな……」
友「ちょ、ちょっと!水泳部君?」
水泳部「…う…うう!ううぅうううううう、ば。馬鹿野郎が……てめえだけ死んでどうすんだよ――!………ううううううううううう………」
友「あ…、水泳部君…」
妹「ひぐ…ひっぐ…うええええええええん」
友「ぐす…ねえ?二人とも…ぐす…泣かないで?泣かないでよう…。ふえええええええええん」
白衣「…これから、この男の子の遺体はメモリアルホールのほうへ移送になります。ご一緒されますか?」
白衣2「申し訳ありません。それが、霊安室の病床が不足しており、誠に如何ともし難く…」
妹「えぐ…えぐ…」
友「えっく、えっく」
水泳部「…はい、一緒に行きます」
白衣2「じゃあ君?」
白衣「はい、わかりました」
白衣2「あー、君?車の準備のほうは?」
看護師「はい、救急口のほうで待ってもらってます」
―― 総合病院 救急受付前
看護師「先生、運び終わりました」
白衣「さ、みなさんはこっちのワゴンのほうに乗って下さい」
水泳部「あ、ああ。……二人はどうする?」
妹「……」
友「乗ろ?妹ちゃん」
妹「うん」
?「あ、ママ?誰か来てるよ?」
?「…………あ…」
水泳部「あ、こ…こんにちは…」
友「…男君のお母さん」
妹「え?」
男母「………………あなたたちは男君の友達?」
水泳部「はい」
友「あ…あの…その…、この度は…その、あの…」
妹「………………………」
男母「朝まで…元気だったのにねえ…」
男妹「ママ…」
男母「人生初のスキー旅行に行くんだって、張り切ってたのにね……ふふ、なんだかうそみたい」
白衣「あの…男君のお母さん?移送の手続きは全部終わりましたか?」
男妹「はい、あの、これですか?これを渡してくれって主治医の人に言われたんですけど?」
白衣「はいこれです。こっちの死亡診断書のほうは、市役所の市民課のほうに届けてください」
男妹「わかりました」
男母「……………………」
男妹「ねえママ、乗ろ?」
男母「……………………」
―― 車内 移動中
男母「……そうですか、あなたたちと一緒に旅行に行くはずだったんですか」
水泳部「………………あの、すいません」
男母「え?」
水泳部「お、俺が、男君を旅行に誘ってなきゃ、その…、男君は事故に遭わなかったのに…って、俺、さっきからずっと…そう思って…その…」
友「あ……」
妹「…………」
男妹「…………」
男母「…………」
妹「ぐす…」
白衣「あの、お母さんは今日はどうされますか?」
男母「……………?」ぼー
男妹「あ、はい、あたしが伺います」
白衣「え?…あ、はい。あの、今日はメモリアルホールのほうで仮通夜ということになると思いますが、今日はそちらで故人とご一緒されますか?」
男妹「は…はい、その予定です」
白衣「そうですか、ではそのように取り計らいますので」
男妹「はい、あの、よろしくお願いいます」
友「…男君の妹さんてさ、しっかりしてるよねー、ね?妹ちゃん」
妹「え?あ、ああ、うん…」
水泳部「……………………………………………あ……………………」
友「ん?どうしたの?水泳部君」
水泳部「俺、図書委員さんのことすっかり忘れてた。…つか、このことみんなに知らせといたほうが良くね?」ヒソヒソ
友「あ――――――――――――――――……………………………」
男妹「?」
男母「……………」ぼー
友「どどどどどうしよどうしよ?」ヒソヒソ
水泳部「向こうについてからにしたほうが良くね?」ヒソヒソ
友「りょ…了解」ヒソヒソ
妹「………………」ぼー
―― メモリアルホール 玄関
白衣「じゃあ、こちらへ運んでください」
業者「あ、じゃあ君らも手伝って貰えるかな?」
水泳部「え?お、俺ら?」
友「え?あの?あたしも?」
妹「男君を運ぶんですか?だったらあたしも手伝います!」
友「あ、妹ちゃん、生き返った」
妹「なに?」
友「いえ何も」
男妹「じゃあいきます」
男母「こっちは私が」
友「あ、男君のお母さんも生き帰ってる?」
水泳部「ばか、静かにしてろ」ヒソヒソ
友「う…、ごめ…」ヒソヒソ
業者「よっこらしょ」
業者2「ゆっくりゆっくり」
水泳部「うんせ」
友「はふー」
白衣「そのままこちらへ」
妹「よ」
男妹「と」
業者「いちにのさんで置きますよ?……はい、いちにのさん」
業者2「…はい、到着です。ありがとうございました」
男妹「いえいえ」
男母「………………」ぼー
妹「…………………」ぼー
友「あ、あの二人、また止まっちゃった…」
水泳部「し―――――――――――――――――――――っ」
友「ごめ――――――――」
男母「………………」ぼー
男妹「ふう、運んじゃったねママ」
男母「………………」ぼー
白衣「では私は病院のほうに戻ります、何かありましたらこちらのほうに連絡をください」
業者「それでは我々も一旦失礼します。後ほど別の者が祭壇の件でお伺いしますので」
男妹「はい、あの、ありがとうございました」
男母「………………」ぼー
友「祭壇ってお葬式とかのあの神棚みたいなやつのことかな?」
水泳部「多分な」
友「お葬式なのに、祭壇ってなんか変だよね?」
水泳部「知らねえよ」
友「ぶー」
男妹「えと、後は、これを市役所のほうに届けるんだっけ」
妹「………………」ぼー
男妹「あ、ママ?あたしさ、市役所にこれ出してくるね?えと死亡届…」
男母「………………」ぼー
男妹「ママ?」
男妹「………………え?ええ、………そうね」
男妹「ママ…」
男母「………………」ぼー
男妹「すみません、お兄ちゃんと、ママのこと、よろしくお願いします」タタタッ
水泳部「OK」
友「ホントしっかりしてるよね。男妹ちゃん」
水泳部「ばーか、無理してんだよ」
友「え?」
水泳部「この分じゃ、まだ学校とかにも全然連絡してないっぽいな」
友「…そうだね、そんな感じだね」
水泳部「俺、連絡してくるよ」
友「え?」
水泳部「男友たちにも連絡しとかなきゃな」
友「うん、そうだね、じゃあ、あたしもクラスの子に連絡しとくよ」
水泳部「頼むな」
友「うん」
妹「………………」ぼー
―― メモリアルホール 玄関
水泳部「さてと…誰から連絡するべきか……」
ジャンジャンシャカジャンシャカシャカ…
水泳部「ん?この番号は…おっ!男友か…、タイミング良いんだか、悪いんだか……」
ピッ
水泳部「もしもし、男友か?」
男友『こら!水泳部!ったく、もしもしじゃねえよ、今どこ?男と連絡はついたのかよ!?』
水泳部「あ…ああ、男とは連絡はついた、みんなここにいるよ」
男友『そっかー、ったく何やってんだ?男のヤツ!ま、俺はその間、友姉ちゃんと仲良くなれたけどなー、げっしっしっしっしー!わ、痛て!?なんだよ委員長、殴んなよ?』
水泳部「……………………そっちは今どこ?みんないるか?」
男友『んー?いるけどさー。えーっと、委員長ここってどこだっけ?え?K府?…聞こえてた?K府だよK府。んでお前ら追いつけるか?』
水泳部「男が死んだ」
男友『は?』
水泳部「だから、男が死んだ」
男友『え?ちょ…あ…あの?それって…え?』
水泳部「交通事故だ。今朝死んだ」
男友『なん…、マジで?』
水泳部「マジで」
男友『今どこ?』
水泳部「んとな、メモリアルホールってとこ。病院の霊安室が満杯なんだってさ」
男友『…………なあ、遅れたからって、言い訳とか?…からかってない?』
水泳部「すまん、この手の冗談は嫌いなんだ」
男友『えー―――と、……んで、男ってさ、今、電話に出られる?』
水泳部「あのさ、だから無理だって。だってあいつもう死んでるもん」
男友『………………………』
水泳部「俺はこれから学校のセンコーとかに連絡すっから、すまんが俺はそっちには行けねえし、そんな気分になれねえや。悪いな、そっちはお前に任すわ」
男友『な…、おい、ちょっと待て!』
水泳部「だから!あちこち連絡が必要なんだよ!しばらくこの携帯にかけてくんじゃねえぞ。いいな!?」
男友『待てよ!よくねーよ!え?マジで男死んだの?』
水泳部「うっせえやつだな、だったらここにこいや!」
男友『どこだっけ?』
水泳部「聞いてねえのかよ?だからメモリアルホールだって」
男友『んとさ、病院とかじゃねえの?』
水泳部「知らねえよ、そんなの。今さっき、男を病院からここまで運んで来たんだよ、俺も運ぶの手伝ったんだ。今日はこのままここで仮通夜だってさ」
男友『え?えええええええええええええええええええええ??!!あ、ちょ、お、おい!ま…』
水泳部「しつこいやつだな、もう切るぞ」ピッ
水泳部「ふう…」
水泳部「さて、担任か?」ピッピッピッ
――― K府駅
男友「……」
委員長「んで、あいつらどうだって?」
男友「えーっと」
友姉「どうしたの?男友くん」
男友「そ…それが…は、ははははは…」
委員長「んもう!笑ってちゃ分かんないでしょ?男君とはちゃんと連絡取れたの?」
男友「うーん」
写真部「皆さん!ジュース買ってきましたよ~」タッタッタッ
男友「男がさ、その…、死んだって」
委員長「…………は?」
友姉「…………え?」
写真部「えーっと、明日の紅茶と、抹茶と、カフェオレと、僕が赤コーヒーですよ。やっぱりこれですよこれ。はははは」
委員長「…なにそれ?」
男友「交通事故だってさ、今朝死んだって」
友姉「え?…それって?」
委員長「冗談なんかじゃないの?」
友姉「んと、私、友ちゃんに連絡取ってみますね?」ピッピッピッ
男友「なあ、委員長」
委員長「な、なによ?」
男友「俺さ、帰るわ」
委員長「え?」
友姉「えと、あ、男友君まって?今、私の妹に連絡取ってみるから、……もしもし?友?」
委員長「ねえ、ちょっと、待ちなさいよ!」
男友「ごめんな委員長、せっかく誘っといて」
委員長「ごめんじゃないわよ!なにこれ?」
友姉「もしもし?友ちゃん?今ね、男友くんが水泳部君に聞いたんだけどね?男君が死んだって…え?……………うそ…………」
男友「………ホテルのキャンセルは任せるわ、お金がかかるようだったら後から言って?」
委員長「ちょっと待ちなさいよ!なにこれ…、せっかく…男友君と一緒に卒業旅行だったのに……」
写真部「…え?あのう、みなさん、ジュースは?」
―― メモリアルホール 玄関
友「うん…うん…わかった。待ってる」ピッ
水泳部「友姉さんなんて言ってた?」
友「みんなこっちに帰ってくるって」
水泳部「そっか」
友「旅行、なくなっちゃったね」
水泳部「そうだな」
友「…クラスの子にはメール送ったよ」
水泳部「ありがとな。俺も担任には連絡しといた。後でこっちに来るって」
友「みんなびっくりしてたよ。うっそーとか、ガチでー?とか」
水泳部「そうか」
友「でもさー、ガチって…」
水泳部「…なあ?」
友「ね、男君のお母さんに、他に連絡しなきゃいけない人、聞いてみよ?」
水泳部「そうだな」
―― メモリアルホール 広間
男母「…………………」ぼー
友「はい。で、それから」
男母「私の姉の電話番号は…」ぼー
友「……ふんふん、………っと。ねえ、水泳部君、そう言えば妹ちゃんどこ?」
水泳部「………あれ?あ、いた。ホールのすみっこで座ってる」
妹「………………」
水泳部「おーい、妹ちゃん?」
妹「………………」
友「ねえ、ちょっと水泳部君?様子見てきて?」
水泳部「お、おう」
妹「………………」
水泳部「妹ちゃん?大丈夫か?顔色があんまり良くないぞ?」
妹「あ、水泳部君、どうしたの?」
水泳部「どうしたのじゃねえよ、おい、妹ちゃん大丈夫か?」
妹「……………………」スック
妹「……………………」トボトボトボ…
水泳部「………お、おい、妹ちゃん?」
妹「あ、水泳部君、おはよ」
水泳部「………?」
妹「……駅には今から行くの?」
水泳部「は?」
妹「だって…これから、スキー行くんでしょ?あ、水泳部君はスノボだっけ?」
水泳部「え?」
妹「あたしさ、スキー初めてだからすっごい楽しみだったんだー」
水泳部「妹ちゃん?」
妹「男君もね、スキー初めてなんだって。えへへ、一緒だよね」
水泳部「……お、おい?」
妹「もう待ち合わせ時間だいぶ過ぎちゃったね、きっと男君駅で待ってるよ?行こ?」
水泳部「え?」
妹「あたしの荷物はこれ?えへへ、持ってきてくれてたんだねありがと水泳部君」
水泳部「妹ちゃん……」
妹「じゃあ、あたし、駅で男君が来るの待ってるよ」トボトボトボ
水泳部「待てって!」
妹「やー!離して!駅で待つの!」
水泳部「何考えてんだよ?」
妹「…だって…旅行、一緒に行くって…ぐす…言ったんだもん…う…ひぐ…うううぐうううううう…」
友「え?妹ちゃん?ちょ!!!!水泳部君なにやってんの!!!」
水泳部「あ、友ちゃん?友ちゃんからも言ってくれよ、なんか妹ちゃんの様子が変なんだ」
妹「やだ―!えぐ、ひぐ、…違うもん!駅で男君が来るのあたし待ってるの――――!」
友「妹ちゃん……」
水泳部「………………」
妹「えぐ…えぐ…えぐ……………………………………」フッ ガク
友「ちょ…、妹ちゃん?ええ?うそ?!顔がすごい白いよ?妹ちゃん?!!!」
水泳部「たしか布団が借りられたよな、俺ちょっと取ってくるよ」
友「うん」
―― 4時間後
妹「……………」
妹「…………ん?」
妹「…………あれ?」
友「あ、妹ちゃん気がついた?」
水泳部「よ」
友「…え?え?あれ?あれれ?」
友「おはよ、妹ちゃん」
水泳部「ったく、おはようじゃねえだろ」
妹「え?友ちゃん?あの…あれ?ここどこ?」
水泳部「メモリアルホールの仮眠室だよ」
妹「メモリアルホールって…あ、水泳部君?」
友「妹ちゃん、あれからずっと眠ってたんだよ?」
妹「……そっか、今何時かな?」
水泳部「えと、もう4時半過ぎてるな」
妹「……朝の?」
友「ふふ、もう夕方だよ?」
妹「え?あ…」
水泳部「ふーっ、おかげでこっちはなーんもすることがなくて、ずーっとぼーっとしてたけどな」
友「くすくす、ホントは違うんだけどね」
妹「…え?」
友「水泳部君ね、あれから学校とか、男君の親戚とか、ご近所の人たちとか、いろいろ電話しちゃったり結構大変だったんだから」
妹「……あ」
水泳部「こら、余計なこと言うなよ」
友「だってホントじゃん。男妹ちゃんにも感謝されてたし、大活躍だったじゃん?水泳部君」
水泳部「ばーか、違えよ。つーかさ、こんな活躍………嬉しくねえよ」
友「……ふんだ、褒めてあげたのに。……………でも、そうだね。あんまり嬉しくないね」
妹「………………」
友「あ、そうそう!みんながそろそろ戻ってくる時間何だから、駅まで迎えに行こうよ」
妹「みんなって…あれ?…………そう言えば、図書委員さんは?」
友「それがね、図書委員さんと連絡が取れないの。どこ行っちゃったんだろ?」
妹「何も変わってない…。やっぱり夢じゃなかったんだ…」
友「妹ちゃん……」
水泳部「よっし、お前ら、ちょっとここで待ってろ、俺、今タクシー呼んでくるから」
―― メモリアルホール 玄関
水泳部「あ、俺たちちょっと友達迎えに行ってきます」
男叔母「車には気をつけるんだよ?」
友「はい、行ってきます」
男叔父「はい、行ってらっしゃい」
男叔母「若いのに大したもんだね」
妹「あれ?……男妹ちゃんは?」
友「ああ、今、家に喪服を取りに行ってるよ」
水泳部「何度もここと家を往復してるって感じだったな」
友「そういえばお昼も印鑑取りに家に戻ったって言ってたよね」
水泳部「ったく、しっかりしてんだか、抜けてんだか」
友「でも、がんばり屋さんだよね?すごいいい子」
水泳部「ああ、そうだな」
妹「…………」
―― 駅前 喫茶店
水泳部「な?ここなら駅前広場が良く見えるだろ?外は冷えるから、しばらくここで待ってようぜ?」
妹「……」
友「えっと、リダイヤルでお姉ちゃんの番号はと…」ピッピッピッ
ウェイトレス「いらっしゃいませ、あの、ご注文は?」
水泳部「みんなホットでいい?」
妹「……」
友「じゃあ、あたしダージリンティーで」
水泳部「それじゃあ、ダージリンティーが2つと、ホットがひとつ」
ウェイトレス「かしこまりました。ダージリンティーが2つと、ホットをおひとつですね?」
妹「……」
友「……あ、もしもしお姉ちゃん?今どこ?え?いま電車待ち?…あとどれくらい?あたしらさ…えと…」
水泳部「やれやれ、今日はとんでもない一日になっちゃったな…」
妹「……………」ぼー
妹「…………あ」
妹「……………」(あそこ歩いてるの………ひょっとして………お姉ちゃんかな?…………)
水泳部「ん?どうしたの妹ちゃん?」
妹「…………え?…ううん、なんでもない……」
妹「…………」(うん、やっぱり、お姉ちゃんだ。……あの交差点の前にいるのお姉ちゃんだ。…あれは会社の人かな?一緒に歩いてる女の人)
妹「…………」ぼー
妹「…………」(あーあ、お姉ちゃんになんて言おう………」
妹「…………」(…あ、お姉ちゃん、女の人と別れちゃった……。横断歩道渡っちゃうのかな)
妹「…………」ぼー
妹「…………」(うん、やっぱりお姉ちゃんに話聞いてもらおかな?)
姉『あ、妹?お土産は私、おやきがいいから』 『…おやきがいいから――』 『いいから――』 『から――』 『から――』(エコー)
妹「…………」(やっぱやめとこ…………………)
妹「!」
妹「!?」
妹「…なにあれ?」
妹「…………」じーっ
水泳部「…さっきから、どうしたの?妹ちゃん」
妹「……あ、水泳部君…あの、今あそこにね、うちのお姉ちゃんがいるんだけどね、その…お姉ちゃんの腰のあたりに、ふわふわ何か浮いてるの」
水泳部「は?」
妹「あ、あのね!こーんな感じの、なんか、ソフトボールみたいなものと、首に、こう、もじゃもじゃて煙みたいな…」
友「………………じゃあねお姉ちゃん、あたしたち駅前の喫茶店で待ってるから。うん、ばいばーい」ピッ
友「……あれ?どうしたの二人とも」
水泳部「ああ、友ちゃん連絡終わった?」
友「それがね、雪で電車が止まってるんだって、まだ結構時間かかるかも」
水泳部「雪か……う~ん」
妹「友ちゃん!見てあれ!ね?ね?」
友「どうしたの、妹ちゃん?」
妹「ほら、友ちゃんうちのお姉ちゃん知ってるでしょ?ほらあそこの交差点のとこに立ってる人」
友「あ、ホントだ妹ちゃんちのお姉さんだ」
水泳部「え?どの人?」
友「ほらあそこ、黒の襟が羽になってるダウンジャケット着てて、白のハンドバッグ持ってる人」
水泳部「ああ、あれか…ふうん、美人じゃん。で、あれがどうしたの?」
友「なんかさー、水泳部君て反応が割と淡泊ね」
水泳部「俺にどうしろと」
妹「ね?ね?見えるでしょ?お姉ちゃんの腰のあたりにふわふわ浮いてるソフトボールみたいなやつと、首に巻きついてる煙っぽいやつ」
友「う~ん」
水泳部「やっぱり、妹ちゃん疲れてるんだよ」
妹「え?うそ。なんで?あれ?え?でも、ほら、あれ」
水泳部「…友ちゃん、これって?」
友「ちょっと、病院行って見てもらおっか?」
妹「あ、あの!ほ…ホントだもん!嘘じゃないもん!あたし大丈夫だもん!見てよあれ!ね?ね?見えるでしょ?
ほら、あれ、首の周りにもふわふわ煙みたいなものが見えるじゃん!ね?ね?ね?」
ウェイトレス「はい、コーヒーと、ダージリンティー2つですね」コトッ
水泳部「とりあえずさ、今は落ち着こうよ。な?」
友「そうだよ、妹ちゃん、今は混乱してるだけだよ、ね?」
妹「でもお……あ、信号変わっちゃった!あたしちょっとお姉ちゃんのところ行ってくる!」ダダッ
水泳部「ああ、妹ちゃん!?」
友「ちょっと待って?」
―― 交差点 横断歩道前
妹「なんかすごくいやな感じがする」
妹「もうやだ、なにこれ?」
妹「でもこの感じってどこかで」
妹「………あ、この感じ!これって10年前もたしか」
妹「確かお姉ちゃんがフェリーから海に落っこちそうになって…」
妹「…実際、ぽろっと落ちちゃって」
妹「そしたら、どっかの男の人が急いで海に飛び込んで」
妹「お姉ちゃんは助かったんだけど、助けに海に入った人がサメに食われて溺れて行方不明になっちゃって」
妹「……………あの時の感じに似てる?」
妹「あ!?赤信号なのにトラックが交差点に突っ込んで??!!!え?なにこれ?!」
ヒュッ! キラッ!?
妹「きゃ?!?え?なに?」
姉「きゃあああぁああああああああ」
カラス「がーがー」
妹「え?カラス?…カラスが飛んでって、お姉ちゃんの首筋に…体当たり?」
キキキキキキキキッ
ガシャ―――――――――――――ンッッ
姉「…び、びっくりした…」
通行人A「すげえ…事故だ」
通行人B「おい警察呼んだほうがいいんじゃねえか?」
通行人C「俺呼ぶよ」
通行人D「おーい、運転手生きてるみたいだぞー」
通行人E「自損事故?怪我人でなくて良かったねー」
姉「だ、やだ、こ…怖~、紙一重~」
※もう、おさるさんは嫌なのでちょっとペース落とします。
妹「…なに、今の?」
水泳部「おい、妹ちゃん!?なんだあれ!うわ、すっげー事故ってら」
友「ね、ね、妹ちゃん?大丈夫?」
妹「あれ?友ちゃんと、水泳部君?」
水泳部「ったく、今日はどんな日だよ」
友「わー、見て?トラック、すごいぐしゃぐしゃになってる」
水泳部「おい、友ちゃん?」
友「あ、…その…ご、ごめん。って、水泳部君だって」
水泳部「悪い」
妹「あれ?……お姉ちゃんのそばからソフトボールと首筋に巻きついてた煙が消えてる…」
?「そう…、あなたにはあれが見えてたの?」
妹「!!!?????」ビックッ
水泳部「?どうしたの妹ちゃん?」
友「えと、なに?」
妹「え?あれ?今、何か言った?」
水泳部「何の事?」
友「?」
妹「いま、見えてたって、言わなかった?」
水泳部「さあ?」
友「ね?紅茶冷えちゃうよ?喫茶店に戻ろ?」
妹「?????」
?「ふふふふふ、すごーい、あたしの声聞こえるんだ、変な人間」
妹「は?え?」
水泳部「?」
友「どうしたの?妹ちゃん」
妹「え?ふたりには聞こえてない?」
?「みたいだね。普通は人間にはあたしらの声は聞こえないもんなんだけどね」
妹「だ、誰?なに?なにこれ?」キョロキョロッ
水泳部「お、おい?妹ちゃん?」
友「妹ちゃん…まだ……?」
妹「でも…あの??!!!あ…あれ?」
?「ふふふっ、おもしろーい」
妹「ねえ、ちょっとやだ、なにこれ?」
水泳部「妹ちゃん?」
友「おーい、もしもーし?」
?「あたしは死神。あんたのお姉ちゃんを連れに来てたんだけどね、お仕事なくなっちゃった」
今来たノーパン死神姉妹のやつか
支援
妹「え?!し!!??死神?!」キョロキョロッ
水泳部「は?し…死神?って、おい?」
友「ちょっと、妹ちゃん…あの…ホントにどうしちゃったの?」
?「ふふふ、あたしらね、3つ子なの」
妹「み…みみみみつみつみつご?みつごって何?」
?「さあねー、ふふ、教えてあげない」
妹「????????????????」キョロキョロキョロッ
友「ねえ、水泳部君…」
水泳部「あ、ああ、おい妹ちゃん?とりあえず喫茶店に戻ろうぜ?…悪いけど、さっきから人の視線がちょっとすごく痛いんだけど…」
?「ホント言ったら、あんたのとこには、今晩うちの近所のおじさんが迎えに行く予定だったんだけどねー?くすくすくす」
妹「ひいいいいいいい??!!何これなんなの??!」ダダッ
?「すごいよねー。あのおじさん自らだよー?くすくすくす」
妹「ぎゃ――――――――――――――――――――――!!!!???」
>>113黒マント着てるからノーパンじゃないもん
水泳部「あ!!!ちょっと妹ちゃん?!」
友「あー…行っちゃった。ね?どうしよう?」
水泳部「ほっとけないよ、追いかけよう?」
友「うん!」
―― 商店街
妹「なにこれ?!なにこれ?!!」
?「おもしろーい、ホントに聞こえてるのね?」
妹「いや―――――――!!!!」
?「やーん、怖がってる。あたしすっごいわくわくするー」
妹「ぎゃ――――――――――――――――!!???声が?!声だけが追いかけてくる?!」
?「きゃははははは!た―――の――――し――――い――――!」
妹「やだ!もうやだ!」
?「あたしの担当さんの運命をね、あたしのお姉ちゃんが変えちゃったっぽいら、あたしはもうあっちに帰っちゃってもいいんだけどね、
こういうときって、明日のお昼まで不確定要素があるみたいで、あたしはまだこっちにいなきゃいけないみたいなの。扉がね、開かないの」
妹「もうやだ――――――!!!!!!誰か!!!!誰か――――――――!!!助けて――――――!!!!??」
通行人A「なにあれ?」
通行人B「え?ドッキリ?」
通行人C「どっかでTVの撮影やってるとか?」
―― 裏通り
妹「もうやだ、もうやだ……もうやだ、もうやだ、もうやだ…」
?「…でね、担当さんの最期を遠くから見てたらさー、お姉ちゃんたらホント余計なことしちゃって」
妹「もうやだ――――――――――――――――――――――――!!!!」
ちょーちょろちょろちょろちょろ…。
妹「えぐ…えぐ……」
?「あ……」
妹「ひぃい―――――――――ひぎ―――――――――ひぎ――――――――――」
?「きゃはははは!この子ったら、うずくまって、おもらししちゃってるー!!」
妹「えぐ…ひぐ……お姉ちゃん…お父さん、お母さん………た…助けて………」
?「あ…」
妹「………あう…あぐ……男君………ひぐ……ぐず…えぐ…ええええええええええええええん………」
?「あららー……」
妹「もうやだーーーもうやだよーーー違うよーなにこれー?えぐえぐ…」
?「あっちゃー。ちょっと、…やりすぎちゃったかな?」
妹「ひぎ―――――――ひぎひぎひぎぎ―――????!!!」
?「ねえ?そろそろ泣きやんで?」
妹「あ゛――――――――――あ゛―――――――――」
?「ね?あんたが狂い死になんかしたら、あたしがおじいちゃんにしかられちゃうよう、うわー、まいったなー」
水泳部「ここか?おい!妹ちゃん!!」ダダダッ
?「ん?誰か来た?」
妹「ぱぎ―――――――――――?!」ビクッ
水泳部「おい!妹ちゃん!!!!大丈夫か!?」
妹「ひぎ?!や!!や?!!!やだ!やだ――――――ひっ…、ひぎ――――!!!!」
水泳部「おい!妹ちゃんって…あ、……妹ちゃん……これって………あの……」
妹「やだ―――――――――――――――――………あ………」カクン
水泳部「おい!妹ちゃん?!おい?あの?ちょっと?もしもーし?」
妹「…………」(白目)
水泳部「わ、わ、わ、うひゃー、妹ちゃん、おしっこ漏らしたまま気絶しちゃったよ?……どどどどどどうしよう」ドキドキ
水泳部「あ…あの?妹ちゃん?あの…スカートがはだけて太ももが出てますけど……」ゴクリ…
友「水泳部君!!!妹ちゃんいた!!???」
水泳部「あ、友ちゃん!」
友「あ…」
水泳部「あ…」
友「…ね、ねえ、ちょっと…、水泳部君、あ、ああ、あんた!!妹ちゃんに何してんの!!!?」
水泳部「え?あ?な、何?………は?!!!!こ、これは!?ち、違う!友ちゃん!なんか誤解してる?!」
友「水泳部君のフケツ――――!!!!なにこれ――――!!信じらんない―――――――――――!!!!減滅―――――――!!!!」
水泳部「ち――――がー―――う――――――!!!!!」
―― 友宅 前
水泳部「なあ、友ちゃんの家ってこのマンション?」
友「……」
水泳部「友ちゃん?」
友「この卑劣漢……すけべ……変態」ボソッ
水泳部「だから違うって!」
友「い、今だって、おもらしした妹ちゃんを背負えてホントは嬉しいんでしょ?この変態」
水泳部「あ、あのう…どうすれば信じてもらえるのですか?」
友「ったく、こんなやつだとは思わなかった…」ブツブツ
水泳部「あ、あのさ、俺」
友「何よ?」
水泳部「俺、妹ちゃんのことが好きなんだ、この3年間ずっと」
友「え?」
水泳部「好きな子に乱暴するわけねえだろ?」
友「あ…」
水泳部「今度の旅行で俺、妹ちゃんに告白しようと思ってたんだ」
友「………」
水泳部「でもこんなことになってさ、俺にももうなんだかよくわかんねえよ」
友「………」
水泳部「友ちゃんの家ってこのマンションで良かったっけ?」
友「うん…5階だよ」
水泳部「そっか、ありがと」
友「あーあ、なんだかなあ…」
水泳部「ん?どうしたの?」
友「うるさい!ばーか、ばーか!あたしもう知らない!後はご勝手にどうぞ!ふんだ!べーっ!」
水泳部「ま!待ってくれ!こんな状況でほったらかされても困る!俺すっげー困るから!」
友「はいはい、じゃあ入って?」
水泳部「ありがとな、お前っていいやつだよな」
友「な、なによ、べ、別にあんたのためじゃないんだからね?!」
>>136ありがとです
猿来てもID変えちゃいなよ
―― 友宅 玄関
水泳部「鍵閉まってるけど?」
友「んー、ちょっと待って?…確か上着のポケットの中に…あ、あった」
ガチャガチャ… ガチャ。
友「ふう、到着」
水泳部「へー綺麗な部屋だな」
友「ふふん、どうだ、恐れ入ったか」
水泳部「うん」
友「な、なによー」
水泳部「で、この後どうしようか?」
友「え?あ…ああ、どうするもないよね、おもらししたままほっといたら可哀そうだもんね、お風呂入れてあげようよ」
水泳部「え?お、お風呂?」ドキドキ
友「ばーか!あんたは妹ちゃんをお風呂まで連れてった後、リビングで待ってて」
水泳部「お、おう」
―― お風呂
友「じゃあ、妹ちゃん服脱ごうね」
妹「……」
友「わあ、妹ちゃんて、肌奇麗…」
水泳部「ど、どうだ?俺、なんか手伝えることあるか?」
友「ぎゃ―――――――――――!!!!覗くな!この変態!!!!」
水泳部「え?あ?あああ!?ご、ごめ!!!!!!」
友「ふう…、油断も隙もあったもんじゃないわ」
友「先に着替えるもの用意しといたほうがよさそうね、えーっと、着替え着替えっと」
水泳部「なんだ?着替えか?ん―――――――――こっちのクローゼットに何か入ってないかな…………あ」
ガララ
ドタタタタッ
友「ちょっとあんた―――――――――――――!!!!何してんのよ!!!!!!」
水泳部「い、いや、俺には刺激が強すぎる、助けてくれ」
友「あ、…Tバック」
水泳部「な、すげえだろ?。…こっちのこれなんか、ヒラヒラらのスケスケ…誰のだこれ?」
友「人ん家の中を物色すな―――!!!」バッ!!
水泳部「ご、ごめ!!!!!!!!!!!?」
友「あ、こっちの縞々にしとこっと♪」
水泳部「こ、こいつは…」
友「えーと、あとは、これとこれと」
水泳部「ふう、さっきの下着、誰のだ?…………」
―― 再びお風呂
シャ―――――――――――――――――――――ッ
友「はい妹ちゃん綺麗にしましょうね?」
妹「……………………」
友「ふう、気持ち良いお湯…」
友「あーあ、あたしもお風呂入っちゃおうかな?」
友「よーし、こうなったら、あたしも一緒に入っちゃえ」ババッ
友「あ――――――――――気持ちいいお湯――――――――――」
妹「う……うん?」
友「あ、妹ちゃん気がついた?」
妹「あ…れ?」
友「どう?大丈夫?」
妹「え?友ちゃん?え?あれ?ここどこ?」
友「ここはあたしん家のお風呂」
妹「え?友ちゃんの家?え?え?え?」
友「覚えてない?妹ちゃん、裏通りで倒れてたの」
妹「え?それって、あの?」
友「それでさ、妹ちゃん…その…お…お…お…」
妹「お?」
友「あ、ああ、いや、なんでもないの。あはははは。妹ちゃんがね、その、………水たまりで倒れててさ、
すっごいばっちかったから、お風呂に入ったほうがいいかななんて」
妹「そうなんだ…」
友「水泳部君には、お礼言っといたほうがいいよ?ここまで妹ちゃんを背負って連れてきてくれたんだから」
妹「え?」
友「ごめんね勝手に連れてきちゃったりして、おまけにお風呂まで」
妹「ううん、…いま何時?」
友「さあ?」
妹「あのね旅行に行く前の、お家を出る前にもね、あたしお風呂に入ったのね」
友「?」
妹「そんときからずっとお風呂にいたような気分。なんだか変な感じ」
友「ははは」
妹「そんでさ、男君が交通事故で死んじゃったーとか、ヤな夢を見てさ、えへへ、っていうかこれも多分、夢だよね」
友「……」
妹「そうだよね、友ちゃんと一緒にお風呂だなんて変だよね、これも夢だよね」
友「ホント、全部夢ならよかったのにね」
―― 友宅 リビング
水泳部「……」ぼー
友「ほーい、あがったよ」
妹「………あ、水泳部君?」
水泳部「よ、目は覚めた?これで今日は2度目かな?」
妹「う、うん……」
友「あたし、もうびっくりしたよ、妹ちゃん金切り声上げて走って行っちゃうんだもん」
水泳部「ホントにさ、どうしたんだよ妹ちゃん」
妹「う…うん、あのね、信じてもらえないかもしれないけど、声が聞こえたの」
友水泳部「声?」
妹「うん……」
?「くすくす、声ってあたしの声だよね?」
妹「え?」
友水泳部「?」
妹「ね、ねえ友ちゃん、今何か言った?」
友「ん~ん。何も言ってないよ」
妹「へ?へへ…へへへへへへ……」
水泳部「どうしたの?妹ちゃん」
?「あたしの声はあんた以外には聞こえないみたいね、残念ね、ふふふ」
妹「!!!!!!!!!!!?さっきの声が?!」
水泳部「???」キョロキョロ
友「だから、声がどうしたの?」
妹「あのね…誰かの声が聞こえるの」
?「くすくすくす、あんたにはもうしばらくあたしの暇つぶしの相手になって欲しくってさ、付いてきちゃった。えへへ」
妹「ひいっ!!?」
友「あの?妹ちゃん?誰かって…誰?」
水泳部「俺たち以外誰もないよな?」キョロキョロ
友「うん…うちのお父さんいつも夜遅いし、お母さんはこの時間いつもスーパーでパートだもん。誰もいないはずだよ?あ、でも今日はお母さん、パートのあとで男君のとこに行くって」
水泳部「ふうん」
妹「で、でも!すぐ近くから声が!!!……………………って、え?!あ?!!!!」
友「どうしたの?妹ちゃん」
妹「か…鏡」
水泳部「え?鏡?」
友「鏡?鏡台が、どうかしたの?」
妹「鏡に誰か映ってる?え?何これ?」キョロキョロキョロッ
水泳部「何も映ってねえけど?」
妹「でもだって!ほら、いるじゃん!黒いマント着た、小さな女の子が!!!???」
>>148 あってます。確か、
のくす牧場にも載せてもらってたような。
IDの変え方→回線切って吊った後に再接続
友「は?」
水泳部「小さい女の子?」キョロキョロキョロッ
妹「すぐそこ…鏡の中、……でも、あれ?反対側には誰もいない?あれ?…え?なにこれ?」
友「????」
水泳部「????」
?「へえ、鏡越しにあたしの姿が見えるんだ………この人間おもしろい!」
妹「何これ?なんなの?」
?「くすくすくすっ、はじめまして♪こんにちは~」にぃ
妹「は…はは…ははは……」
水泳部「…………………どうしたの?妹ちゃん」
妹「あ…あのね、今ね、小さな女の子が鏡越しに『こんにちはー』ってにっこり笑ったの」
友「は?」
水泳部「こんにちは……?」
妹「それがね黒いマント着て、髪の毛が漫画みたいにやたら長いツインテールで、それに…」
水泳部「それに?」
妹「それにね…あの、その、…このコ、あの…、服着てないの。…素っ裸」
友「は?」
水泳部「ツインテールで素っ裸?」キョロキョロキョロッ
友「水泳部君……」
?「…し!!失礼ね―――――!!!!!」
妹「きゃ?!」
?「ちゃんと見なさいよ!黒マント着てるから素っ裸じゃないもん!」
妹「ええええええええええ」
友「あのう、今度は何?」
妹「それがね…黒マント着てるから素っ裸じゃないもんって、すっごい怒ってる」
友「……………」
水泳部「……………」
妹「……………」
友「ねえ、妹ちゃん」
妹「なに?」
友「病気?」
妹「ち!違うもん!嘘じゃないもん!いるもん!素っ裸の子が!」
?「何度も言わせないでよ!黒マント着てるから素っ裸じゃないもん!」
妹「怒ってる~、怒鳴ってるのに~」
友「ん――――――――――――どうしよう、水泳部君?」
水泳部「…え?あ、ああ」
妹「ね?水泳部君はあたしのこと信じてくれるよね?ね?」
水泳部「え?あ、ああ…」
友「ちょっとー、水泳部君?」
水泳部「ったく、俺にどうしろってんだよ?」
妹「うう、ぐす、なんだかあたし涙出てきた…ううう、ぐす…」
友「どうしよ」
水泳部「困ったな」
妹「…………あ、あのあのあの、あ…あ…あなたはどうしてここに来たの?」
友水泳部「?」
?「え?あたしに聞いてるの?」
妹「ひっく、…うん」
?「だからー、あたしはね死神なのね」
妹「……………死神?」
死神「そ、死神」
水泳部「死神~~?」
友「あ…あたし、なんか、あたま痛くなってきたかも…」
死神「ふうん、ようやくあたしと話す気になれた?」
妹「話す気というか、なんと言うか…もう帰ってもらいたいというか…………」
死神「きゃはははは!こんなのあたし初めてだよ」
妹「はは……、あたし、何やってんだろ?…ホントに頭おかしくなっちゃったのかな?はははは…」
死神「いいよ人間、あたしあんたのこと気にいっちゃった。えへへ」
妹「うう、ちっとも嬉しくないんだけど…ね、ねえ?あ、あの…、あなたはどうしてここに来たの?」
死神「んん?何度か言ったかも知れないんだけどさ、あたしの担当さんがさ、
…んと、今日死ぬはずだった人の運命が変わってさ、命が助かっちゃったから、あたしのお仕事が無くなっちゃの」
妹「え?今日死ぬはずだった人って………?」
死神「さっき見たでしょ?横断歩道でトラックに轢かれそうになってた女の人いたじゃん?アレよアレ」
妹「え?それって……あ!?」
死神「それがさ、うちのお姉ちゃんがね、なんか勝手やっちゃったみたいなの。ホントはあんなことしちゃったら厳罰もんだよ。ホントにもう!」ブツブツ
妹「あ…、あのとき?お姉ちゃん、死ぬはずだった?…ははは、なにこれ?」
水泳部「おい、友ちゃん」
友「な、なによ?」
水泳部「だからさ、妹ちゃんさ、誰と話してんだよ?」
友「知らないわよ」
水泳部「なんだよだこれ?」
友「あたしが聞きたいわよ」
妹「…ねえ、死神のあなた、知ってたら教えて?」
死神「なに?」
友「…ね?ね?水泳部君?見てあれ? …妹ちゃん、誰もいないのに会話してるし」
水泳部「……大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、俺、大丈夫。…何でも受け入れる。うん、大丈夫、大丈夫……」ブツブツブツ
友「………」
妹「男君って人知ってる?」
死神「え?」
妹「今日の朝交通事故で死んじゃった男の子なんだけどね」
死神「んとね、うーんとね、えっと……、ああ、うん知ってる知ってる!たしか、うちのお姉ちゃんの担当さんだよ。変わり種だって言ってたから覚えてる」
妹「変わり種?」
死神「うん、どう言えばいいんだろ?こう、魂の"えにし"がね、普通のとちょっと違うの」
妹「えにし?」
友水泳部「えにし?」
死神「"えにし"ってのは縁のことだよ、あの人間の魂の"えにし"が異常にぶっといんだってさ」
妹「ぶっとい?」
友「ぶっとい?」
水泳部「ぶ…ぶっと?…」
友「水泳部君、ぶっといに反応し過ぎ」
水泳部「……」
死神「うん、そうそう、確か、生きてる人みたいに異常にぶっといんだっておじいちゃん言ってた」
妹「おじいちゃん?え?……生きてるみたいって?」
死神「でも残念、あの人間はもうとっくに死んじゃってるよ?複雑骨折に全身打撲に内臓破裂…即死だったみたいね?可哀そうに」
妹「男君……」
死神「それが、なんであんなに"えにし"がぶっといのか謎なのよねえ」
妹「………………」
友「ね、ねえ、妹ちゃん?」
妹「え?友ちゃん、何?」
友「あ、あはは…、で、その、脳内電波会議は終わった?」
妹「え?あ…!!!で、で!?電波会議じゃないもん!脳内じゃないもん!!!…ホントだもん!!!」
水泳部「ちょっと!友ちゃん!?」
友「だってさ、どう見たって妹ちゃん普通じゃないじゃん!何が死神よ!?馬鹿じゃない!!?」
妹「ええええぇええ、ううううう…」
死神「きゃははははは!!ぷ―――っ、おっかしー。信じてもらえてねえんでやんのー」
妹「な、なによ―――!!!」
友「ほら!水泳部君、見なさいよ?このコ、誰もいないとこ睨んで文句言ってんだよ?絶対おかしいよこんなの!」
水泳部「友ちゃん…」
妹「あ…あの、水泳部君は、信じてくれる?」
水泳部「え?」
友「水泳部君?」
妹「ぐす…、水泳部君…」
水泳部「……」
友「どうなの?」
妹「…ううう」
死神「くすくすくす…」
水泳部「うが―――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
友「!?」
妹「!?」
死神「!?」
水泳部「ぜい…ぜい…ぜい…ぜい…」
友「あの…、水泳部君?」
水泳部「お、…俺さ、妹ちゃん?」
妹「え?は、はい」
水泳部「俺、妹ちゃんを信じるよ」
妹「え?」
友「あ…」
水泳部「そう決めたんだ」
妹「水泳部君…ありがと…ううう」
死神「きゃはははははははは!!!腹痛た――――!!!!なに――!!?この茶番――――――!!!ぷぎゃ―――――――――――!!!」
友「あーあ、なんかさー、あたし全然面白くないんだけどー」
妹「あの、ごめんね?友ちゃん」
友「………」
妹「………」
水泳部「………」
友「……で」ジロッ
妹「え?」
友「いるの?その…死神」
妹「え?う…うん」
友「子供だっけ?」
妹「うん、小さい女の子」
友「どのくらいの大きさ?」
妹「友ちゃんのおへそくらいの背丈かな?」
友「黒マント着てんの?」
妹「うん…」
友「素っ裸で?」
妹「うん…。素っ裸で」
死神「だから素っ裸じゃないって言ったじゃん!」
友「…今どこ?」
妹「え?あ…あの…その…あっち」
友「あっち?」
妹「うん、ベッドに腰掛けて、『素っ裸じゃないって言ったじゃん!』って怒ってる」
友「ふうん」
妹「………」
友「ねえ、死神のあんた?」
死神「ん?なあに人間?」
友「……何にも聞こえないんだけど?」
妹「あの……『なあに人間?』って言ってる」
友「いたこ?」
妹「え?」
友「ま、いいわ。死神のあんたさ、あんたなんでここにいんの?」
死神「暇つぶしだよん」
友「…………なんて言ってる?」
妹「えと、『暇つぶしだよん』って」
友「あー…、なんか、語尾の"ん"のとこに、ほのかな憤りを感じるわー」
妹「は、はは…」
友「んでさ、死神のあんたは、いつ帰んの?ここあたしん家だしさ、さっさと帰ってもらいたいんだけど?」
死神「ばーか、あたしは今、そっちの子に憑いてんだから、いつ帰るのかはそっちの子次第だよ」
友「なんて言ってんの?」
妹「え?あ、えと、その、今死神さん、あの、…あたしにとり憑いてるみたいだから、あたしが帰ったら一緒に帰るって」
友「ふうん」ジロッ
妹「あ、あの…」
友「…悪いんだけどさ、2人とももう帰って?」
妹「え?」
水泳部「お、おい…、友ちゃん」
友「ごめん、あたし気分悪くなっちゃった」
妹「友ちゃん……」
死神「きゃははははははは!人間が怒った!人間が怒ったー!!」
妹「うるさい!あなたは黙ってて!」
友「うるさいのは、妹ちゃんあんたよ!?」
妹「…え?!」
水泳部「友ちゃん……」
友「なによもう!なんなのよこれ!あたし頭おかしくなりそう!」
妹「ごめん友ちゃん!でも!」
友「でももへちまもないよ!あんたが帰ったら、この変なのは全部なくなるんでしょ?だったら、もう帰ってったら、帰って!?」
妹「友ちゃん……」
水泳部「行こっか?妹ちゃん」
妹「うん」
友「な、なによ…。二人して見つめ合っちゃったりしてさー」
妹「え?」
水泳部「…友ちゃん?」
友「いいもん、いいもん!どうせあたしなんか、あたしなんか!」
死神「きゃははははははははは!!た―――の―――し――――い――――!!!」
妹「もう!!!!」
友「うるさい!ばかー!もう帰れ――――――――!!!!!」
妹「え?あの!えと!違うの!あの…、これは…」
水泳部「もう行こ?」
妹「うん…あの、友ちゃん、また明日ね?」
ガチャ…、バタン
友「べーた!!!」
友「……」(なによもう!、男君が死んじゃった日に、あの子ったらもう水泳部君に鞍替え?)
友「……」(ふんだ、馬鹿にすんじゃないわよ!)
友「……」(そいえば、水泳部君って妹ちゃんのことが好きだって言ってたよね)
友「……」(あーあ、あーあ、あーあ…)
友「……」(…あたしのこの3年間って、何だったんだろ?)
友「……」(ホントに馬鹿みたい…)
友「……」
友「……」(そいえば、もう、みんな駅に着いた頃かな?)
友「……」(あ、あたしの旅行の荷物って、男君の所に置きっぱになってる?)
友「……」(妹ちゃんの服の洗濯、まだ終わってない…)
友「……」(…ま、いっか、もう全部明日でいいよ。いろいろあって、なんかだあたし疲れちゃった…。このまま寝ちゃおう)
友「……」
友「……」(あー、やだ、なにこれ?)
友「……」(胸がざわざわする…。すごい気持ち悪い…)
友「……」(……何やってんだろ?あたし)
友「……」(……妹ちゃん、今日ずっと泣いてたじゃん…。)
友「……」(……あたし、最低だ)
友「……」
友「……」(……謝らなきゃ、妹ちゃんに)タタッ
ガチャ
―― 友宅前の通り
水泳部「これからどうする?」
妹「……男君のところに戻る」
水泳部「え?」
妹「荷物」
水泳部「あ」
ヒュ――――――――――――――ッ
水泳部「うわ、風、冷!」
妹「……」
水泳部「妹ちゃん、寒いだろ?これ羽織ってろ」
妹「あ、ありがと水泳部君」
水泳部「もうこんなに暗くなってる。…今日は馬鹿みたいに冷えるな、みんなもう帰ったかな?」
妹「……」
死神「くすくすくす!ホント、この人間おもしろーい」
妹「あんたのせいよ?」
死神「え?」
水泳部「え?」
妹「友ちゃん怒っちゃったのあんたのせいなんだからね?どうしてくれんの?」
死神「くすくすくすく、あたし知らないっと」
水泳部「その…ごめん」
妹「謝りなさいよ!」
水泳部「だから、ごめんて」
死神「ばーか、ばーか」
妹「な!馬鹿ですって?」
水泳部「あの、妹ちゃん?あの…何言って?」
妹「友ちゃんはね、小学生の頃からのあたしの大事な友達なの!ずっと仲良しだったのに!!!!どうしてくれんのよ!もう!謝ってよ!」
水泳部「妹ちゃん?」
死神「いちいち、うるさい人間だねー」
妹「うるさいって何よ!いいから謝って!!!!」
死神「いやでちゅ――――。きゃははははは!」
妹「むき――――――――――――!」
水泳部「おい!?妹ちゃん!?どうしたんだよいったい?!」
妹「あ、水泳部君……」
水泳部「しっかりしろよ」
妹「ち、違うの!だから死神が……」
水泳部「……」
ギュ…
妹「あ……」
水泳部「ごめん!妹ちゃん!!!」
妹「な?!!え?!!!…んぐ?!」
水泳部「……………………」
妹「…………………」
死神「うほ―――――――!!!すっげ――――――――!!!この男、キスしやがった―――――――――!!!!」
水泳部「…………………あ」
妹「……………」
水泳部「あ………、あの、その、ご、ごめん!」
妹「………」
水泳部「で、でも、俺、妹ちゃんのこと、ずっと!」
妹「………」
水泳部「こんなときに言うなんて卑怯かも知れないけどさ、俺!妹ちゃんのこと、この3年間ずっと……!」
妹「………」
水泳部「だから、俺!妹ちゃんのこと守りたいって!そう思って!」
妹「……水泳部君、痛い。…離して?」
水泳部「あ…その…ご、ごめ…」
妹「……」
水泳部「………あの、俺…」
妹「あたし、男君のところに戻るね?」
水泳部「あ、ああ…」
友「……」じーっ
友「……」
友「……」クルッ
友「……」タタタッ
死神「きゃははははは!すごく良い見世物だったよ?」
妹「……………………」(←顔真っ赤)ズカズカズカ…
死神「いいじゃん!いいじゃん!青春だよ、青春!!!ぷ―――――――――っ!!!!」
妹「もう!!!!!!!!!!!くぁwせdfrgthyんじゅmき、ぉ。p;:¥!!!」
水泳部「!?」ビクッ
死神「きゃはははは!何語?」
妹「もー!!!!!あたしに付きまとわないでよ――――――――――!!どっか消えてよ―――――――――!!!!」
死神「きゃはははははは!たのしいー!」
水泳部「あ、ごめん…俺…」
妹「え?あ!ち、違うの!あの、水泳部君のことじゃなくて…」
水泳部「あのさ、さっきは、ホントにごめん、悪かった」
妹「えと…あの…」
水泳部「俺、妹ちゃんの気持ちとか、全然考えずに突っ走っちゃって…」
妹「え?あの…、だから、違…」
水泳部「ごめんな、俺、先に行くわ!」ダ―――――――――ッ
妹「ああ!?待って?」
死神「か―――――!?悪ぃ女もいたもんだね―――――?泣いてたよ?あの坊や」
妹「坊やって…」
死神「もうマジ泣き!きゃははははははは!」
妹「やだ、どうしよう…」
死神「ふん、もうどうするもこうするもないよ、どうせあんただって今夜限りの命じゃん?」
妹「え?」
死神「最期に青春できて良かったじゃん?きゃはははははは!」
妹「あ、あの?だから、今、夜限りって…?」
死神「くすくすくす、あんたすっごい面白いから教えてあげる。あんたはね今夜死ぬんだよ?」
妹「え?」
死神「あたしら死神にはさ、あんたら人間の、残りの寿命が見えるんだよ。きゃははははははは!」
妹「え?あ?あの!あの!?」
死神「ん?なぁに?」
妹「あの、あ…あたし、死ぬの?」
死神「そうだよ!あんたはね、今夜、殺されるんだよ。きゃははははははははははは!」
妹「…え?」
死神「あー、たのしー!」
妹「……イマ、コイツハ、ナンテイッタ?」
妹「……アタシハ、コンヤ、コロサレル?」
妹「ええええええええええ!!???あ、あの!?な!なんで!?どうして?どうして!?」
死神「ふーんだ、教えてやらないよ」
妹「なによ!ねえ、ちょっと、教えてよ?あたしどうなるの?」
死神「さあてねえ?ま、この分じゃ明日の朝日は拝めそうにないねえ。くすくすくす」
妹「うそ…そんな……」
死神「ま、せいぜいあがきなって。きゃはははははは!」
妹「なにこれ?いったいどうなってるの?」
?「ウヌハ何ヲヤッテオル………………?」
妹「??!!!」ゾクリ
死神「いけね!近所のおじさんだ!?」
妹「え?え?え?」
?「我ハ、死ヲ司ル神ノ農夫ナリ……」
妹「…………………誰?」
死神「あ、あはは!やば…。じゃ、じゃあ、あたしは退散するよ!じゃあね!ばいばーい!」ばっさばっさばっさ
妹「え?何?何かが羽ばたく音?え?何?」
?「人ノ子ヨ…」
妹「え?」
?「人成ラザル者ノ声ヲ聞ク、人ノ子ヨ…………」
妹「え?あ、あの…あたし?」
?「其方ノ命ハ今宵デ終ワル…」
妹「……………」
?「其方ノ命ノ灯ガ消エ果テル時、我ハ再ビ現レヨウ………」
妹「……………」
?「全テヲ受ケ入レ、静カニソノ時ガ訪レルノヲ待ツガ良イ」
妹「……………」
?「サスレバ、其方ノ御霊ハ、我自ラ刈り取ッテ進ゼヨウ」
妹「………は、ははははは………えと…………本物?」
?「神ノ名ニオイテ、恐ミ恐ミモ白ス。……我ハ、死ヲ司ル神ノ農夫ナリ……」
妹「ちょっと待ちなさいよ―――――!!!!」
妹「なんなのよ…いったい!!!」
妹「かしこみかしこみって!あんたどこの人よ――――――――――――――――!!!」
妹「ぜい…、ぜい…」
妹「………」
妹「声が…聞こえなくなってる……?」
妹「あ…どうしよう?」
妹「うう。ぐすん、…とりあえず、男君の所に行こ…」
―― メモリアルホール 玄関
妹「……あ」
男友「あ、妹ちゃん!」
委員長「妹ちゃん!ぐす!ひーん」ヒシッ
妹「あ、ちょ…、委員長ちゃん?」
委員長「男君が…男君が…びえーん」
男君「俺らさ、ついさっき帰って来たんだよ」
妹「え?」
委員長「ぐす、ひぐ…雪でね、電車が全然動かなかったの」
妹「…えと、友姉さんと写真部君は?」
男友「友姉さんと写真部なら、いま水泳部のやつと一緒に広間のほうに行ってるよ」
妹「そう」
>>193名前が男君になってるし
男友「帰るのが遅くなっちまって、悪かったな」
妹「……」コクン
委員長「ひっぐ…ぐす…」
男友「水泳部とか、なんかすげえ元気なかったもんな。目にくまとか作ってよ…」
妹「……」
男友「………で、図書委員さんは?ここにはいないようだけど?」
妹「え?あ、えと…」
男友「二人ともさ、なんか携帯の電源切っちゃってるようなんだよ」
妹「……」
男友「朝のこともあるしさ、ちょっと心配だよね」
妹「……」
男友「特に図書委員さんなんか、俺らが強引に旅行に誘っちまったからなあ」
妹「……あの」
男友「ん?なんだい?」
妹「友ちゃんね、気分が悪いって言ってたから、多分お家で寝てると思う。図書委員さんは、お昼にはぐれたっきり分かんないけど」
男友「そっか」
妹「うん…」
委員長「…そう言えば、妹ちゃん、今朝と服変わってない?」
妹「あ?これ?うん、いろいろあってね、友ちゃんに、ちょっと借りたの」
男友「ふうん」
水泳部「…………」
友姉「…………」
写真部「…………」
男友「ああ、みんな来たみたいだな、おーい、こっちこっち」
水泳部「おっす」
男友「おう、妹ちゃん、戻ってきてるぞ」
妹「あ、ども…」ペコリ
水泳部「いや、ども…」ペコリ
男友「?」
写真部「あ、そう言えば、図書委員さん、夕方過ぎに一度ここに来てたみたいですね」
妹「え?」
水泳部「え?」
男友「え?」
委員長「え?」
友姉「え?」
写真部「え?あのう、男妹ちゃんに聞きませんでした?図書委員さん一人で来て、少ししてそのまま帰っちゃったみたいですね?」
水泳部「そうなの?」
写真部「ハイ、聞きましたよう。あのう、何ならもう一回聞いてきましょうか?」
水泳部「いや、いいよ」
友姉「あ、そう言えば、妹ちゃん、うちの友ちゃん知らない?」
妹「え?あ…、その」
男友「先に家のほうに戻ってるみたいですよ?」
友姉「そうなの?そこにあの子の荷物が置いてあったから私てっきり」
写真部「じゃあ、今夜はもうここで解散ですか?」
男友「そうだな、今夜は仮通夜だって言ってたから、あんまり遅くなっても悪いし、今日はここでお開きだな」
委員長「ぐす…とんでもない一日になっちゃったね」
妹「……………」
水泳部「……………」
友姉「あ、男友くん、そのう、お願いがあるんだけどね…」
男友「はい、なんでしょう?」
友姉「あのね、その、悪いんだけどね、妹の荷物を運ぶの手伝って欲しいかな、なんて言ったら、あの、迷惑かな?」
水泳部「だったら俺が、タクシー呼ぼ…むごう?!ふがふが!!!??」
男友「い、いえ!あの!ぜ、ぜぜん迷惑じゃあないっスよ!ええもうどんと来いっスよ!ははは」
水泳部「ふがふが」
妹「………」
写真部「…………」
委員長「んんん!」
男友「痛て!痛たたたた!なんだよ?委員長ちゃん?だから痛いって、耳ひっぱんなよ」
委員長「男友君、帰りに晩御飯奢ってくれるって言ってなかった?」ギリギリ…
男友「痛だだだだだだ!」
写真部「良いですよねぇ、男友君モテモテで。ね?水泳部君」
水泳部「……知らねえよ」
妹「……」(なんだかなあ、あんまりいつもと変わらないような、そうでもないような…)
妹「……」(男君がいないだけで)
妹「……」
死神『そうだよ!あんたはね、今夜、殺されるんだよ。きゃははははははははははは!』
?「其方ノ命ハ今宵デ終ワル…」
妹「……は?!……」
妹「……」ぶんぶん
妹「……」(考えちゃダメ!考えちゃダメ!)
委員長「あ、そうだ、どうせだから、みんなで行こ?」
男友「ええええ?」
委員長「なによ」
友姉「そうねえ、どうせだからみんなも一緒にうちに来る?」
委員長「ねえ、水泳部君はどうする?」
水泳部「あ、いや、俺は……」チラ
妹「…!」
妹「……」サッ
水泳部「あ……」
写真部「行きましょう!行きましょう、水泳部君!友さんのお見舞いも兼ねて!レッツゴーですよ」ぎゅ
水泳部「むぎゅ?!だ!抱きつくな!な…、何なんだよ、お前は?」
写真部「いやあ、友情ですよ、友情パワー」ギリギリ…
水泳部「ぐ?!引き剥がせねえ…なんてパワーだ…」
委員長「ねえ、なんでこんなヤツ旅行に呼んだの?」ヒソヒソ
男友「……だから何度も言っただろ?俺は知らん、文句なら男に言ってくれ」ヒソヒソ
委員長「……男君っていったい」
妹「……」(そ、そうよね、なんか変だなーと思ったら、いつも見てた景色には写真部君はいなかったのよね……うん……)
友姉「……それじゃ行きましょうか?」
妹「あの、あたしは…」
水泳部「……」
委員長「あんたも行くんでしょ?」ギリリ…
妹「い…痛ひゃいれふ…はい…行きひゅ……」
水泳部「……ほ……」
水泳部「ところでな…写真部」
写真部「はい、なんでしょう?」
水泳部「そろそろ、離せ?」
写真部「やだなあ、友情ですよ、友情」ギリギリ…
水泳部「くっ!?……」
―― 友宅前
妹「…あ、ここって…」
委員長「ん?どうしたの?妹ちゃん?」
妹「え?ううん?なんでもないよ」
妹「ここってさっき…」
水泳部『こんなときに言うなんて卑怯かも知れないけどさ、俺!妹ちゃんのこと、この3年間ずっと……!』
水泳部『だから、俺!妹ちゃんのこと守りたいって!そう思って!』
妹「……………………!!!???」(←顔真っ赤)
妹「……」(やだ…思い出しちゃった) (←顔真っ赤)
妹「……」チラ
水泳部「…!」
水泳部「……」サッ(←顔真っ赤)
委員長「……ねえ、何?この桃色空気」ヒソヒソ
男友「……さあな、あとで水泳部に聞いとくわ」ヒソヒソ
―― 友宅 玄関
友母「あら、みなさんいらっしゃい」
男友「こんばんわです」
水泳部「ちいっす」
妹「こんばんは」
委員長「こんばんは」
写真部「今晩はです。ははは。いやー、ここが友さんの家ですかー。んん!実に素晴らしい!」
委員長「…………」
友姉「あ、あの、ごめんねお母さん、今日は…」
友母「うん、聞いてるよ。私もパートの後で行ってきたからね。…旅行、残念なことになっちゃったね?
友姉「うん……」
友母「ホントに、…こういう機会って滅多にないんだから、あんたたちだけでも楽しんでくればいいのに」
男友「まあ、どうしてもそういう気分にはなれませんよ」
友母「そうかい?いい子だね?あんたたち」
委員長「それで、友さんは御在宅でしょうか?」
友母「え?友ちゃんは?一緒じゃないの?」
妹「……え?」
友姉「まだ帰ってないの?」
友母「まあ、あんたたちと一緒じゃないってことは、どこ行っちゃったんだろうね?あの子」
男友「妹ちゃんさ、友ちゃん気分が悪いから家で寝てるって言ってなかったっけ?」
妹「……うん」
水泳部「……」
友母「まあ、玄関先で立ち話も何だからさ、とりあえず上がってもらいなさいよ?」
友姉「そうね、じゃあ、みんな上がって?」
妹「あの!」
友母「ん?」
妹「あたし、ちょっとその辺見てきます!」
男友「妹ちゃん…」
妹「男友君、荷物お願い」
男友「わっと」
友姉「あ、ちょっと妹ちゃん!?ああ、もう行っちゃった」
水泳部「俺!」
男友「どうした?」
水泳部「俺も行ってくる!時間も時間だしな。じゃあな」タタタッ
委員長「あー…、行っちゃった」
男友「……」
委員長「………」
友姉「………」
委員長「ね?ね?どう思う?」ヒソヒソ
男友「…う~ん、よく分からんが、ちょい微妙だな」ヒソヒソ
友姉「そうねえ、妹ちゃんの様子おかしかったもんねえ、あの2人…男君のことは別にして」ヒソヒソ
委員長「図書委員さんのことも少し気になるよね?」ヒソヒソ
友母「何々?お母さんも混ぜて?」ヒソヒソ
写真部「友さんどこ行っちゃったんですかねえ?」
―― 友宅前 大通り
妹「友ちゃん、どこいっちゃったんだろ?」
水泳部「妹ちゃん」タタタタタッ
妹「あ、水泳部君……」
水泳部「……」
妹「……」
水泳部妹「あの」
妹「!」
水泳部「!」
妹「水泳部君から、どうぞ?」
水泳部「い、いやいや、妹ちゃんから、どうぞ?」
妹「いや、あの、その…ただ単に…ね、あの、どうしたのって?聞こうと思って…その…」ゴニョゴニョ (←顔真っ赤)
水泳部「お、俺は、友ちゃん探すの手伝おうと思って…その…」ゴニョゴニョ (←顔真っ赤)
妹「……」
水泳部「……」
妹「…保留にしよ?」
水泳部「え?」
妹「水泳部君が、あの、あたしに言ったことさ、…その、全部保留にしよ?」
水泳部「……言ったことって…あ……」
妹「あのね、あの…、あたしね、今日、いろいろあったから、頭の中がぐちゃぐちゃしててよく分かんなくなってるの、だから全部保留にしよ?」
水泳部「……」
妹「ダメかな?」
水泳部「……ふう」
妹「……」
水泳部「OK、保留にしとこうや」
妹「ホント?」
水泳部「つか俺もごめん、俺もなんかいろいろあり過ぎで、頭の中がわけわかんなくなってるしさ、今度全部最初からやり直させて?」
妹「くす、そうだね」
水泳部「じゃあ、また今度仕切り直しだな。友ちゃん探しに行くんだろ?行こうぜ!」
妹「うん」
死神『そうだよ!あんたはね、今夜、殺されるんだよ。きゃははははははははははは!』
?『其方ノ命ハ今宵デ終ワル…』
妹「……」(あたし、…今度ってあるのかな?)
―― 大通り
妹「友ちゃん、どこだろ?」
水泳部「心当たりないの?」
妹「うん、えと…」
水泳部「もうだいぶ遅くなっちゃったな」
ジャンジャンシャカジャンシャカシャカ…
妹「水泳部君の携帯鳴ってない?」
水泳部「ん?お、男友からメールだ、何々?」
from:男友
to:水泳部
件名:連絡しろや
本文:友ちゃんいた?
遅いから俺らそろそろ帰るべーよ。
妹「…まだ友ちゃん帰ってないっぽいね?」
水泳部「妹ちゃん、ちょっと待ってて」ピッピッピッ
プルルルルルルル…………プッ
男友『よう水泳部?メール見た?今どこ』
水泳部「いま、4丁目の大通り」
男友『そりゃまたずいぶん遠くまで出たんだな。あ、そうそう、友ちゃん、まだ家には戻ってきてないんだけどさ、
ずいぶん遅くなっちゃってるから、俺ら、もうそろそろ帰ろうかと思ってさ』
水泳部「そっか」
男友『なんかわかったらさ、何時でもいいから連絡頂戴?』
水泳部「わかった」
男友『んでさ、今、妹ちゃんも一緒?』
水泳部「ん?ああ、いるよ」
男友『……』
水泳部「ん?どうした?」
男友『いやー、まさかとは思うけどさ』
水泳部「なんだよ?」
男友『……………襲うなよ?』
水泳部「……#」
男友『おい、どうした、なあ?黙るなよ?』
水泳部「………お前さぁ」
男友『ん?どした?』
水泳部「明日、殴るから。絶対。…な?」ピッ
ツ――――――――ツ――――――――ッ
水泳部「あの馬鹿……」ギリリ
妹「ど、どうしたの?水泳部君、怖い顔して…」
水泳部「や、なんでもないよ。ははは」
妹「?」
ジャンシャカジャンシャカ…
妹「あ、今度はあたしの携帯にメールだ…誰からだろ?…………あ、委員長ちゃんからだ」
妹「えと…………」
妹「……………」
水泳部「……あの、メールの内容、聞いていい?」
妹「…見る?」
水泳部「え?見ていいの?」
妹「うん」
from:委員長
to:妹ちゃん
件名:男はみんなスケベ
本文:心の隙を見せちゃダメ。いい?絶対信じちゃダメよ?
危なくなったら玉蹴とばして逃げて?
てか、もう手遅れだったりして。きゃ――――――もうエッチ!
妹「…あの、これ、どうしたらいいと思う?」
水泳部「……俺って、どんな奴なんだろ?」
妹「今何時かな?」
水泳部「もう日が変わっちまう時間だぞ?」
妹「どうしよう」
水泳部「……警察に行くか?」
妹「えええ?警察とか、そんな大袈裟だよ……」
水泳部「でも何かあってからじゃ…」
妹「そう言えば…」
水泳部「どうしたの?」
妹「あのね、あたしのお姉ちゃんから聞いたんだけどさ」
水泳部「?」
妹「学校…」
水泳部「学校?」
妹「うん、うちの学校って屋上出られないじゃん?」
水泳部「うん、それがどうしたの?」
妹「屋上にね、出られるところがあるの」
水泳部「……?」
妹「前にね、一度だけ、友ちゃんと一緒に屋上に出たことがあるの」
水泳部「……」
妹「すごい眺めがいいからそこかなって」
水泳部「こんな時間に?」
妹「分かんないけど……」
水泳部「……」
妹「……」
水泳部「ちょっとだけ行ってみる?」
妹「え?」
水泳部「そこがもしダメだったら、警察へ行こう」
妹「…………………うん」
―― 学校前
水泳部「ひゃー風が寒み――――――――――――!」
妹「……」キョロキョロ
水泳部「もう、日が変わっちまったな…とりあえず男友にメール送っとこっと」ピッピッピッ
from:水泳部
to:男友
件名:友ちゃん見つからねえ
本文:どこにもいねえ。いま学校のほうに来てる。
ここがダメなら警察行くから
水泳部「ほい、送信っと」ピッ
妹「ここから入れるかな?」ガチャガチャ
水泳部「うわ、妹ちゃん?正門をよじ登ってるし…って、あ」
妹「ん?どうしたの?」
水泳部「いや、なんでもないよ。ははは」
妹「分かんないけど、ここにいるような気がする。ね?水泳部君も行こ?」
水泳部「…あ、ああ」(…まさか、妹ちゃんの、ぱ、ぱんてーが見えてるなんて言っちゃいけねえよな、うん。縞々だ。ちょっと得した気分かも。
あ、まてよ、そういや、妹ちゃんて、夕方、友ちゃんの家でお風呂入って着替えたからあれは友ちゃんのぱんてーか、……ちょい複雑な感じだな)
妹「なにぐずぐずやってんのよ!ねえ、行こ?」
水泳部「お、おう」(いかん、いかん!)
水泳部「それ!」バッ……フワッ
水泳部「ほい、着地と」クルクル…タッ
妹「わ、水泳部君すご。ひらりって飛んじゃったね?」
水泳部「まあ、なんでもいいよ。行くんだろ?」
妹「うん」
―― 校舎前
水泳部「どこも鍵かかってるんじゃねえのか?」
妹「理科準備室の窓の鍵が壊れてたはず」
水泳部「そうなの?」
妹「あ、ここだ。よいしょっと」
ガラ
水泳部「……なんという不用心な」
妹「さ、入ろ?」
水泳部「待って、俺から入る」
妹「え?」
水泳部「よっと」(そうしないと、角度的に妹ちゃんの縞々ぱんてーが見えるだろうからな…、いや、ここは先に行ってもらったほうが良かったのか?)
妹「水泳部君て身軽なのね」
水泳部「いやぁ、そうでもないよ」(…忘れろ、もったいなくない、もったいなくない)
水泳部「じゃあ手を出して?引き上げる」
妹「よいしょっと」
水泳部「……」
妹「ふう、何とか入れたね」
水泳部「……」
妹「ん?どしたの?」
水泳部「いや、なんでもないよ」(妹ちゃんの手を握ってしまった、妹ちゃんの手を握ってしまった…)ドキドキ
妹「……えと、あっちが音楽室だから…」キョロキョロ
水泳部「……で、どこから屋上に上がれるんだい?」
妹「放送室」
水泳部「放送室?」
―― 放送室前
水泳部「ふう、なんとか見つからずに来れたけど」
妹「ここの鍵ってね、もうずっと壊れてるの」
ギイ…
水泳部「ありゃま」
妹「でね、この奥にもうひとつ扉があるんだけどね、そこには鍵が付いてないの」
水泳部「へえ、よく知ってんなあ」
妹「この扉なんだけどね」
ギイ…
水泳部「扉の奥が階段になってら」
妹「この階段の向こうがね屋上なの」
ガチャ…ギイ…
水泳部「あ…向こうに誰かいる?」
妹「え?…あ!」
友「……え?」
妹「友ちゃん?」
水泳部「ホントだ、友ちゃんだ……」
友「…妹ちゃんと、水泳部君?」
妹「友ちゃーん!」タタタタッ
水泳部「あ…」
友「……」
妹「どうしちゃったの?こんなところでさ、あたしらすっごい心配しちゃったんだから」
友「……こっち、来ないでよ!!!!!」
妹「友ちゃん?」
友「嘘つき…」
妹「……え?」
友「ぐす…、えぐ…、妹ちゃん、男君が好きだって言ってたくせに、ううう、ひっぐ、水泳部君とキスしてた……」
妹「え?」
水泳部「え?」
友「嘘つき…ひぐ…ぐす…」
妹「え?あ?そ、あ、あの……」
水泳部「え、う、あ、あの……その……………」
妹「えええええええええええええ?!あ、あの…見てたの?!!!!!!!!!」(どしぇえええええええええええええええ?!!!)
水泳部「あの…友ちゃん…」
友「ぐす…あたし!ずっと、ずっと、水泳部君のことが好きだったんだから――――――――――!!!!!」
妹「友ちゃん?」
友「この旅行で絶対言おうって決めてたんだから!!!!それが…それが…ぐす…男君の馬鹿が勝手に死んじゃうから全部台無しになちゃったじゃない!!!」
水泳部「友ちゃん……」
妹「……ねえ、ちょっとそれ何よ!?」
水泳部「…?!妹ちゃん?」
友「ふんだ!」
妹「じゃあ何?!男君が悪いっての?!」
友「そうよ!全部男君が悪いんじゃない!あの馬鹿が死んだおかげで、あんたは水泳部君と、くっ付いてさ、幸せハッピーエンドだもんねえ!!!」
水泳部「……」
妹「……ねえ、友ちゃん?あんた何言ってんの?」
友「いいわよねー。みんなに大事にされてさ。あたしなんか全っ然蚊帳の外じゃん」
妹「……」
友「それが何?ちょっと憧れの男の子が死んじゃったら、寂しい寂しいで、もう次の男の子に鞍替え?は!笑っちゃうわ」
妹「……」
友「まるでメロドラマのヒロインだよねー?いいよねー可愛い子は。すぐに他の男が寄ってくるしさー」
妹「……」
友「とっかえひっかえだよねー」
妹「……」
友「なになに?心の揺らぎでちゅかー?心境の変化が見え隠れでちゅかー?最後には、男君ごめんねーになるんでちゅかー?」
妹「……」
友「…って、数年もしたら妹ちゃんは男君のことなんて全然思い出さなくなってさ、初恋の良い思い出に変えちゃうんだよねー?」
妹「……っさい!」
友「あーあ、可哀そうな男君、思い出にかわる君。ホント素敵。キラキラよ?キラキラ?」
妹「うっさい!!!!」
友「なんでちゅかー?メロドラマの悲劇のヒロインたん!」
妹「うっさいって言ってんのよ!!さっきからあんた何言ってんのよ!!馬鹿じゃないの!!!!!?」
友「だってホントのことじゃん!あんたがあたしを裏切ったんじゃん!この嘘つき!!!馬鹿―――――!!」
妹「友ちゃんなら…あたしの気持ち分かってくれてるって思ってた…」
友「ん?」
妹「ずっと…分かってくれてるって、あたしずっと思ってたのに……ぐす……」
友「どうちたのー?今度は泣き落しでちゅかー?」
妹「あんたが、水泳部君のこと、この3年間!中学入ってからずっと好きだったことぐらい知ってるよ!」
友「ほーら言った、あたしの気持ち知っといて!この嘘つき!裏切り者!!」
妹「でも、ぐず…だったら!あたしの気持ちはどうなんの?幼稚園のころからずー――――――っと想ってたあたしの気持ちはどうなんのよ!!!!!」
水泳部「…え?妹ちゃん?」
妹「10年!もう10年だよ!!!!ぐす…それなのに……ぐず…うう…!やっと、…やっと、去年、ちょっとだけ普通に話せるようになって、
そんで今年の初めに卒業旅行の約束こぎつけて、絶対告白するんだって決心したら、そしたら死んじゃうんだもん!!!!うえええええええ!!!!」
友「あ……」
妹「どうするの?どうしたらいいの?あたし!!!!!!うええええええ!!!!」
水泳部「妹ちゃん…」
友「…は…はん!そう言えば、可哀そうって思うって思った?…馬鹿じゃないの?」
妹「ううう…う…ぐ…ぐす…ひぐ…ひっぐ……ぐす…ひっぐ…っうう………ぐす……」
友「はいはい、10年間もお疲れ様でちたねー?10年間もずーっと片思いでちゅかー?どんだけメルヘンなんでちゅかー?
ヤンデレなんて目じゃないでちゅねー。まるで地雷でちゅねー?ラリってんじゃないの?ばーか!」
妹「ぐす…ひっぐ…ひっぐ…う…ぐ…ぐす…ふぎ、っぐ…ひっぐ……」
友「想いを遂げられずにいる人なんてね、それこそ星の数ほどいんのよ!あんただけじゃないんだからね?!
それが何?まるで悲劇のヒロインみたいにさ!!!ふざけんじゃないわよ!!」
妹「ぐすひっぐ…う…ぐ……ひぐ…」
友「どうちたんでちゅかー?」
妹「うるさいばかー!!!あんたなんかもう知らない!!あっちいけー!!!びええええ」
友「ああ、もう、うるさい!うるさい!」
水泳部「あ…、あいつら、あんな端っこで!」
妹「あたし!悲劇のヒロインなんかじゃないもん!違うもん、そんなんじゃないもん!
中学、卒業したらもう男君と会えなくなるから、その前に男君に好きって言いたかっただけだもん!」
友「はいはい」
妹「あたしまだ何にも言ってなかったんだよ?!ね?どうしたらいい?ね?教えて友ちゃん?」
友「だったら死ねばー?」
妹「……え?」
友「そんなに好きだったらさー、死んであの世で男君と一緒になればいいじゃん!うん!ナイスアイディア!」
妹「……」
友「どうなの?…死ぬの?」
妹「……」
友「そうね、ここから飛んだら死ねるんじゃない?」
妹「……」
友「さ、どうすんの?」
妹「…ごめん、無理」
友「ほら見なさい、ほら見なさい、この意気地無し。所詮その程度の想いだったってことじゃん?」
妹「……………」
友「何か言ってみなさいよ?」
妹「…死ぬのは、違うと思う、から……」
友「ばーか、なに綺麗事言ってんのよ?単に怖いだけでしょ?だったら意気地無しのあなたは、あたしが飛ばしてあげる!!!!!」
ドンッ
妹「あ」グラッ
水泳部「あ」
友「………あ」
死神『そうだよ!あんたはね、今夜、殺されるんだよ。きゃははははははははははは!』
?『其方ノ命ハ今宵デ終ワル…』
妹「…え?あ…れ?…これの…………こと?」フワ…
水泳部「間に合え!!」ダダダダダダダダダダ!
友「え?………水泳部君?」
水泳部「間に合え――――――!!!」ダダダダダダダダダダダダダダダダダタダ!
妹「あ」
水泳部「これが間に合あったらァアアアア―――!俺、今年のサマージャンボ当たるぅうううううううううう!!!」ダダダダダタダダダダダダダダダ!!
水泳部「ぬはあ!!!!!!」 タ ン!!
友「あ…飛んだ!?」
妹「え?水泳部君?」
水泳部「このまま!!!!!!届け俺の手!!!」
妹「落ち…」
水泳部「よっしゃ!届いたぁ!!!!」
妹「え?」
妹「あ…」
水泳部「って、あ、あれ?」
妹「ええええええ?」
水泳部「届いたのは!!!!…縞々ぱんてーの端っこだった―――?!!!のわ―――――――――?!!!」
妹「ぎゃ――――――――!!!!???落ちる―――――――――!!????」
友「!!!???落ちた?!二人とも、落っこちちゃった??!!!!」
友「あははははは、馬鹿みたい」
友はは……」
友「……」
友「……」
友「……」
友「……なにこれ?」
友「…あたし、なにやってんの?」
友「あ…あたし、妹ちゃんを突き落としちゃった?!」
友「この手で、妹ちゃんを殺しちゃった?!!!」
友「水泳部君も飛び降りちゃった…」
友「うそ?」
友「やだ…」
友「ねえ、こんなの絶対おかしいよ」
友「絶対違うよ」
友「こんなのあたしじゃない…」
友「そうだよ…ホントのあたしはお家でベッドで寝てるんだよ」
友「もう夜遅いもんね」
友「ちょっと星が見たかっただけだもん」
友「妹ちゃんに教えてもらった秘密のこの場所で星を見ながら物思いにふけってただけだもん」
友「この場所のこと知ってんのはあたしと妹ちゃんと図書委員さんだけなんだもん」
友「なんなのよ、これ?」
友「これが結末なの?」
友「…誰か…誰か答えて…どうしたらいいのあたし?」
友「だって、妹ちゃんが悪いんじゃない、あたしの気持ちを知ってて裏切ったんだもん」
友「でも、友ちゃんだって言ってたじゃん10年間も片思いやってたって。そんな子が裏切ったりする?」
友「キスしてたじゃん」
友「それに妹ちゃんが好きっていってた男の子って、あの男君よ?そんなにいい男?」
友「水泳部君のほうがずっと格好いいじゃん、背も高いし、優しいし」
友「きっと、妹ちゃんだってそのうち水泳部君のほうが良いって言い出すに決まってる」
友「あれ?水泳部君も今、落っこちてっちゃったよね?」
友「この高さだと助からないよね?」
友「なんだ、あたし妹ちゃんと同じになっちゃったんだ」
友「ははははははは、なんか、おかしー」
友「あれ?何これ?頬が濡れてる?」
友「これ…涙?あたしの涙?」
友「ひ…膝に力が入らない……」
友「わ」ペタ…
友「あー……」ショワーーーーーーーーーーーッ
友「あたし…おしっこもらしちゃってる?」ショワーーーーーーーーッ
友「何これ?…勝手に出ちゃってる?」ショワーーーーーーーーーッ
友「うそ…やだ…なにこれ?」
友「…………ぐす…」
友「…ぐす…うぐ…ひっぐ…」
友「びええええええええええん」
友「ひぐ……ひぐ…………」
水泳部「お~~~~~~~~~~~~~~~~い」
友「!!!!???」ビックゥ!!!!
水泳部「友ちゃ~~~~ん、助けて~~~~~~~~~~~~!!!」
友「何、この声?」
友「………………」
友「あ…」
水泳部「ここだよう~助けて~~」
友「水泳部君が………片手で木の枝に引っ掛かってる…………………」
水泳部「うう、もう限界かも…」
友「引っ掛かってる水泳部君が、反対側の手で持ってるのは……」
妹「うう~ぐす…ひっぐ…すんすん…なにこれ――――――!!!もうやだ―――――!!!」
友「あ、…あれ、あたしの縞々パンティ?縞々パンティが、妹ちゃんのくるぶしに引っ掛かって、妹ちゃん逆さづりになってる………………なにこれ?」
水泳部「あ、友ちゃん!下の階の窓を開けてくれると非常に助かるんだけど?」
友「ははははは…はははははははは…」ショワーーーーーーーーーーーッ
―― 5分後 3階 1年B組教室
友「妹ちゃん?もすこし手を伸ばして?」
妹「うん…よ」
友「あ、届いた」
妹「まだ!離さないで?」
水泳部「ぐ、OK」
ずり
び―――――ッ
妹「千切れる?離さないで?離さないで?離さないで?離さないで?離さないで?離さないで?離さないで?離さないで?離さないで?離さないで?離さないで?」
友「はい、こっちの窓枠を持って?」
水泳部「ゆっくりゆっくり」
妹「ひいっ」
友「よし」
びりりりっ…
水泳部「あ、ぱんてー千切れた?」
妹「はふう?」ガクン
友「わわわわ」
水泳部「妹ちゃん?」
友「大丈夫、受け止めた、さ、妹ちゃんこっちによじ登って」
妹「う…うん」
水泳部「ほ、………………む?」
友「ん?どうしたの?水泳部君?」
水泳部「いや、なんでもない」(まさかむき出しになった妹ちゃんの割れ目が月明かりに照らされて
バッチリ見えたことなど言えるはずがなかろう。しかもこの非常時に俺は何を考えてるんだ?)
妹「………………ふう、ああ、し…死ぬかと思った」
友「水泳部君はどうするの?」
水泳部「俺はこのまま木を伝って下りるよ、そいじゃあとでな~」ヒョイヒョイ
妹「あ、水泳部君身軽…」
友「……」
妹「……」
友「ひっぐ…うう…うッぐ…」ペタン…
妹「…友ちゃん?」
友「………ごべんね、ごべんね…妹ぢゃん…あだし…う…うひぐ…ひどいごどじぢゃだよね?」
妹「友ちゃん……」
友「怖がっだ…ずごい怖がっだよう…もうごんなのやだ…もうぜっだいじない…ひぐ…う…ううううううう…ごべんね?」
妹「…うう、ぐす…」ペタン…
友「……あだじぼ妹ぢゃんの、ぐず…ぎぼぢ…あだじ…じっでだのに…ごべんね?」
妹「ぐず…ひっぐ…ひっぐ…」
友「ひっぐ…うう…うッぐ…男君、ぼう、がえっでごないのに、ひどいごど言っで、ごべんね?」
妹「………あだじぼごべんね?友ぢゃんのごと、もっど大事にずるね?うううぐうう…ひぐ…うう…」
友「う、はだが…、ずーっ、鼻が出るよう…へ、えへへへ」
妹「あだじもはだが…ずー、鼻が出てる…同じだね、へへへ」
友「ぶええええええええん、ひっぐ、ひっぐ…」
死神「…ねえ、おじさんさ。これって、運命変わってる?」
?「……」
死神「あの…、おじさん?」
?「アノ者ノ死スル場所ハ、ココニ非ズ」
死神「え?ここじゃないの?」
?「アノ者ハ今宵、駅デ死ヌル筈デアッタ…」
死神「駅?」
?「突キ落トス場所モ、時スラモ変ワッテオル…」
死神「あのう…、それってひょっとしてあたしのせいだったりして?」
?「……」
死神「…あはは、うそうそ!そんなはずないよね?だってさ、あたし何にもしてないじゃんね?」
?「ウヌニハ罰ヲ与エル…」
ガシャコ… ギラリ
死神「げ――――っ!?あ、あはははっ、じゃ、じゃあね、おじさん。あ、あたし先に帰るね?」ばっさばっさ
?「チョット待テ…」ガシッ
死神「え?あ、ちょ…?お、おじさん?…い!?痛い痛い痛い痛い!!!!ぎゃ――――――――――――!?」
?「…人成ラザル者ノ声ヲ聞ク人ノ子ヨ、…拾ッタ命、大切ニスルガ良イ…。何時カ其方ノ命ガ再ビ尽キ果テル時、我ハ現レヨウ。我ハ死ヲ司ル神ノ農夫ナリ…」
死神「痛い痛い痛い!!!ぎゃ―――――――!!!いやー――――――??!!誰か―――――!!!??助けて―――――――――!!!!!」
水泳部「よっ!」
妹「ぐす…、あ、水泳部君…」
友「ひっぐ、えっぐ、ぐす…ぐす…」
水泳部「あー、そのなんだ、もう夜遅いしさ、お前ら俺ん家泊っていけよ?」
妹「ぐず…え?」
友「えぐ…ひぐ…えぐ…ぐず…ずび―――」
妹「わ、友ちゃん?鼻が?」
友「べ?」
水泳部「…俺ん家さ、この学校のすぐそばなんだよ。今日は親父もいねえし。な?」
友「…あだじも?」
水泳部「いや、特にお前のほうだな。…悪いことは言わんから、風呂に入っていけ。な?」
友「……」コクン
妹「…ぐず…じゃあ、行こ?友ちゃん」
友「うん…えぐ…えぐ…ずび――――」
水泳部「…………………」
―― 水泳部宅
妹「え?…あの、ここが水泳部君ん家?」
水泳部「な、すぐ近くだろ?ボロいアパートでがっかりしたか?」
妹「近くって言うか、校門のすぐそばじゃん…なにこれ?」
水泳部「学校のすぐ近くだからさ、学校帰りとか、みんなでたむろすんだよな」
妹「ふうん、へえ」
水泳部「友ちゃんもさ、そんなとこに突っ立ってないでさっさと入ってこいよ?」
友「おじゃばじばず……」
水泳部「じゃあ、これとこれ!これを使え」
友「わぶ?…え?あの…ぐず…ごれ?」
妹「あの?」
水泳部「風呂!お前らすぐに入っとけ!お前らさ、そろってボロボロだぞ?鏡は………見ねえほうが良いな、うん」
妹「あ」
友「ぐず…ずび――――――――――」
水泳部「すまんが女もんの下着はうちにはないんだよ。うち母さんいないから」
妹「え?」
水泳部「よくわかんねえけど若いころに離婚したんだってさ、ほら、これまだ封開けてない新品だから、男もんで悪いけど使ってくれ」
妹「あ、トランクス……」
友「……」
水泳部「お前らの着てるもんは洗濯機の中に入れとけ。ばーか、見ねえよ」
妹「うん」
友「……水泳部君のパンツ」ドキドキ
妹「…あの?…友ちゃん?」
―― お風呂
シャ――――――――――――――――――――――――――――――――ッ
妹「お風呂、狭いね?」
友「うん、でも綺麗にしてるね?」
妹「お湯、温かいね?」
友「うん……すごく気持ちいい」
妹「そうだね」
友「……」
妹「そいえばさ、水泳部君の家ってさ、こんなに学校のすぐ近くだったんだね、あたし全然知らなかったよ」
友「あたしは…知ってたんだけどね」
妹「へえ、そうなんだ…さすがだね」
友「……」
妹「あのさ、友ちゃん」
友「なあに?」
妹「あたしたちさ、この先もずっと友達だよね?」
友「……」
妹「……」
友「……」
妹「……ぐす…」
友「うん」
妹「え?」
友「うん。…あの、…ごめんね?」
妹「……うん」
友「あのね、妹ちゃん…」
妹「なに?」
友「妹ちゃんは、水泳部君のこと、どう思ってるの?」
妹「どうって…」
友「その…好きとか嫌いとか…」
妹「ん―――――――」
友「……」
妹「ごめん、友ちゃん、あたし男君以外のことよく分からないんだ」
友「え?」
妹「10年前にね、あたしのお姉ちゃんが海に落ちたことがあるの」
友「……は?」
妹「父兄参加の幼稚園の遠足。フェリーでね、ずっと沖の小さい島まで行ったの」
友「?」
妹「それでね、帰りのフェリーでね事故があったの」
友「え?事故?」
妹「うん、事故。漁船がフェリーに衝突しちゃったの」
友「……」
妹「ホントはね、実は漁船じゃなかったーとか、話もあるんだけどね、そういう話は今はこっちに置いといて」
友「…え?置いとくの?」
妹「うん、置いおくの」
友「……そうですか」
妹「でね、そのとき、あたしのお母さんの代わりに一緒に遠足に来てたお姉ちゃんがね、その時に海に落ちたの」
友「……」
妹「何人も海に落ちちゃったみたい。あたしももう詳しく覚えてないんだけどね」
友「……で、その話に男君は出てくるの?」
妹「それがなんと!出てくるのですよ」
友「…聞きましょうか?」
妹「でね、フェリーはどんどん傾いていってね、海に沈みそうになっちゃうの」
友「……」
妹「そのときさ、あたし遠足に、ぬいぐるみ持って行ってたのね」
友「え?ぬいぐるむ?」
妹「うん、今でもあたしの部屋にあるよ?クマさんのぬいぐるみ」
友「それで?」
妹「それがさ、今考えると子供だなあって思うんだけどね?お姉ちゃんが海に落ちちゃってるのなんて構わずに、あたしったらぬいぐるみを探すの」
友「………………ひどい妹もいたもんだね」
妹「だってさ、お姉ちゃんいなくなるし、トモダチのクマさん捜さなきゃ―って思って、あせってたのかな?あたし。もうよくわかんないや」
友「ふうん」
妹「そのときね、『これ君んだろ?』ってクマさんを持ってきてくれたのが男君だったの」
友「ほうほう、ついに出てきたね」
妹「あたしね、それからのことよく覚えてないんだけどね?えと、フェリーがぐるんと横にひっくり返って、ぼごぼご音がして、どっかに男君と一緒にしがみ付いて」
友「………………………………え?」
妹「なんかこうギラギラっと、光るぎざぎざの歯がたくさん生えてる、こーんなでっかい魚が近寄ってきて、それを男君が、板か何かでこんなうふにバシバシって叩いて追っ払って」
友「作ってない?」
妹「ん―――――――?さあ、どうだろ?ふふふ、もうあんまり覚えてないや。案外男君と一緒にびーびー泣いてただけかも」
友「……」
妹「それで、どれくらい待ったかな?かなり待った気がする。空の上からばらばらって音がして、ヘリコプターが来たの」
友「ふうん」
妹「ふふ、あたしたちね、ヘリコプターに乗って帰ったんだよ?幼稚園の遠足」
友「どこまでホントなんだか」
※PCがさるから復帰しません……。
妹「でね、後で分かったことなんだけどね?その事故のときにね、男君のお父さん、死んじゃったの」
友「…え?」
妹「サメに喰われたらしいって」
友「……それってさ、作り話でしょ?」
妹「ホントのところ、あたしもよくわかんないの。だって、そっから先は、お姉ちゃんの話になるんだもん」
友「え?」
妹「お姉ちゃんがね、自分を助けてくれた人がサメに喰われたって言ってたんだけどね、その事故で行方不明になっちゃったのは男君のお父さんだけなの」
友「あの…えと…あ…そういえば、男君って、お父さんいなかったっけ?」
妹「うん、男君のところ、お母さんと男妹さんの二人だけになっちゃった」
友「そう言えば、男君も、小さい女の子庇って、代わりに交通事故に遭ったって、お医者さんが言ってたよね、確か」
妹「……そうだっけ?」
友「案外、家系だったりして?」
妹「…そうかも」
※酉間違えた……末期かも
友「馬鹿だね?」
妹「……うん、ホント馬鹿」
友「ふうん、あの男君がねえ」
妹「あの事故からかな?男君とはあんまりっていうか、ほとんど話とか、してなかったんだけどね、あれからずーっと気になって。ふふ、やっぱ変だよね?あたしって」
友「それで今に至ると?」
妹「うん」
友「…もっと早く、男君に言えば良かったね?」
妹「うん……そうだよね……そうだよね……ぐす……」
水泳部「……」(あ、あのう……全部、ま…まる聞こえなんスけど……立ち入る隙は微塵もないっスか?俺)
―― 30分後
妹「ふう……」
友「ね?ね?このシャツ、水泳部君の匂いがする」ドキドキ…
妹「わ、トランクスって変な感じ…」
水泳部「よ」
友「え?あ……」
妹「あの、水泳部君、ごめん、なんか、長風呂しちゃったね?」
水泳部「いいよ、お前ら疲れたろ?俺も疲れたよ。もう寝ちまおうぜ?いい加減しないともうすぐ朝になんぞ?」
友「え?やだ、もうこんな時間?」
水泳部「今日はうちの親父帰ってこないってさ。俺は押入れで寝るからお前らは、こっちの布団使えよ」
友「あ、あの、家に連絡しなきゃ……」
水泳部「ああ、それなら、今さっき携帯に、友ちゃんとこのお姉さんからメールが来てたから、俺が返信しといた。まあ、大丈夫なんじゃね?」
友「え?」
水泳部「見る?」
from:友姉
to:水泳部
件名:友ちゃんいました?
本文:見つけたら連絡してください。お願いします。
友「お姉ちゃん……」
水泳部「で、こっちが俺の返事」
from:水泳部
to:友姉
件名:友ちゃんは確保しました。
本文:友ちゃんの身柄は確保しました。全然無事でした。
妹ちゃんも一緒です。
今日はもう遅いので、家に泊ってもらうことにしました。
大丈夫です。何もしてませんし、何もしません。
ホントです。ガチです。信じてちょんまげ。
友「……」
妹「信じてちょんまげって…、水泳部君」
水泳部「嘘は書いてない。つーかさ、友ちゃんさ、お前、携帯の電源切ってるだろ?」
友「ん?ああ、これ?じゃーん。なんと電池切れなのですよ」
妹「…………………」
水泳部「………………ああ、なるほど?」
友「この分じゃ、電源入れたらたくさんメールが来そうだね」
妹「そうだね…」
水泳部「はあ、もう俺眠いや、なあ、もう寝ようぜ?じゃあな」ゴロン
水泳部「…………」
友「あーあ、水泳部君寝ちゃったよ?」
妹「じゃあ、あたしたちも寝ちゃおうっか?」
友「そうだね…ふふっ、水泳部君の布団♪」
妹「……えと、スイッチこれかな?じゃあ、電気消すね?」
友「うん。えへへ」
パチ
妹「おやすみ、友ちゃん」
友「おやすみ、妹ちゃん」
水泳部「…………」
ブ――――――――――――――ン、ブ――――――――――――――ン
水泳部「ん?メール?………友姉さんから?」
from:友姉
to:水泳部
件名:RE: 友ちゃんは確保しました。
本文:よかったです。よかったですー。
それと、何もしませんじゃなくて、忘れられない夜にしてあげて☆
おねえさんからのお願い!
水泳部「…なんだこりゃ?」
水泳部「……」
妹「すーすー」
友「こーこー」
水泳部「………俺にどうしろと?」
―― 数時間後
水泳部「ふあ…んんんん!!!!!!!あ―――――――なんか、よく寝ちまったな……」
水泳部「…………」ぼ―――――っ
水泳部「ん?なんで俺、押入れなんかで寝てんだ?」
水泳部「………」
水泳部「あ……」
妹「す――――――、す―――――――」
友「す――――――、す―――――――」
水泳部「思い出した……、うわあ、なんて晩だよ?」
妹「す――――――、す―――――――」
水泳部「良く眠ってんな」
水泳部「……………」
妹「す――――――、す―――――――」
妹『10年!もう10年だよ!!!!ぐす…それなのに……ぐず…うう…!やっと、…やっと、去年、ちょっとだけ普通に話せるようになって………』
妹『あの事故からかな?男君とはあんまりっていうか、ほとんど話とか、してなかったんだけどね、あれからずーっと……………』
水泳部「…くっそー、男の野郎、モテやがんなー、勝ち逃げかよー?」
妹「す――――――、す―――――――」
水泳部「………」
水泳部「ま、いっか、泣いてたもんな妹ちゃん」
妹「ふあ」ゴロン
水泳部「あ!?」ドキッ
水泳部「わ…、妹ちゃん、寝返った拍子にシャツがはだけて…胸が……う……意外と…お…大きい?」
妹「むにゃむにゃ…」
水泳部「だ、ダメだダメだ。いかん、いかん、いかん、いかん、いかん、いかん」
水泳部「冷静になれ、冷静になれ、冷静になれ……」
友「……う…ん」ゴロ
水泳部「う……こ、今度は友ちゃん?……あ、あの?友ちゃん?…トランクスがずれてますよ?」
水泳部「それに あの、友ちゃん?お…お尻がかなり丸出しですよ?すいません、見えてますよ?後ろから全部見えてますよ?」
友「す―――――す――――――」
友『ぐす…あたし!ずっと、ずっと、水泳部君のことが好きだったんだから――――――――――!!!!!』
友『まるでメロドラマのヒロインだよねー?いいよねー可愛い子は。すぐに他の男のが寄ってくるしさー』
水泳部「あんなこと言わなくても、友ちゃんだって結構可愛いのに」
友「す―――――す――――――」
水泳部「あ――――……、いかんな、いかんですよ?これは」ボリボリ…
水泳部「………ったく、なにやってんだ?俺」
水泳部「ちょっと表に出るか?」
水泳部「ついでに親父にも連絡しとくか」
ガチャ…、バタン
―― 更に数時間後
友「ふあ…、んん!……あれ?」
友「ん?あ、そっか、ここ水泳部君ちだ」
友「あれ?水泳部君は?」キョロキョロ
妹「むにゃ…あ、友ちゃんおはよ、ふあ…」
友「ね、水泳部君知らない?」
妹「ん?あ、そっか、ここ水泳部君ちだ」
妹「あれ?水泳部君は?」キョロキョロ
友「…あたしと全く同じ反応だね…」
妹「?」
友「どこか出かけたのかな?」
妹「…今何時?あたし、まだすごく眠いかも……」
友「わかんない、あたしの携帯は電池切れだし、妹ちゃんのは?」
妹「えと……」
妹「………」
友「どうしたの?」
妹「午後4時……」
友「………」
妹「………みたい」
友「………」
妹「とりあえず、お家帰る?」
友「うん」
妹「水泳部君には連絡しとく?」
友「うん」
妹「友ちゃん、水泳部君の電話番号分かる?」
友「えと……」
妹「どうしたの?」
友「覚えてない…携帯電池切れだし」
妹「……」
友「妹ちゃんは水泳部君の電話番号知らないの?」
妹「うん」
友「………」
妹「………」
妹「書置きしとこ?アナクロだけど」
友「そうだね…」
妹「服どうする?男物のワイシャツとトランクス一丁でさすがに表は歩けないよ」
友「そうだよね、これってかなりエッチな格好だよね」
妹「そうかな?」
友「うん、妹ちゃんエロい、前はだけてるし」
妹「やーん、友ちゃんも良く見たらお尻丸出しだよー」
友「やだ、なにこれ」
妹「……」
友「……」
妹「あたしたちの服かわいてるかな?」
友「ちょっと待ってね………あ、ダメ。洗濯機の中で脱水が終わったまんま放置されてるっぽい」
妹「うっそー、しわになっちゃうよ?ってこれ全部友ちゃんのだっけ」
友「水泳部君の服、物色して行く?」
妹「うん」
友「わーい、物色物色ー」
妹「友ちゃん……」
―― 10分後
友「こんなもんかな?」
妹「うわー、このGパンだぼだぼだー。皮ジャンも大きいね?」
友「こっちの羽付きダウンジャケット。すっごい大きいねえ?」
妹「やだなあ、シャツは大きいのに胸だけぴちぴちだよう。ブラがないから締まり悪いし」
友「トランクスにズボンってこんな感じなんだね」
妹「なんかさ、自由度高いよね」
友「そいえば妹ちゃんて、胸大きいよね?」
妹「やだ、お姉ちゃんのほうがもっと大きいよ、なんかもうロケット砲だよあれ?」
友「…くだらないことやってないで行こっか?」
妹「そだね」
ガチャ…
友「闇を抜け、ドアを抜けると、そこは学校の前だった…なんちて」
妹「わあ、もう夕焼けになってる…なんか変な感じ」
友「んじゃ、あたしはこっちだから」
妹「うん!それじゃあね!ばいばいーい」
―― 妹宅
妹「ただいまー」
ガチャ…
妹「お姉ちゃんまだ帰ってないみたいだけど……」
妹「……って、あれ?」
妹「えと…なにこれ?」
妹「え???????!!!」
妹「なにこれ?なにこれ?なにこれ?部屋の中がめちゃくちゃになってる????」
妹「……あちこち引っ掻きまわしたような感じだけど…泥棒…が入ったのかな?」
妹「ええええええええ!うそ?!なんで?ホントに?!部屋の中が足跡だらけ?!」
バタン!!
妹「ひいい!?」
バスン!バタン!
妹「お、押入れから?変な音が?」
バタンバタン……ドスン
妹「ど…泥棒さん?!かな……」
?「もがが――――――――――――――――――!!!????」
妹「ひぃ!?」
妹「うう……なんか…変なにおいするし……」
妹「ど…どうしよ?け…警察呼ぼうかな?」
ガチャ…
姉「ただいまー。あーしんどー、だるー」
妹「ひぃ!??」
姉「ええ!?だ、誰?誰かいるの?」
妹「え?…お姉ちゃん?」
姉「な…、え?妹?」
妹「あ…あの?……お……」
姉「お?」
妹「お帰り、お姉ちゃん」
姉「…へ?何で?なんであんたがここにいんの?…スキー旅行に行ってるんじゃないの?」
妹「お姉ちゃんこそ、お仕事どうしたの?なんでパジャマなの?」
姉「そっちだって、なんて格好してんのよ?流行り?」
妹「あ、こ…これは、その…借りたの。水泳部君に」
姉「だからー、私、もうすっごい大変だったんだから!あんたさーTV見てないのー?」
妹「こっちだってすっごい大変だったんだもん!!」
バスン!バタン!ドタン!
姉「!!!??」
妹「!!!??」
姉「何?今の?」
妹「知らない、あたし何にも知らない……」フルフルフル
姉「…あの子たちはもうあっちにいっちゃったから、…これって違うよね?」
妹「???」
姉「今の音、押入れからだよね?」
妹「……」コクコク
姉「あんたさ、下駄箱に入ってる金属バット持ってきて?」
妹「……」コクコク
姉「いい?開けるよ?」
妹「……」コクコク
姉「変なのが出てきたら、容赦なくぶん殴っていいから」
妹「……」コクコク
妹「……」(…って、あれ?なんで金属バットの役があたしなの?)
姉「うりゃ!」
ガララ――――――――ッ
?「もごご――――!??」ジタバタジタバタ
?「……………」(白目)
妹「え?」
姉「なにこれ?」
姉「やだ…、すごい臭い…なにこれ?押入れの床に変な水たまりが出来てる……」
?「ふんご―――――??!!」ジタバタジタバタ
?「……………」(白目)
妹「男の人が2人…、ガムテープでぐるぐる巻きになって…」
姉「うう…芋虫みたいにぐねぐね動いてるし…なにこれ……いったいいつから……?」
妹「ねえ、お姉ちゃん、この人達の口に張ってあるガムテーム剥がしてみる?」
姉「う…なんかやだなー、あんたやんなさいよ?」
妹「えー?やだよー、気持ち悪い」
姉「分かったわよ!私がやるから!もう…。う、ちょっとねちねちする…」
ビイィイイイイイイイ――――――――――ッ
?「ぜい…ぜい…ぜい……」
妹「……」
姉「…あんた、誰?」
?「きゅ…」
妹「きゅ?」
?「救急車を呼んでくれ?頼む……」
姉「は?」
?「救急車だ。大至急で、頼む!」
―― 1時間後
私服「―――――それでは我々はこれで失礼致します。ご協力に感謝致します」
姉「あーはいはい、そいじゃねー、さいならー」
ガチャン
姉「だ―――――――――!!終わった…。あ―、しんど―――」
妹「お…お姉ちゃん?」
姉「ん?どしたの?」
妹「いまのって、警察の人?」
姉「あーうん、そうみたいだねー」
妹「そうみたいって…、お姉ちゃん?いったい何があったの?」
姉「ああ、説明すんのもなんかすごいしんどいわ―…って、私、昨日から寝てないから、なんかもうダメ、…もう無理」
妹「で、でも!さっきの押し入れに入ってた人たちも警察の人だーって言ってたじゃん?ね?これどういうことよ?!」
姉「だからー、言ったじゃん。私さー、もうすっごい大変だったんだから」
妹「わけわかんない、何これ?」
姉「…あんただってさ、どうしたのよ旅行行ってんじゃなかったの?」
妹「そ…それがね…あの」
姉「……」
妹「その…」
姉「……」
妹「あのね、男君が交通事故で死んじゃって、旅行は中止になっちゃったの…」
姉「すー、すかー」
妹「…って、あれ?お姉ちゃん?」
姉「すかー、すー」
妹「寝てるしー」
姉「すー、すかー」
妹「もうお姉ちゃんたらソファーで寝てる……ねえ、何これ?なんで部屋の中がめちゃくちゃなの?…って、なんでお姉ちゃんがそれに驚かないの?」
姉「…ん、むにゃむにゃ」
妹「なんで警察の人に『はいはい、そいじゃねー、さいならー』なんて平気で言えちゃうの―――!!??」
姉「すー、すかー」
妹「それにさー、お姉ちゃん、ちょっと臭うよ?」
妹「何これ?意味わかんない…」
姉「すかー…すこー」
妹「…ああもう、なんだか、あたしもすごい眠い……」
―― 翌日
姉「ふあーよく寝たー」
姉「ん?あれ?布団が掛けてある?」
妹「すーすー」
姉「あれ?妹ちゃん?何で私この子と一緒にソファで寝てるの?」
姉「…今何時だろ?」
姉「ええ?お昼?うそ、もう?あれから一日経ってるの?」
姉「ん―――――――なんか約束があったような……」
姉「有給の届は出しといたよね」
姉「………」
姉「あ」
姉「そっか、今日か……」
妹「ん?むにゃ……、あ、おはよお姉ちゃん」
姉「あのね、妹ちゃん?私これからちょっと出かけるから」
妹「ん?会社は?」
姉「知り合いのねお葬式なの」
妹「お葬式?…………あ!!!!!」ガバッ
姉「妹ちゃんは旅行どうしたの?行かなかったの?」
妹「お葬式!?あれ?いま。何時だっけ?あたし、お通夜行かなきゃ!」
姉「そんな恰好で行くつもり?」
妹「え?あ?あれ?そ、そうだよね、着替えたほうがいいよね」
姉「出かけるんだったらあんたもシャワー浴びてったほうがいいよ?頭ぼさぼさだよ?」
妹「ええええええええ?!!やだ…鏡…手鏡…あれ?…あ、そうだ荷物!ひょっとしてあたし荷物を友ちゃん家に置いてきたまま?」
姉「じゃあね、私は先に行くから?詳しい話は後で話聞かせてね?」
ガチャ…バタン
妹「ふえ?」
妹「あわわわわ、い、急がなきゃ学校の制服でいいのかな?」
妹「数珠とかいるのかな?」
妹「お線香!…えと、お線香はいらないか…」
妹「やだ、あたし、水泳部君のトランクス履いたままだ」
妹「あ…携帯に、委員長と友ちゃんから何度か着信が入ってる…」
妹「もう、どれから準備すればいいんだろ?」
―― メモリアルホール 玄関
妹「はあ、はあ、はあ、はあ…、うそ…あれからもう一日経っちゃってるなんて……」
委員長「あ、妹ちゃん来たよ?」
友「あ…」
男友「おーい、こっちこっち」
妹「はあ、はあ、はあ…み、みんな……」
友姉「こんにちは妹ちゃん」
妹「あ、こんにちは友姉さん、すごい人だね」
男友「よ、妹ちゃん」
妹「男友君こんちは、って、あれ?男友君、右目の回りだけ青くなってるよ?どうしたのそれ?」
男友「ん?ああこれ?ははは、何でもないよ」
妹「?」
水泳部「おっす、妹ちゃん。昨日の晩はどうしたの?通夜には来なかったけど」
妹「……え?あの…その……」
友「妹ちゃん…大丈夫?」
妹「…え?…う、うん」(あれからずっと…寝こけてたなんて、とても言えないよう…)
図書委員「あ、妹ちゃん…こんにちは……」
妹「あ、図書委員さん、こんにちは」
姉「あれー?なんであんたがここにいんの?」
妹「へ?お…お姉ちゃん?」
図書委員「え?え?え?あ…あの、あの…姉さん?こ…これって???」
姉「そうよー、この子はね、私の妹なの。言わなかったっけ?」
図書委員「そ、そうだったんですか?」
妹「お姉ちゃんと図書委員さんて、知り合いだったの?」
姉「んー。まあ、ちょっとだけね、ね?」
図書委員「え…ま、まあ。えへへ」
妹「???」
写真部「あ、出てきました、これから男君の出棺みたいですね」
妹「男君……」
男友「やれやれ、お別れか」
水泳部「…勝ち逃げ野郎が」ボソ
男友「ん?どうした?」
水泳部「なんでもねえよ」
図書委員「男君…私…男君の分も生きるから……」
妹「図書委員さん、どうしたの?」
図書委員「へ?ううん、何でもないの」
姉「ホントに人騒がせな子だったね、じゃあねバイバイ」
妹「お姉ちゃんってさ、男君のこと知ってたんだ」
姉「うん、ちょっとね…」
妹「……」
姉「さっき図書委員さん達から聞いたよ。あの子が死んじゃったからあんたらの旅行が無くなっちゃったんだよね?」
妹「うん」
姉「…残念だったね」
妹「うん……うん…ぐす…うぅう…男君……」
姉「ひょっとしてさー妹ちゃんの初恋の相手って男君?」
妹「ち!違あqくぁすぇdfrgthyじゅきぉzwsxcdvfrbgthyんじゅm、き。ぉp;!!!!??」
姉「何語?」
妹「うううう」
姉「そっかー、あの子だったのかー」
妹「……」
姉「なるほどねー、いやー。そうですかー。あの子だったんですかー」
妹「お姉ちゃん?」
姉「…案外いいやつだったもんね?」
妹「だから、なんでお姉ちゃんが男君のこと知ってるの?」
姉「ん――――――――。内緒」
妹「えええ?」
姉「まあまあ、今度教えてあげるよ」
妹「なんだかなあ」
男友「男君を乗せた霊柩車、行っちまったな」
友姉「そうですね」
姉「ね?妹ちゃん、火葬場まで行ってみる?」
妹「え?」
姉「私、車で来てるから、図書委員さんも。ね?」
図書委員「え?あ…はい」
妹「お姉ちゃんと図書委員さんてさ、いつから知り合いだったの?」
図書委員「…え…えと……」
姉「ん―――と、昨日から…だったかな?」
図書委員「そうですね、昨日ですね」
妹「???」
友「妹ちゃんこれからどうするの?」
妹「あ、友ちゃん、えとね、これからお姉ちゃんの車で火葬場まで行こうって話してたの」
友「あたしも一緒に行っていい?」
妹「どうかな?お姉ちゃん」
姉「うん、いいんじゃない?」
委員長「なあに、友ちゃん、どうしたの?」
友「あ、委員長ちゃん、あのね、これからね……」
友姉「友ちゃん、どうしたの?」
男友「なになに?」
友「えと…あの……」
男友「火葬場まで行くの?だったら、俺も行きたいとこだけど」
委員長「あ、あの…男友君が行くんだら、私も」
友「ど、どうかな?姉さん」
姉「あらら、私の車、こんなに大勢乗れないよ?」
水泳部「だったらさ、みんなで行こうよ」
妹「え?水泳部君?」
水泳部「うちの親父がさ、車で来ててさ」
友「水泳部君のお父さん?」
水泳部「うん、うちの車大きいから、2台あったら多分みんな乗れると思うし、俺、頼んでみるよ」
私服「おお水泳部、ここにいたか?」
水泳部「ああ、親父」
姉「あ――――――!!」
妹「!!??」
私服「やあ、姉さん、どうもどうも」
姉「あんたはあの時の!!!」
私服「いやあ助かりましたよ。あなたの証言があったから、被疑者逮捕が早まりました。…おかげでわたしは自宅謹慎処分ですがね?」
姉「ホントに……私が、あの後どれだけ……」
私服「でもあなたの容疑が晴れて本当に良かった。あなたに張り付かせといた彼らも命に別条はないそうですし、わたしとしちゃ万々歳ですよ。ははは」
姉「…なんか、素直に喜べないや」
妹「ねえ、そいえば、水泳部君のお父さんて、仕事は、何してる人?」
水泳部「ああ、言わなかったっけ?うちの親父、警察官だよ」
友「え?そうだったの?」
水泳部「いい歳こいてさ、熱血刑事の真似事なんてやってっからお袋に愛想尽かされるんだよ」ボソ
妹「………なにこれ?」
―― 火葬場
男友「ここか」
姉「おっきいとこだねえ」
妹「お、お姉ちゃん…」
友「不思議な感じのするところだね」
私服「それじゃあ皆さん、わたしは駐車場のほうに車を置いてきます」
姉「そいじゃね、私も車置いてくるよ」
妹「うん」
水泳部「ありがとな親父」
友姉「ここから入るのかしら?」
写真部「あ、あっちに男君の名札がありますよ?」
男友「あ、ホントだ」
男母「…………」
男妹「…………」
委員長「ほら、あそこに男君のお母さんと妹さんがいるよ?」
男友「行ってみようぜ?」
男母「あ、あなたたちは」
図書委員「あ、あの、その…………」
男妹「…あ、図書委員さん」
男母「…………」
図書委員「…………」
男母「…………」
図書委員「……………」ペコリ…
妹「?」
お坊さん「え―――、これから男君の棺を、こちらでお焚き上げします。最期のお別れになりますので、ご親族の皆様だけこちらにおいでください」
男妹「行こ?ママ」
男母「……」
友「いよいよだね妹ちゃん」
妹「うん」
男友「じゃあな、あばよ」
水泳部「……っんとに人騒がせなヤツ」
図書委員「…………」
友姉「…………」
委員長「………」
写真部「………いやーそれにしても広いところですねー。あとで記念に撮影しときましょう」
水泳部「おい!なんでこんなやつ連れて来たんだよ?」
男友「だから、俺に聞くな」
……ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
妹「?」
図書委員「?」
水泳部「?」
友「…何の音?」
男友「始まりの合図とか?」
友姉「さあ?」
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
水泳部「…やけに長い合図だな」
委員長「?係員が集まって来たよ?」
男友「なんだなんだ?」
お坊さん「ひ!ひいいいいいいいいい――――――――――――――――――――――――――――――!!!!」
友「あ…さっきのお坊さんが飛び出してきた…?」
お坊さん「ひ…ひ…ひ…ひ…、なんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶ…うぐ…ぐひ…!!!!!」
水泳部「お…おい?お坊さんが、青い顔で泣いてるぞ?」
友「なにこれ?」
お坊さん「なんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶなんまんだぶ」ジョジョーーーーーーーーーーーーーッ
男友「げ――――――――――――!!!!???な?あの坊さん!漏らしてねえか?」
水泳部「えええええええええええええええええ?」
委員長「やだ……」
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
お坊さん「ひ…ひぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!」
妹「???」
男友「なんなんだよいったい……?」
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
男妹「た!大変なんです!!!!!!!」ダダッ
男友「あれ?男妹ちゃん、どうしたの?」
男妹「お棺が!!!お兄ちゃんのお棺が!!!!!」
委員長「え?お棺?」
図書委員「あ、あの…男君がどうしたんですか?!」
妹「…図書委員さん?」
男妹「あの!お兄ちゃんのお棺が!!!火を点けた直後に!!!お棺の内側から誰かがノックしてるみたいなんです!!!!!!!!!」
全員「はあ???!!!!!!!!」
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
男友「この音ってまさか…」
委員長「………うそ…」
水泳部「……っんとに人騒がせなヤツ」
係員1「おい!すぐに火を消せ!!!!」
係員2「待って下さい、今手動で!!!」
姉「あ、いたいた、妹、来たよ…って、ねえ、なにこれ?」
妹「あ、お姉ちゃん…」
私服「…これは一体、何の騒ぎですか?」
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
姉「ねえ、これ、何の音?」
妹「……あたしが聞きたいよ」
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
ゴ――――――――――――――――――――――――――ン
………………
…………
……
――― 数日後 総合病院売店前
妹「……ふう」
妹「えと、お見舞いのお菓子はこれとこれでいいかな?」
妹「……」
妹「でもホントにびっくりしたな……」
妹「まさか、男君がお棺の内側からノックするなんて……」
妹「……」
妹「は…」
妹「ははははは……」
妹「ははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
店員「!?」ビクッ
妹「は―――――――――――――――――――――――――――――――」
妹「なんだかもうよくわかんないや……」
妹「どうしよ…、今日、男君に言おうかな」
妹「……え?…告白するの?……今日?」
妹「………」
妹「やだ…なんか恥ずかしくなってきちゃった」
妹「いいもん、まだ卒業式まで時間あるし、今度ゆっくりしたときに言おっと」
妹「告白かぁ…」
妹「えへ…」
妹「えへへへへへへ…」
妹「えへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ」
店員「…………!?」じーっ
図書委員「………………」タッタッタッタッタッタッタッ
妹「あ、図書委員さん?」
図書委員「え?あ…、妹さん?」
妹「あれ?どしたの?図書委員さんも男君のお見舞い?」
図書委員「え?え?え?あ、あの」
妹「あ?涙?…え?あ、あの、その…図書委員さん、ど、どうしたの?」
図書委員「え?あ、こ…これは、あの……!??」
妹「?」
幼稚園児1「……ね?見て?お姉ちゃん、あたしの言った通りでしょ?」
幼稚園児2「うん、これは面白いことになってるね」
幼稚園児3「くくく、ホント」
図書委員妹「あー、みんなみつけたー、ねえ、おねえちゃんいたー?」トテトテトテトテトテトテ
幼稚園児2「え?あ、ああいいるよ、ほらあそこ」
図書委員妹「あーホントだ、おねえちゃ…むぎゅ」
幼稚園児1「しー!」
図書委員妹「どうしたの?」
幼稚園児3「いいから、ここから見てようぜ?」
図書委員妹「なんでー?」
図書委員妹「ふうん、ところでさぁ」
幼稚園児1「なに?」
図書委員妹「あなたはだあれ?」
幼稚園児1「え?あたし?」
姉「ああ、いたいた、君らこんなとこにいたの…って、あれ?1人増えてない?」
幼稚園児2「あの…あたしたち実は三つ子なんです」
姉「へえ、そうだったの?」
幼稚園児1「は、はじめまして」ペコリ
姉「はい、こんにちは。可愛い子だねえ、今日はどうしたの?」
幼稚園児1「えへへ、お姉ちゃんたちに付いてきちゃった」
姉「ふうん、そうなんだ、えらいねー」
幼稚園児2「ふん、おもらし女が偉そうに」ボソッ
姉「…い、今何か言った?」
幼稚園児2「ええ?あたし、なんにも言ってないよう?」
姉「…と、ところであんたたちはこんなとこで何してんだい?」
幼稚園児3「あれよ、あれ」クイクイッ
姉「え?あれ?……あ」
幼稚園児1「ね?」
姉「ほう、これは……………」
妹「ふうん、今日は図書委員さん、妹さんと一緒に男君のお見舞いに来てたんだ」
図書委員「うん」
妹「で、なんで泣いてたの?」
図書委員「それが、姉さんが……」
妹「え?お姉ちゃんも来てるの?なんだかなー。お姉ちゃんてさ、全然教えてくんないんだよ。で、お姉ちゃんが何かしたの?」
図書委員「え?いや、あの…その…」
妹「ホントにもう、図書委員さんを泣かすなんてお姉ちゃん許せない!行こ図書委員さん」
図書委員「え、あの、ちょっと…」
姉「微妙だね」
幼稚園児1「微妙だよね」
幼稚園児2「微妙……」
幼稚園児3「いいの?あの子達こっちにくるわよ?」
姉「え?あ…」
幼稚園児1「一抜けた」テテテテテテテテテテテ
図書委員妹「あ、逃げた」
幼稚園児2「あたしも逃げよっと」テテテテテテテテテテ
幼稚園児3「ちょ…、ちょっと待ちなよー」テテテテテテテテテテテテテ
姉「図書委員妹ちゃん、私らも男君の病室でお姉ちゃんが帰ってくるの待ってようね?」
図書委員妹「えええ?」
姉「はい、あんたも来る」タタタタタタタ
図書委員妹「は、はやいよーおねえちゃん」テテテテテ
幼稚園児2「でもさーあいつよく生き帰ったよねー」
幼稚園児3「だよなー。未だに信じらんねえよ、けけけ」
幼稚園児2「ゴキブリ並みの生命力だよねー」
妹「それじゃ男君のとこに行こ?図書委員さん」
図書委員「え?あ、あの、ちょっと待って下さい~」
おしまい
おわりですー。
付き合ってくれた人ありがとうございました。
前のとごっちゃになっちゃって、つたない文章でだらだらとすみませんでした。
前のも読んだが
前のと繋がってんの?
>>1乙
キャスト①
妹…15歳。男に10年片思いしていた。姉より霊感?が強い。
おもらし。おっぱい。割れ目。JC。縞パン。最高である。
姉…前作よりOL。妹の姉。25歳前後。妹の通う中学のOG。霊感?が強い。おもらし。おっぱいミサイル。
男を気に入っている。前作ではトラックに轢かれそうになったり、変な奴らに追われたり、
全国指名手配されたり、おもらしパジャマで動き回ったり、1番大変だったのはこの人かも。
1番かわいい。萌える。このキャラを生み出した
>>1様にキスしてあげたい。
男…前作から男。妹のクラスメート。そこそこイイ男。
クラスメートの女の子達、血の繋がっていない妹、年上のお姉さん、
はたまた幼女ともフラグを立てまくっていた、実にイヤらしい奴である。
友…妹のクラスメート。若干のツンデレとヤンデレ気質を醸し出す。
水泳部のパンツや布団に興奮しちゃうやらしい娘である。
友姉…友の姉。
水泳部…妹のクラスメート。妹の事が好き。イイ男。前作私服の息子。
可愛い女子中学生達の生尻と生谷間と生おもらしと生割れ目などを拝んだ。
キャスト②
図書委員…前作より女。妹のクラスメート。
男の事が大好きだが、ほとんど話した事がなかった。無垢な女の子である。
図書委員妹…図書委員の妹。男は命の恩人。三輪車に乗る歳。
死神三つ子を友に持つ。ちょっぴり恥ずかしがり屋さん。
男友…妹のクラスメート。委員長との関係が怪しい。
委員長…妹のクラスメート。テンプレ委員長である。
写真部…妹のクラスメート。なんだかよく分からない。
男妹…男の妹。男とは血が繋がっていない。今作でも若干空気。
男母…妹の母。男は再婚した夫の連れ子。優しいお母さん。
幼稚園児1…幼女。今作の死神。
前作より登場した死神は三つ子で、その1人らしい。
やんちゃでイタズラ好きな一面が見られる。割れ目。
幼稚園児2…幼女。前作の死神。
初対面の人には最初は礼儀正しいがすぐにフランクに。
姉より凶暴な一面がある。男の担当だった。割れ目。
幼稚園児3…幼女。前作の死神の姉。
口調がかなり乱暴で行動も荒い。
男の事が気に入らない?女(図書委員)の担当だった。割れ目。
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